80歳胃がんの末期で Posted on 2013年2月20日2025年2月17日 by kaida HOME >コラム>大橋 奈美 氏 80歳の次郎さんの長男夫婦から「父が胃がんの末期で、退院したい。最期は、自分が建てた家で死にたい」という希望があり、在宅ホスピスをお願いしたいという依頼があった。病院の医師によると、余命は1週間であった。退院してきた次郎さんの初回訪問の言葉は「あー家に帰って良かった。これで、安心してあの世に逝ける」という言葉に、家族とともに涙した。余命1週間という次郎さんは、妻、長男夫婦、孫2人の6人暮らしだった。2週間ほど経ったころ、私が麻薬の内服確認をしていたときに、「貴女は、元気そうで羨ましいねー」と次郎さんはベッドで寝ている体を少し横に向けて言った。私は「元気に見えるとよく言われます。これでもあーすれば良かったなとか反省ばかりです」と言った。 その頃はスタッフ教育について悩んでいた私だった。次郎さんは「反省をする人は、本当に人の上に立つ人だとわしは思う。反省できない人には、上に立つ資格などない。それでいいんだ。『頭まわらな尾はまわらん』という言葉がある。貴女達の仕事は、本当にわしや家族を不安から安心に変えてくれる仕事だと思う。頑張って、それで良いんだよ」と・・・「見透かされたー!」と思った。この会話の3日後に、次郎さんは家族の見守られる中大好きなウイスキーを毎日飲んで、やすらかに息を引きとられた。私たちエンゼルケアは、2人の訪問看護師で実施する。1人の看護師が次郎さんの体の後ろにまわって抱え、もう一人の看護師が家族とハグハグできるように、トントンと背中をさすりながら家族全員にお別れをしてもらう。妻は「お父さん今まで有難う。向こうに私が逝ったときは会おうね」といつも大人しかった長男は「親父、親孝行できなくてすまなかった」と泣いていた。私は「家に連れて帰ってくれたこと、本当に親孝行できたよ。お父さんいつも、感謝してるって看護師に話してたよ」と話す。家族は、涙を流されながらも清々しい表情であった。これが、訪問看護の遣り甲斐につながる。私は、今でも反省するたび「反省する人は、人の上に立つ人だ」と語って下さった次郎さんの言葉を思い出し、訪問看護している。 大橋 奈美 氏 連載一覧 多死社会に向けて訪問看護師が、死に場所を求める人たちの受け皿になるのだ 2013年3月11日 80歳胃がんの末期で 2013年2月20日 チームワークの良さが多職種連携に繋がる 2013年1月21日 プロフィール ハートフリーやすらぎ 常務理事 ■経歴■錦秀会高等看護専門学校卒業後、阪和記念病院(第3次救急病院)に8年間勤務(主任)。その後大阪府立看護大学医療技術短期大学非常勤講師助手。1999年から公立那賀病院呼吸器科勤務5年間(師長補佐)。2004年から訪問看護に携わる(所長)。2000年介護支援専門員資格取得。2002年呼吸療法認定師の資格を取得。西洋医学と東洋医学両方のアプローチができる訪問看護師をめざし,2000年佛教大学社会福祉学部,2007年関西医療学園専門学校東洋医療鍼灸学科卒業。同年 4月鍼灸師に。なお,2010年 訪問看護認定看護師を取得。「人材は、宝」「まず聴いてみること」を大事にしながら、リフレクションをしています。ストレス発散は、映画鑑賞、長居公園や住吉大社を散歩すること。 関連コラム 支縁の質~人の縁とは不思議なもので~ 2023年8月16日 人権と尊厳を支える介護 2022年4月8日 介護を自分のこととしてどう受け止めるか 2024年1月11日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード