介護福祉施設の経営悪化を食い止めろ!経営悪化の原因と改善方法を学ぼう

2022年は、介護事業者の倒産が過去最多を更新しました。2022年の老人福祉・介護事業の倒産件数は143件を記録し、前年比で76.5%も増加しています。特に、小規模事業所の倒産が増えており、不安に感じている人も多いのではないでしょうか。介護事業所は、経営悪化の原因を知り、適切な対策を講じれば、健全に運営することができます。
この記事では、介護福祉施設が経営悪化する原因と改善方法について解説します。

介護福祉施設が経営悪化する3つの理由

2022年の介護福祉施設の倒産は、2000年以降で過去最多を更新しました。
一般的に、介護福祉施設の倒産には、他業種からの新規参入や大手との競争激化、介護報酬のマイナス改定などが背景にあるといわれています。なぜ、介護福祉施設の経営は悪化してしまうのでしょうか。経営が悪化する理由には、次の3つが考えられます。

深刻な人材不足

介護福祉施設の経営が悪化する原因として、まず考えられるのが深刻な人手不足です。介護現場では、慢性的な人材不足に陥っている現状があります。公益財団法人介護労働安定センターが実施した令和3年度「介護労働実態調査」の結果報告によると、人材不足を感じている介護事業所の割合は63%と高くなっています。ところが、離職率は毎年低下しており、2022年度は14.3%と過去最低となりました。この数値は異業種と比べても低く、介護職はけっして働きにくい環境ではないことがわかります。 では、なぜ人材不足は慢性化しているのでしょうか。その理由は新規採用の難しさにあります。2019年に実施された介護職のイメージに関する調査では、介護職の実態に対しネガティブなイメージが定着してしまっていることが明らかになりました。「介護職=体力的・精神的にきつそう」というイメージが先行した結果、新規採用が難航し、必要な人材を確保できないため倒産に追い込まれる事業所が出てしまったと考えられるでしょう。 介護施設の人手不足については、「介護施設の深刻な人手不足!現状と今後の改善策を徹底解説」もご参照ください。

不十分な人材育成

経営悪化の原因として次に考えられるのが、思うように人材育成が進まないことです。なかでも、新人と管理者の育成が不十分な場合は、経営悪化に大きく影響します。せっかく新人を採用しても、新人教育担当をつけられなかったり、時間に追われて丁寧に指導する時間がなかったりすると、人材育成が十分にできません。特に、小規模事業所や人手不足に陥っている事業所では、新人教育が不十分になりやすいでしょう。その結果、サービスの質が担保できなかったり、ほかの事業所との差別化ができなかったりして、倒産に追い込まれてしまうことがあります。

人材育成の問題は新人だけではなく、管理者にもあてはまります。管理者は介護業務に加え、マネジメントとマーケティング、行政書類作成などの管理業務も行う必要があります。収益が安定している事業所では、管理業務をしっかりと管理者が行っているため、管理体制の仕組みが整っています。ところが、管理者スキルが不足していていると、施設内の管理が行き届かず、施設経営に影響がおよぶ可能性が高まってしまいます。管理業務の要であるマネジメントとマーケティング、行政書類の作成は、どれかひとつが欠けても経営悪化の原因になります。健全経営のためには、管理者の育成は必須課題といえるでしょう。

新型コロナウイルス流行の影響

近年の介護福祉施設の経営悪化では、新型コロナウイルス流行の影響も忘れてはいけません。コロナ禍により、利用者がサービス利用を控えることが増えました。事業所のなかには、感染対策費用の負担がのしかかり、収入が減る一方で支出は増えていくという悪循環に陥ったところも少なくありません。

2021年度は国の支援策が整い、新型コロナウイルスによる影響は縮小しました。しかし、2022年度は支援策が縮小されたこともあり、経営悪化に陥る事業所が再度増えてしまったと考えられるでしょう。

介護福祉施設の経営悪化を改善するためにやるべき3つのこと

介護福祉施設が経営悪化を改善するために必要な取り組みは次の3つです。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

職員の待遇改善

職員の待遇改善は、早期離職防止や人材定着促進に効果的なため、経営悪化の改善にも有効です。上掲した実態調査の結果報告によると、早期離職の防止や定着促進のためにもっとも効果があった方策として回答割合が高かったのは、「本人の希望に応じた勤務体制にする等の労働条件の改善に取り組んでいる」の22.9%でした。次いで、「残業を少なくする、有給休暇を取りやすくするなどの労働条件の改善に取り組んでいる」が18.1%でした。この結果から、職員の待遇改善は、人材の流出を防ぐのに効果的であることがわかります。 また、待遇改善の一環として、新人育成がスムーズに行える体制づくりも有効です。指導者マニュアルの作成や研修参加を支援する体制を整えると、新人が育ちやすくスキルアップにもつながります。適切な人材育成が行えると、現場で働く良質な人材を増やせるため、経営悪化の改善が期待できるでしょう。 介護人材の育成についての詳細は、「介護現場の人材育成はなぜ重要?メリットや取り組み方を解説」もご参照ください。

ICT化による業務効率化

ICT化による業務効率化も経営悪化の改善に有効な手段のひとつです。例えば、入所施設での夜間の見守りに介護ロボットや見守りセンサーを導入すれば、巡視の回数や職員の負担を減らすことができます。なかでも業務効率化の影響が大きいのが、事務作業のICT化です。介護現場では、介護記録や請求業務などの事務作業に悩まされている人が多いため、介護ソフトを導入すれば煩雑な事務作業を簡略化できます。介護ソフトは、誰にでも使いやすい工夫がなされていたり、事業者へのサポート体制がしっかりしていたりすることも多いので、導入しやすいでしょう。 しかし、ICT化には費用がかかるため、導入にしり込みしてしまう事業所もあるでしょう。そこで活用したいのが、国の支援制度です。国は介護のICT化を推進しているため、導入に必要な費用の一部を支援する補助金制度を用意しています。補助金制度を活用してICT化を進め、経営悪化を食い止めましょう。 補助金については、「介護業界のICT導入補助金制度!内容、金額、導入後の効果を紹介」で詳細を解説しています。

新たな人材の確保

経営悪化を食い止めるためには、新たな人材を確保することが必要です。しかし、新規採用が難しい状況にあるため、新たな人材確保の方法として、外国人人材の採用やワークシェアリングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

上掲した実態調査の結果報告で介護現場における外国人人材の受け入れ状況を見てみると、すでに受け入れている事業所は6.2%にとどまっているものの、新たに受け入れる予定がある事業所は11.7%となっています。特に入所系施設では、技能実習生の受け入れが10.3%と他種別に比べて高く、今後少しずつ増えていくことが予想されます。

また、近年盛り上がりを見せているのが、仕事を分け合って一人ひとりの負担を軽くするワークシェアリングという働き方です。介護の現場に導入すれば、送迎業務や配膳業務などを切り分けることで、介護職の経験がない学生や主婦でも参入がしやすい状況となります。実際にワークシェアリングを利用した人のなかには、介護職に興味を持つ人や施設を気に入る人も現れ、新たに介護職員として採用される例も出てきています。

介護福祉施設の経営悪化を食い止めるには業務効率化が必須

介護福祉施設の経営悪化を食い止めるためには、人材不足を改善することが急務です。人材不足改善には、業務改善が非常に有効であり、ICT化することでこの問題を解決できる可能性があります。
また、国も補助金制度を用意してICT化を推進しており、今がICT化を進めるにはよい機会です。
特に、介護ソフトの導入はICT化の入り口として取り組みやすいでしょう。
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この機会にぜひ、「介舟ファミリー」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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