スマート介護士とは?今後の需要、資格取得の概要、メリットを解説

最近、脚光を浴びている「スマート介護士」。IT化を推し進める介護現場では今後、スマート介護士は欠かせない存在になるでしょう。では、スマート介護士とはどのような資格であり、資格を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
この記事では、スマート介護士の概要やメリットから、資格取得の方法まで詳しく解説します。

スマート介護士とは

介護現場では、慢性的な人手不足が問題となっています。そのため、現場を管理する責任者も、待遇改善や業務の効率化などに着手し、少しでもスタッフの定着率をあげようと努力をしていることでしょう。しかし、それだけでは限界があります。そこで、改善策として期待されているのが介護ロボットや介護センサーの活用です。ところが、「介護ロボット=即戦力」というものではなく、導入すればすぐさま課題が解決できるわけでもありません。システムを構築し、使いこなせるスキル、介護ロボットや介護センサーを介護の質向上に結び付けることができる人材が必要だからです。そこで誕生したのがスマート介護士です。

2019年3月にこの資格を創設した社会福祉法人善光会サンタフェ総合研究所によれば、スマート介護士とは「介護ロボット・センサー機器を組み込んだサービス提供体制を創造、設計、導入し、さらに継続的に改善するための専門性を兼ね備えた、介護の質の向上と効率化を図ることのできる介護士」であるとされています。

介護業界でのAIの導入などIT化が進まない理由

介護現場でもIT化のオペレーションシステムの構築・運用ができる人材は不足しています。そのため、AIを導入しようと考えている施設でも、何から着手していいのかわからず、先送りにしているところが少なくありません。

もちろん、これからますます人手不足が予測されていることを鑑みて、介護ロボットや介護センサーを効果的に運用できる人材育成の必要性を感じている人は多いでしょう。厚生労働省も、日本の介護業界において介護現場にテクノロジーの導入は必至と考えています。しかし、日常の業務をこなすだけで現場はいっぱいいっぱいであり、人材を一から育てる余裕がないというのが現実です。ここに、介護業界のIT化が進まない理由があると考えられます。
AI技術を導入した介護ロボットなどの活用方法や導入の効果などについて詳しく知りたい方は、「介護AIは介護人材不足の救世主?AIが介護にもたらす影響」のコラム参考にしてみてください。

スマート介護士の資格取得のメリット

スマート介護士は創設されてからまだ日が浅い資格であるため、資格保持者はそれほど多くはありません。しかし、スマート介護士の資格を取得することで、介護ロボットや介護センサーに関する基本的な知識を身につけることができます。これらの知識を生かし、介護ロボットや介護センサーの導入時、あるいは導入後において、介護の質の向上に貢献できることでしょう

それでは、資格取得のメリットについて、スタッフ側、施設側に分けて見ていきましょう。

スタッフ側のメリット

  • 介護ロボットや介護センサーを取り入れ、活用するプロフェッショナルになることができる
  • 専門性の高い介護士になることができる

施設側のメリット

  • 介護ロボットや介護センサーを導入し、業務が効率化できる
  • より質の高いサービスが提供できる
  • 人手不足の解消につながる

スキルアップをしたいと思っているスタッフにとって、資格取得はモチベーションアップになります。また、施設としても現場で介護ロボットが活躍すれば、業務の効率化につながるでしょう。
ただし、気を付けなければいけない点もあります。スマート介護士の試験は筆記のみのため、資格を取得したスタッフが、すぐに現場で即戦力になれるとは限らないということです。事業所としての課題には、スマート介護士の資格を取得したスタッフの実践教育のシステムをどのように構築するかということも含まれるでしょう。
とはいえ、介護ロボットのために外部講師を呼んで勉強会を行ったり、スキルのあるスタッフを改めて雇ったりする必要がないため、施設側にとってもコストパフォーマンスの良い資格と考えられます。スマート介護士は、今後、施設のIT化において大きな戦力となる人材です。今から所属スタッフをバックアップし、資格が取りやすい環境を作っておくことが大切でしょう。

資格取得を希望するスタッフには、積極的に勉強してもらうためにシフトを優遇したり、講習会に参加する日には休めるようにしたりする必要があります。
また、受験料や講習会の費用を施設側で負担するなどのサポート体制も作っていきましょう。

スマート介護士の詳細と資格取得方法

スマート介護士の資格は現在、2種類に分かれています。

スマート介護士の試験の種類と内容

  • スマート介護士Basic
    介護ロボットや介護の基礎的な知識を問う問題が出題されます。主に公式テキストのなかから出題されます。
  • スマート介護士Expert
    介護ロボットを、実際に現場で運用するための知識を中心に出題されます。公式テキストをより深く読み込んで理解することが求められています。

それぞれの試験は同日の午前と午後で行われるため、併願も可能です。また、今後はスマート介護士Professionalという上級資格の創設も予定されています。

スマート介護士の試験の形式

試験はすべてオンラインのZoomで行います。そのためインターネット環境が整っていないと試験は受けられません。試験時間は60分間で、試験は4択の選択式で行われます。

スマート介護士試験の合格率や難易度

合格率に関しては発表されていませんが、Basic、Expertそれぞれの合格の目安は、約7割の正解率です。特に、スマート介護士Basicは、公式テキスト、問題集、対策講義を用いて知識を頭にしっかりインプットすれば、比較的合格しやすいようです。

スマート介護士の需要

今後、介護現場へのテクノロジー活用がいっそう進むことは当然の流れといえるでしょう。そのため、介護ロボットや介護センサーを効率的に活用できるスマート介護士の需要は高まると考えられます。

今後の活躍が期待されるスマート介護士の資格取得を奨励しよう

介護現場の人手不足は待ったなしです。そこで注目されるのが介護センサーや介護ロボットです。しかし、それらを導入しても効果的に運用できる人材がいないことには、現場の効率化は図れません。

そこで、近年新設されたのがスマート介護士という資格です。今後、スマート介護士の需要は高まっていくことが予測できます。そのため、自施設でもスマート介護士の資格取得を積極的に支援し、所属しているスタッフを育てていくことに注力することがおすすめです。新たにスマート介護士を雇うよりも、コストが抑えられる可能性も高いでしょう。

そのため、スタッフがスマート介護士の資格を取りやすいように時間を融通したり、費用の一部を負担したりするなどの対策を考えることが、施設運営者の責務です。

スタッフの時間を融通するためには、現状での業務効率化が欠かせません。例えば、介護ソフトを導入することで、月々の請求業務や、介護日誌など事務仕事が効率化できます。特に介護ソフト「介舟ファミリー」は、直感的に操作できるため誰にでも扱いやすくスムーズに導入できるのが特徴です。パソコンからではなく、スマホやタブレットからも操作ができるので、スタッフも隙間時間が有効活用できます。

介護ソフトを導入し、現場で働くスタッフの負担を軽減し、その時間をスマート介護士の資格を取得する勉強にあててもらうというような対策を講じることも、今後、施設の人手不足解消につながるでしょう。

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