介護請求の重要性とは?ミスを軽減するためのポイントを解説

介護請求の重要性とは?ミスを軽減するためのポイントを解説

介護保険の請求業務(レセプト業務)は、不備があると国から給付金を受け取れないことがあります。間違い防止策を講じてはいるものの、月に数件は発生してしまうという状況もあるのではないでしょうか。今回は、介護保険の請求の流れと仕組みを解説。また、ミスを防ぐための対策とともに、システム導入が有効な理由も説明します。

介護保険の請求業務の重要性

介護事業所や介護施設で提供するサービスの費用の内、利用者は1割、または2割を負担し、残りは介護給付費としてサービス事業提供者が国保連(国民健康保険団体連合会)に請求します。この作業を介護保険請求(レセプト業務)といいます。この保険請求に誤りがあると、国保連から介護保険の給付金がもらえなくなることがあります。介護事業所や介護施設にとっては、その月の収入が減ることを意味するため、レセプト業務は正確に行わなければいけない重要な業務です。

レセプトによる介護保険請求の仕組み

保険請求業務(レセプト業務)の流れについて紹介します。

 介護給付金が支払われるまでの流れ

下図は、介護事業所が介護保険の請求業務を行う場合の例です。

簡単な流れは以下の通りです。

  1. 介護事業所が介護保険を利用者する人の介護保険被保険者証・負担割合証を確認します。
  2. ケアマネジャー(以下ケアマネ)が利用者と相談し提供するサービスを決定。それに基づきサービス提供票を作成します。
  3. 介護事業所が利用者にサービスの提供を開始します。
  4. 介護事業所が実施したサービスをサービス実績票に記入していきます。
  5. 介護事業所からケアマネにサービス実績票を提出します。
  6. 介護事業所が介護給付費請求書・明細書を作成し、国保連へ提出します。
  7. 介護事業所が利用者へ費用の負担分の請求書を発行し、徴収します。

提出されたレセプトは、審査をして問題がなければ後日、介護給付金が国連保から支払われます。

 請求業務のスケジュール

次に、介護報酬の請求から支給までのスケジュールを見てみましょう。

給付金はいつもらえるのでしょうか? レセプトを提出してから、給付金が下りるまでのサイクルを、例にあわせて簡単にみてみましょう。

【例:9月1日から30日までのサービス提供】

  • 9月1日から9月30日 サービス提供
    訪問介護、デイサービスなど、利用者と契約したサービスを提供します。
  • 10月1日から10月10日 書類作成、提出
    サービス提供翌月の10月10日までに、給付金を請求するための「介護給付費明細書」と「介護給付費請求書」を作成、提出します。
  • 11月25日 給付金支給
    国保連で審査が行われ、不備がなかった場合は、請求期間翌月の11月25日に給付金が支払われます。

このサイクルを見てもわかるように、サービス提供から支払いまで約2ヶ月かかります。
しかも、審査で不備があった場合は、レセプトが審査月の翌月6日頃に国保連合会から事業所へ返戻(へんれい)されます。その場合には、不備を訂正し返戻された月の10日までに再提出。以後は通常と同じスケジュールになり、この事例の場合であれば、給付金が下りるのは12月25日になります。

不備申請で再提出した場合も、不備の箇所だけが審査になるのではなく、審査は1からやり直しになります。提出するデータは正確なものを提出しないと給付金が下りなくなり、事業所にとっては経営に響きかねません。

「介護給付費明細書」と「介護給付費請求書」

介護事業所が国保連に提出する書類は以下の2種類です。

  • 介護給付費明細書
  • 介護給付費請求書

 介護給付費明細書

介護報酬の請求をするためには、最初に「介護給付費明細書」を作成します。これは1ヶ月の間に、利用者に提供したサービスの実績をまとめた様式で、保険請求額や利用者負担額、公費請求額等の金額を算出するためのものです。
介護給付費明細書は、サービス内容によって様式がわかれています。例えば、訪問介護や通所介護などは様式第二「居宅サービス・地域密着型サービス介護給付費明細書」、短期入所生活介護は様式第三「居宅サービス介護給付費明細書」というように指定されているので気を付けましょう。
設定する項目も簡単に紹介します。以下は様式第二に設定する項目例です。

