これからの介護に対する利用者の質

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佐藤 ちよみ 氏

「介護」をしたり、されたりすることはどのように始まるのでしょう。加齢で、今までできていたことができなくなる。
認知症で他者の世話にならなければ生活ができなくなるなど、これらは病気やけが、交通事故等、様々な要因によって、「介護」はスタートします。
それも、これらは、多くが突然、前触れもなくやってくるのです。

人は、その時初めて「これからどうなるんだろう?」という不安に正面から向き合わざるを得なくなります。
しかしそれで間に合うのでしょうか。2000年、走りながら始めた介護保険制度も、2006年、介護予防がスタートし、予防給付と介護給付とに分割され、要支援1と要支援2が予防給付、要介護1~要介護5が介護給付とに選別されました。

そして、2015年をめどに、また改正となり、要介護度が要支援1と要支援2等の介護度が低い方々のサービスを各市町村事業に移し、特別養護老人ホームへ入所できる方の介護度を要介護3以上とする等、利用者にとってより厳しい介護環境となっています。

しかしながら、このような介護保険制度の劣化を前にしても、まだ介護に縁のない方々は、気にもとめない。そう他人事なのです。
国は地方分権を押し進め、権限(責任?)を国から都道府県や市町村に委譲しようとしています。
その構想を顕著にしたものが「地域包括ケアシステム」と言えるでしょう。
このシステムは、介護度が重度となってもなお、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最後まで続けられる。
そのためにも医療・介護・予防・住環境・生活支援を一体化し、提供することを目指しています。
保険者である市町村や都道府県は、地域の自主性や主体性を重視し、地域の特性に合ったケアシステムを作り上げていくのです。

もはや介護保険制度では「介護」からは「生活支援」が切り離される方向にすすみ、この「生活支援」は地域力で支援していかなければならなくなるでしょう。
この地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位に想定・構築されています。

これから介護を受ける利用者となる者、つまり我々は、
①家族と親密になり、介護の在り方等を話し合っておく。
②地域住民と付き合いを持ち、町内活動にも参加する。
③行政情報を常に入手し、柔軟に対応できる。

このようなことを心掛ける必要があるでしょう。介護者にも被介護者にも厳しい時代になったものです。

介護支援専門員~質の格差が大きすぎるプロの世界~

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佐藤 ちよみ 氏

平成12年に生まれた介護保険制度の運営を担ってきたのは、介護支援専門員です。
その介護保険制度は、当初から定期的に見直すこととされ、文字通り「走りながら」の制度運用となってしまいました。
平成18年には、要介護区分が見直されて、予防給付と介護給付に分類され、介護予防マネジメントは、地域包括支援センターが担い、介護支援専門員は要介護者のマネジメントの専門家となりました。

このころから介護支援専門員の質の問題が話題に上がり、アセスメント不足や、主治医をはじめ、医療従事者との連携不足などの問題がたびたび浮上しました。
そこで、国は介護支援専門員の資格を更新制とし、系統立てた研修カリキュラムを組み、介護支援専門員の資質向上をはかってきたのです。

それでもなお、平成24年には、国は一部の有識者の声にだけ耳を傾け、「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」を開催。
紆余曲折を経て、平成25年8月28日には、社会保障審議会介護保険部会で「ケアマネジメント」の議論も開始されました。
そこでは研修の追加、介護支援専門員試験の資格要件の見直しなどがあがっています。

すでに現場を退いた人はとかく現場に辛い点数をつけがちです。
有識者の意見も貴重ですが、これらメンバーに現場の人がほとんどいないのは問題です。
もし、それでも介護支援専門員の質の向上を問うのなら、他の業界同様、不正以外にも適正のない者は退場するシステムの構築が必要でしょう。

批判され続けてきた介護支援専門員も、確実に実力は向上しています。
多くの問題は「適正に欠ける者が排除されない制度」にあります。
きちんとやっている人は文句を言わないし、文句も言われないのです。介護支援専門員全体としては、もっと評価されてもいいのかな、と思います。

プライドが持てる介護福祉士になろう

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佐藤 ちよみ 氏

昭和62年、社会福祉士及び介護福祉士法が制定され、わが国に介護福祉士(Certified Care Worker)という国家資格が生まれました。
介護現場で働いてきた人が、働きながら学び、介護の国家資格が取得できるようになりました。
当初は、各都道府県等の自治体や職能団体が各地で研修会が開かれ、現場の能力向上を担ってきましたが、予算が削られ、研修会も激減し、現場の人手不足を理由に、自己研鑽から目をそむける者も増えてきました。
このままでは喀痰や吸引行為を行える新課程の介護福祉士、認定介護士の登場とともに、現場から退場せねばならないかも知れません。

介護職を取り巻く環境・改革はさらに厳しくなります。
平成25年度、ホームヘルパー2級は初任者研修へ。介護職員基礎研修とホームヘルパー1級は実務者研修に変わります。今までとの違いは、研修受講後に筆記試験が行われることでしょう。
介護福祉士受験資格も平成28年の1月以降より、介護経験者でも経験年数と所有資格に応じて実務者研修受講が必須。介護福祉士養成校も新カリキュラムに変更し、卒業と同時に介護福祉士国家試験を受けることになったのです。
平成28年度の合格者から、医療行為でグレーゾーンであった喀痰吸引行為等ができるようになりました。現在の介護福祉士はこのような潮流の中でこのままで良いのでしょうか。

現在働いている資格取得者が、この25年間介護業界を支えてきたのです。
新カリキュラムを学んで飛び込んでくる新介護福祉士に負けないためには、現在の自分の技術に欠点があれば修正・向上を図ることが必要です。
また、これからは、今までの現場経験を活かして自分の所属施設や外部で、積極的に研修会講師や、指導者になるなども選択肢になるでしょう。
まずは自分に自信を持つこと。人に教える前に自身が学ぶこと。
介護福祉士はすでに国家資格であるはず。プライドを持ち、自分磨きに挑戦してみましょう。