【ICT化が加速する?】2027年の介護保険法改正はどうなる?方向性やそれに対応する準備なども解説!

2024年度介護保険法改正の施行が完了し、介護保険制度は新たなステージに移行しようとしています。特に高齢化の更なる進行と労働人口の減少、慢性的な介護人材不足という社会背景のもと、次の節目となる2027年改正へ向けた議論が既に始まっています。デジタル技術活用による業務効率化、地域包括ケアシステムの深化、給付と負担のバランス見直しなど、今後の介護保険制度はどのような方向性を目指すのでしょうか。
本記事では、最新動向から2027年法改正を予測し、介護事業者が今から準備すべきポイントを解説します。

今後の介護保険改正の方向性について

介護保険制度は創設以来、さまざまな改革を重ねてきましたが、近年は85歳以上人口の増加に伴う介護給付費の急増と、支え手となる現役世代の減少という二重の課題に直面しています。2024年の財政制度等審議会では2027年の法改正に向けて、介護保険制度の課題解決と制度の持続可能性を確保するための抜本的な見直しが検討されました。これらの見直しを図ることで中長期的に増加していく介護需要を支えられる体制の構築を図ります。
特に注目すべきは、以下の3つです。
  • 「保険給付の効率的な提供」
  • 「保険給付範囲の在り方の見直し」
  • 「高齢化・人口減少下での負担の公平化」
これらを軸に、今後はICT機器を活用した人員配置の効率化や経営の協働化・大規模化の推進などによる生産性向上策が模索されています。また、生活援助サービスの地域支援事業への移行や、ケアマネジメントへの利用者負担導入も検討課題です。
ほかにも保険給付範囲と利用者負担の見直しも行われており、介護保険制度が将来世代にわたって継続できるように議論が重ねられています。
それでは具体的にどのような項目が2027年に向けて進められるのでしょうか。

2027年に導入される可能性がある項目

2027年の法改正や報酬改定にて導入される可能性が高い項目について解説します。

  • ICT機器を活用した人員配置の効率化
  • 経営の協働化・大規模化の推進
  • 軽度者に対する生活援助サービス等の地域支援事業への移行
  • ケアマネジメントの利用者負担の導入
  • 利用者負担の見直し
  • 多床室の室料負担の見直し

ICT機器を活用した人員配置の効率化

2024年度の介護報酬改定では、特定施設(介護付き)や介護老人保健施設において人員配置基準の柔軟化が実施されましたが、2027年改正ではこの流れが加速する見込みです。特に特別養護老人ホームや通所介護における人員配置基準の柔軟化が検討されています。介護現場へのICT機器導入を促進し、見守りセンサーやコミュニケーションロボット等の活用によって、限られた人材で効率的なケアの提供を目指します。これにより、介護スタッフの負担軽減と同時に、サービスの質の向上も期待されています。

経営の協働化・大規模化の推進

介護事業所の収支データ分析から、規模が大きいほど収支差率が向上する傾向が明らかになっています。特に社会福祉法人の場合、運営拠点数が増えるほど労働生産性が高まり、職員の給与水準も向上する傾向があります。現状では社会福祉法人の過半数が1法人1拠点または2拠点の小規模運営となっており、経営基盤が比較的脆弱な状況です。
2027年改正では、法人間の合併や事業統合、共同購入や人材シェアリングなど、経営の協働化・大規模化を推進する政策が強化される見通しです。これにより、運営の効率化とサービスの安定提供を両立させる体制構築が進められます。

軽度者に対する生活援助サービス等の地域支援事業への移行

介護保険制度の持続可能性を高めるため、重度者への給付重点化が進められる中、2027年改正では要介護1・2の軽度者に対する訪問介護・通所介護の一部、特に生活援助サービスの地域支援事業への移行が検討されています。これにより、地域の実情に合わせた多様な主体(NPO、ボランティア、民間事業者等)による効率的なサービス提供体制の構築が促進されます。保険給付から地域支援事業への移行は段階的に実施され、各自治体の創意工夫による住民主体の支援体制づくりが求められるでしょう。

ケアマネジメントの利用者負担導入

介護保険制度創設以来、居宅介護支援(ケアマネジメント)は利用者負担がない唯一のサービスとして運営されてきました。しかし、この仕組みは利用者側からケアマネジャーの業務の質へのチェック機能が働きにくい構造を生み出しています。
2027年改正では、公正・中立なケアマネジメントを確保する観点から、サービス質の評価手法確立と報酬への反映と併せて、居宅介護支援への利用者負担導入が検討されています。導入に際しては低所得者への配慮措置や負担上限の設定など、必要な調整が行われる見込みです。

利用者負担の見直し

2024年改正では見送られた介護保険の利用者負担割合の見直しが、2027年改正では再度焦点となる可能性が高まっています。現在の一律1割から最大3割負担の区分に加え、金融資産の保有状態を反映した負担割合の設定が検討されています。
また、医療保険と同様に利用者負担を「原則2割」とする案や、現役世代並み所得(3割)の判断基準見直しも俎上に載せられています。高齢化の進行と現役世代の減少を背景に、世代間・世代内の公平性確保の観点から、負担能力に応じた公平な費用負担の仕組みが模索されています。

多床室の室料負担の見直し

介護老人保健施設・介護医療院の多床室については、特別養護老人ホームの多床室とは異なり、室料相当分が介護保険給付費の基本サービス費に含まれたままとなっています。2024年度介護報酬改定で一部見直しが行われましたが、その対象は限定的でした。
しかし、在所日数等からみれば、これらの施設も利用者の「生活の場」と言える状況にあります。2027年改正では、施設間の公平性確保の観点から、介護老人保健施設・介護医療院の多床室についても、室料相当額を基本サービス費から除外し、利用者の自己負担とする見直しが進められる見込みです。

介護事業所が進めるべき対応策

2027年の法改正・報酬改定に向けて今から行うべき対応策としては以下の3つが挙げられます。

事業所のICT化促進

2027年の制度改正では人員配置の効率化にICT活用が重視されるため、介護記録システムや見守りセンサー、コミュニケーションロボットなどの導入を計画的に進めることが重要です。特に請求業務の電子化や情報共有のデジタル化は業務効率の向上に直結します。補助金や助成金を活用しながら、段階的な設備投資と職員のICTリテラシー向上に取り組むことで、将来の人員配置基準の柔軟化にも対応できる体制を整えましょう。

多機能化・複合化による経営基盤の強化

今後介護保険サービスによっては給付が減少する可能性があります。単一サービスへの依存リスクを減らし、経営基盤を強化するためには、複数サービスの展開や多機能化が有効です。例えば、通所介護と訪問介護の併設、地域密着型サービスへの参入、あるいは介護予防や自立支援に関するサービス展開などが考えられます。また、地域の同業他社との協業や連携も視野に入れ、共同購入や人材シェアリングなど、スケールメリットを活かした経営効率化を検討することが2027年改正を見据えた重要な戦略となります。

保険外サービスの開発と収益源の多様化

介護保険制度の給付範囲見直しが進む中、介護保険内サービスだけに依存する経営モデルはリスクが高まっています。今後は利用者のニーズに応じた保険外サービスの開発と提供が重要な差別化要因となるでしょう。例えば、買い物代行や家事代行、趣味活動支援、ICT活用支援など、高齢者の生活全般をサポートする多様なサービスメニューを構築し、収益源の多角化を図ることが求められます。保険内外を組み合わせた包括的なサービス提供が、将来の経営安定化につながります。

2027年の法改正に向けて今のうちに準備を進めておこう

2027年の介護保険法改正では、ICT活用による人員配置の効率化、経営の協働化・大規模化、保険給付範囲の見直しなど、介護保険制度の持続可能性を高めるためのさまざまな施策が導入される見通しです。これらの方向性は財政制度等審議会の建議などで既に示されており、大きな政策転換が予想されます。
このような変化に対応するためには、「待ち」の姿勢ではなく、先を見据えた「攻め」の準備が重要です。特にICT化の推進は、単に法改正対応というだけでなく、深刻化する人手不足への対策や業務効率化による収益性向上という点でも大きなメリットがあります。補助金や助成金を活用しながら、計画的な投資と職員教育を進めることで、将来の制度変更にもスムーズに対応できる体制を整えましょう。
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