  1. 公費負担者番号、公費受給者番号、被保険者の情報
  2. サービス提供年月、保険者番号
  3. 請求事業所情報
  4. 居宅介護サービス計画
  5. 開始年月日、中止年月日
  6. 介護給付費明細
  7. 住所地特例対象者 介護給付費明細
  8. 請求額計算

特に、6の介護給付費明細は、利用者それぞれに提供したサービスの内容や、単位数、回数などを記載する重要な箇所なので、設定する際に間違えないようにしましょう。

 介護給費請求書

介護給付費明細書が完成したら、それを基にして介護給付費請求書を作成します。
介護給付費請求書に設定する主な項目は以下のとおりです。

  1. サービス提供年月
  2. 請求先・請求日
  3. 請求事業所情報
  4. 保険請求  サービス費用
  5. 保険請求  特定入所者介護サービス費等
  6. 公費請求  サービス費用
  7. 公費請求 特定入所者介護サービス費等

イレギュラー対応(返戻、月遅れ請求、過誤、保留など)について

レセプトに不備がある場合に返戻されるほか、請求が円滑に進行しないケースにはさまざまなものがあります。

 返戻

請求データに不備があった場合に戻されることを指します。
対応:レセプトが戻ってきたあと不備を修正し再度提出します。

 月遅れ請求

介護申請を受けている利用者が介護認定の更新月でまだ区分が決定されていない。または社会保険から国民健康保険に切り替わったため保険証が手元にないなど、その月に何らかの変更があった場合には、介護保険請求ができません。請求は翌月に繰り越しになり、これを月遅れ請求といいます。
対応:介護保険などの区分決定後、請求を提出します。

 過誤

本来請求するべき金額より少なく、または多く請求してしまった時に、請求額を調整することを過誤といいます。過誤には下記の2つのパターンがあります。

  • 通常過誤
    介護報酬額が決定し支払いが完了したあとに、誤りを発見した場合
  • 同月過誤
    提出期限前に提出したレセプトに間違いを見つけてしまった場合

確定申告などで発見される場合が多いですが、間違えて請求した場合は、それぞれの手続きに従って、再請求をする必要があります。
対応:国連保などに相談し、手続きをします。

 保留

介護保険の請求は事業所だけでなく、ケアマネからも給付管理票が、そして都道府県からは事業所台帳、市町村からは受給者台帳が送られてきます。それらをすべて付け合わせして審査を行い、合致しない部分があると国連保で保留となります。
対応:国連保の指示に従い、手続きします。

ミスを防ぐためにはどうすればいいの?

請求を確実に行わないと、給付金をもらうタイミングが遅れてしまいます。そのため、ミスを防ぐ対策が重要です。

 目視とダブルチェック

請求データを作成した人がしっかりと目視チェックをしたあとに、別の人がダブルチェックすることで、さらにミスを防ぎやすくなります。

 システムを導入する

介護の請求業務は煩雑で、面倒です。そのうえ、1つでもミスをすると請求が遅れてしまうこともあります。そのため、請求業務の効率化にはソフト導入が有効です。

介護ソフトの1つである「介舟ファミリー」には、介護保険の請求に特化したサービスが揃っています。事業の拡大(利用者、サービス、拠点)に応じてそれらを一元管理できる機能や、国保連インターネット伝送サービスを標準搭載しており、特に伝送サービスは人数制限なく無料で使用できます。介護請求業務にお悩みの事業所は、ぜひ「介舟ファミリー」をご検討ください。
介護請求業務のミスを減らし効率的に進めるため介護ソフトを選ぶ際のポイントについては「レセプト業務を効率化 介護ソフトの選び方5つのポイント」のコラム参考にしてみてください。

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