共生型サービスとは?メリット・デメリットと必要な手続きを解説

2018年度に導入された共生型サービス。この制度により、障害福祉事業所に通っていた利用者が65歳になったときに、継続して同じ事業所に通えるようになりました。事業所の運営者のなかには、指定を受けようかと悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では共生型サービスの概要とメリットとデメリットについて説明します。

共生型サービスとは

「共生型サービス」は、障害福祉サービスを利用していた障害者が、介護保険が適応になる65歳を迎えた際に、必要な基準を満たした介護保険事業所または、今まで通っていた障害福祉事業所のどちらかを選択し、サービスが受けられる制度です。2018年度の介護保険法改正により導入されました。

共生型サービスの概要

指定の手続きを受ければ「介護保険の指定を受けている事業所が、障害福祉サービスの提供を可能に」、または「障害福祉の指定を受けている事業所が、介護保険サービスの提供をする」ことを目的とした特例です。

共生型サービスが始まった背景

共生型サービスが始まった背景には、障害福祉サービス事業所に通っていた障害者が65歳になると介護保険の被保険者になるため、事業所を変わらなければならないということがありました。
しかし、障害福祉サービス事業所を利用していた人や家族から「通いなれた施設でサービスを継続して受けたい」という希望が多く寄せられたのです。その要望に応える形で2015年12月に社会保障審議会障害者部会において「この制度は見直すべき」との意見があがり、「共生型サービス」という考え方が議論され、2018年度の「介護保険改正」における「共生型サービス」導入に結びつきました。

共生型サービスの指定申請が可能な事業所

共生型サービスの指定申請が可能な事業所は以下の4つです。
「指定の特例」があり、例えば、ホームヘルプサービスの介護保険「訪問介護」の指定を受けている事業者は、障害福祉サービスの 「居宅介護」や「重度訪問介護」の指定が受けやすくなります。

ホームヘルプサービス

【介護保険】 訪問介護
【障害福祉】 居宅介護・重度訪問介護

デイサービス

【介護保険】 通所介護 ・地域密着型通所介護
【障害福祉】 生活介護・自立訓練・児童発達支援

ショートステイ

【介護保険】 短期入所生活介護
【障害福祉】 ショートステイ

共生型サービス事業所になるためには

共生型サービス事業所になるためには、市町村で事業所指定の認定を受けなければなりません。介護保険、障害福祉の両制度の「基準該当サービス」は、市町村によって異なります。申請期間も市町村で異なるため、ホームページや電話での問い合わせで確認しましょう。
すでに介護保険、障害福祉の指定を受けている事業者は「指定の特例」制度の適応により、もう一方の指定は受けやすくなるだけでなく、申請も一部簡略化することが可能です。

共生型サービスのメリット

共生型サービスの指定を受けるメリットは事業所、利用者それぞれにあります。

利用者のメリット

  1. 65歳の壁がなくなり、障害者が65歳を過ぎても、これまでと同じ事業所を選択できる。
  2. 高齢者も障害者も、利用可能な事業所が増える。
  3. 障害者と高齢者が同じ場所で過ごすことで、お互いに良い刺激になる。

事業所のメリット

  1. 提供できるサービスの幅が広がる。スタッフの技術力を総合的に高めることができる。
  2. 介護と障害福祉の双方向のサービス提供を実施することによるコスト削減が可能である。

共生型サービスのデメリット

メリットがある反面、問題点もあります。

  1. 障害者と高齢者が同じ場所で過ごす難しさがある。
  2. 事業所のリフォームが必要な場合もある。
  3. 介護保険と障害福祉では報酬体系が変わるため、申請業務が煩雑化する。

1つ目のデメリットは、同じ場所で過ごすことで刺激し合い、利用者が活発になることが期待できる反面、やはり、障害者と高齢者では行動範囲や考え方も違うため、一緒に過ごすことが難しいこともあることです。しかし、利用者同士のトラブルは共生型だからということではなく、人が集まるところならばどこでも抱える問題でしょう。事業所の工夫や、スタッフの配慮などで改善することが十分に可能だとも考えられます。

2つ目のデメリットも、すでにどちらかの施設を運営している事業所の場合には、施設がすでにバリアフリーになっているところが多いでしょう。そのため、大きなリフォームというよりは、玄関の段差を解消する、部屋を高齢者と障害者と分けるためのつい立てなどを導入するなどの、小さな工事でおさまるのではないでしょうか。

3つ目のデメリットは、業務が煩雑化し、スタッフへの負担もかかるというものです。すでに人手が不足しているところに、新しい業務を増やすことへの抵抗を感じる運営者も少なくないかもしれません。
介護保険・障害者福祉サービスの業界では、慢性的な人手不足もあり、業務効率化をすることが非常に重要となります。
業務効率化には介護ソフトの導入が有効となります。介護ソフトを導入した場合のメリットについて詳しく知りたい方は、「介護保険施設の介護ソフト導入メリットと注意点を徹底解説」のコラム参考にしてみてください。

しかし、共生型サービスは地域の住民が抱える問題に応える形で始まったという経緯があります。社会的意義という観点から指定を受けたいと思う運営者もいるでしょう。
それでは、共生型サービスの報酬体系とは、どのようなものでしょうか。

共生型サービスにおける報酬体系

共生型サービスの報酬体系は、「共生型サービスⅠ」と「共生型サービスⅡ」で分けられ、全部で3つに分類されます。

共生型サービスⅠ 共生型サービスⅡ
介護保険と障害福祉、両方の運営基準を満たす場合 一方の基準を満たしている(満たしていないサービスに一定の専門性あり) 一方が人員・設備基準を満たしている場合
両方の指定を受けている場合は、報酬もそれぞれから受け取ることが可能です。 認知症カフェや介護予防教室など地域に貢献する活動を行う事業所は、共生型サービスの報酬を受けることが可能。「共生型サービスⅠ」に比べると、減額されます。 「共生型サービスⅠ」より減額されますが、共生型サービスの報酬を受け取ることは可能

上記の表でわかるように、報酬体系の基準は細かく分かれています。そのため、報酬作業が煩雑になることは避けられませんが、介護ソフトを導入することで、作業負担を軽減することは可能です。
介護ソフトと聞くと、介護保険ソフトと障害福祉ソフトをそれぞれ導入しなければいけないと思う運営者もいるでしょう。しかし、市販のソフトによっては、1つで両方の機能を兼ね備えているものもあります。介護保険と障害福祉の両方に適応しているソフトへリプレイス、あるいは新規導入するのもひとつの手です。

共生型サービスの煩雑な報酬体系の業務も介護ソフト活用で解決

共生型サービスは介護保険、障害福祉の事業所にとって地域への貢献につながるサービスのため、福祉の一端を担う事業所としてはぜひとも指定を受けたいと考えている運営者も多いでしょう。
一方で、介護保険、障害福祉の両方の事務を行う必要があるため、作業は複雑になることがネックと考え、躊躇する運営者もいると思われます。じつは介護ソフトと障害福祉ソフトの両方の機能が搭載されているソフトを用いると、その作業を軽減させることができます。
例えば、介舟ファミリーの介護ソフトは、30種類以上のサービスの請求に対応しているのが特徴です。もちろん、介護保険サービスにも、障害福祉サービスにも対応しているので1つのソフトで両方の請求を行うことが可能です。

共生型サービスの指定を受けようと考えている事業所は、この機会に介舟ファミリーの介護ソフトの導入をぜひ検討してみてください。

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