私の考える介護の質~介護者へ向ける言葉~ Posted on 2012年3月12日2025年2月17日 by 管理者 HOME >コラム>渡辺 道代 氏 ここ数年、家族介護者の支援をめぐる議論が活発になってきました。2009(平成21)年に結成された「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」や2010(平成22)年に発足した「ケアラー連盟」などに代表されるように、介護者を支援する団体や活動が増えてきました。介護者支援がマスコミでも注目されることが多くなったように思いますし、「介護される本人だけでなく、介護する家族も大変!」ということが社会全体に少しづつ受け入れられてきたのだろうと感じます。現場では、介護家族に接するケアワーカー・ケアマネジャーに、どのような関わり方が望まれているのでしょうか。 あるヒヤリング調査で、とても大変な介護をされていたご家族の方の発言に次のようなものがありました。「愚痴を言ったり怒ったりすると後味が悪くて、いつも後悔してしまいます。私は『大変!大変!』と言わないように心がけてきました。」「『がんばれ』 とか 『あなた大変ね』 というのはあまりかけて欲しくない言葉です。言われると心が折れてしまいそうでした。」その発言を聞いて、私は日本認知症学会被災地支援マニュアル作成ワーキンググループが作成した『被災した認知症の人と家族の支援マニュアル<介護用>』(2011年4月18日作成)を思い出しました。(日本認知症学会ホームペジ http://dementia.umin.jp/kaigo419.pdfを参照してください)その中で「ケアスタッフへの支援」で次のように書かれています。「*挨拶や声かけは前向きに:「大変だね」という挨拶はやめて、「やり甲斐があるね」「少し進んだね」と、前向きな言葉を口にしましょう。脳には、自分の言ったことを正当化する働きがあります。「つらい」「大変」「苦しい」「疲れた」などネガティブな言葉は口にしないように心がけましょう。スタッフ同士で積極的にほめ合いましょう。」「*『がんばってね』ではなく『がんばってるね』と互いに声かけしましょう。前者はもっとがんばれとがんばりを認めていないので禁句、後者は相手のがんばりを認めています。他人から認められることが心の支えになります。大変な生活の中にも小さな幸せがあるはずです。それに気づくことで心理ストレスが和らぎます。」ケアスタッフ向きなので、介護者のためには多少、工夫が必要だと思います。しかしその気づかいは学ぶべきものがあるのではないでしょうか。私たちは、通常、介護者にどのような言葉を発していますか。大変だからこそ、ネガティブな言葉を使いたくない・かけられたくない介護者の気持ちを理解し、介護者のがんばりや努力を認めているというメッセージをどれだけ送っているでしょうか。中には介護者の生活や思いが眼中にないのではないかと思うケアワーカーやケアマネジャーの方もいますよね。 渡辺 道代 氏 連載一覧 私の考える介護の質~ケアの喜び~ 2012年3月22日 私の考える介護の質~介護者へ向ける言葉~ 2012年3月12日 私の考える介護の質~家族の声~ 2012年2月27日 プロフィール NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン副理事長。 ■経歴■大学卒業後、都内病院で約10年医療ソーシャルワーカーとして勤める。1998年上智社会福祉専門学校専任講師、2007年より岩手県立大学社会福祉学部講師・准教授を務めた。現在は父母の介護のため退職し、専門学校・大学の非常勤講師等で社会福祉専門職の育成に携わっている。高齢者や障害者等の介護における介護者支援についての研究や活動を行っている。介護者サポートネットワークセンター・アラジン(理事長牧野史子)は介護者支援を専門に行うの先駆的NPOである。 関連コラム 「サービスの質」ってどんなもの? 2014年5月16日 「グレートプレゼンターになろう!」 2019年1月18日 その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード