計画支援相談の報酬改定で何が、どのように変化する?改定ポイントをわかりやすく解説

令和6年の報酬改定で計画支援相談は大きく変化するといわれています。
該当する事業所は改定後、何が、どのように変わるのか気になるところでしょう。
この記事では、改定によって変わるポイントと、支援相談系サービスを提供する事業所はどのような対策を立てればよいかについて説明します。

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相談系サービスとは

障害福祉において、相談系サービスは基本相談、計画相談、地域相談の3つがあります。それぞれを詳しく見てみましょう。

3つの相談窓口

1.基本相談

基本相談の窓口とは、どこに相談していいのかわからない利用者が最初に訪れる窓口です。
受付を担当するのは市町村、または基幹相談支援センターで、ヒアリングをしたのち、どこで支援を受ければよいのかを検討し、適切な機関との橋渡しをします。

2.計画相談

計画相談とは、障害福祉サービスを利用する際の相談窓口です。
アセスメント、支援プラン作成を行い、利用者が希望するサービスを提供するほか、地域の福祉サービスや専門機関へつなぎます。さらに、定期的にプランを検証し、現状に合ったサービスを提供しているかどうかの見直しを行います。

3.地域相談

障がい者支援施設や精神科病院などから出た後のひとり暮らしを支援する窓口が地域相談です。
地域相談のなかには、地域相談(地域移行支援)と地域相談支援(地域定着支援)の2つがあります。それぞれの役割は以下のとおりです。

【地域相談(地域移行支援)】

独立した生活をするための住居や手続きなどの相談に応じるサービスです。

【地域相談支援(地域定着支援)】

地域生活において各種のトラブルが発生した際、現地へ駆けつける支援を行います。

相談の流れ

基本相談の窓口における大きな流れは以下のとおりです。

  1. 受付
    基本相談は、市町村または、基幹相談支援センターで行います。相談する際は、本人からの申し出だけでなく、家族や親類からでも受け付け可能です。
  2. 相談窓口の振り分け
    相談内容によって、担当する部署を振り分けます。大きく分けると、障害福祉サービスを利用するか否かで相談する窓口が変わります。
  3. 障害福祉サービス等を利用しない場合
    市町村障害者相談支援事業へ振り分けられます。
  4. 障害福祉サービス等を利用する場合
    指定特定相談支援、指定障害児相談支援に振り分けられたあと、ヒアリング、支援プランの作成後、地域の福祉サービスの利用や調整。必要な専門機関を紹介することもあります。

相談系サービスの改定ポイントとは

令和6年の改定で相談系サービスはどのように変わるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

基本報酬の見直し

機能強化型(継続)サービス利用支援費(Ⅰ)、(Ⅱ)、(Ⅲ)について、一定の要件を満たすことで評価の基本報酬が変わります。

【要件】

  • 定期的に協議会に参画することが求められ、さらに、関係機関との連携を密にするための取り組みを実施していること
  • 基幹相談支援センターが行っている地域相談支援体制の強化に取り組み、参画していること

各種加算が見直し

  • 主任相談支援専門員配置加算
  • 医療・保育・教育機関等連携加算
  • 集中支援加算
  • 入院時情報連携加算

相談系サービスの加算は、質の高い相談支援を提供するための評価に対してさらに加算されるようになります。
そのため、主任相談支援専門員の資質向上を目的とした指導や助言を実施する事業所に対しての評価を高くしています。

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情報連携等のコーディネート機能の評価

情報を連携するための関係構築が、相談サービスでは大きなウエイトを占めます。それに伴い、加算される評価基準も見直しがされました。
  • 地域生活支援拠点等において、情報連携等を担うコーディネーターを配置することによって加算
  • 情報連携の体制が整った通所系サービス事業所の、緊急時の受け入れについての加算
  • 関係機関と連携を調整する職員を配置することによる加算
  • 重度障害者支援加算、強度行動障害を有する児者への集中的支援加算
地域の関係機関の把握、顔の見える関係づくり、地域課題の検討や解決に向けた取り組みの実施などを評価した加算となっています。

個別支援計画について、相談支援事業所への情報提供を義務化

個別支援計画について、相談支援事業所への情報提供が義務化されました。

  • 支援計画等の相互交換
  • 各支援機関が必要とする情報の相互提供
  • 利用者の支援を協働で検討する会議等の開催・参加

報酬改定による影響と対応策

事業所としては、報酬改定による影響と対策をどのように考え、どのような対策をすればいいのでしょうか。

利用者の意思決定を支援する仕組みづくりを

発表された意思決定支援ガイドラインの内容でもわかるように、今回の改定は、利用者の意思を尊重することが肝となっています。相談系サービスは、利用者や家族に対して手厚いサービスが求められると言えるでしょう。例えば、個別支援会議は利用者本人の参加が原則となります。事業所は、利用者や家族をヒアリングし、それに応えられるような体制を整える必要があります。

テレワーク導入によりICT化がますます進む傾向に

計画相談支援事業所は、相談支援員の配置が可能になり、それを念頭に置いた算定が行えるようになりました。また、相談サービスには、他業種や地域との連携も増えました。そのため、管理者のテレワークが認められ、今後は管理者以外の職種についてもテレワークの導入が十分に考えられます。その点を考慮しても、事業所単位のICT化は標準仕様となるでしょう。ネットワークの構築や、ICT化を行っていない事業所は早急に準備が必要です。

相談支援員の指定基準の見直しへ

相談支援事業所のなかでも、機能強化型の基本報酬を算定している事業所は、社会福祉士、精神保健福祉士も支援相談員としての業務が行えるようになりました。具体的には、サービス等利用計画の作成、障害児支援利用計画の原案の作成、モニタリングなどを担当することができます。事業所の運営責任者は、改定スタートと同時に、社会福祉士、精神保健福祉士が即戦力として活動できるように、研修やOJTなどの準備をしておくと、移行がスムーズです。

各種様式が標準化される可能性も

事務の業務効率化を図るため、各種様式等を標準化しようという動きがあります。具体的な時期については未定ですが、令和5年度中に各種様式の標準様式等を作成し、令和6年度以降に標準様式を原則とする流れが濃厚です。これが実現すると、ますます介護ソフトの導入を事業所としては検討せざるを得ないと言えるでしょう。

ICT化で業務効率化を行いつつ報酬改定に対応しよう

計画支援相談の報酬改定では、計画相談支援の人員基準に「相談支援員」を位置付けること、そして、利用者の意思決定支援を推進させる目的で、やむを得ない事情がある場合を除き、個別支援会議には本人の参加が原則となることがあります。そのために、オンライン面談の導入も認められる方向に進むでしょう。こういった現状を鑑みると、事業所としてはICT化が欠かせません。まだ準備をしていない事業所は、すぐにでも取り掛かりたいところです。

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