障害福祉報酬改定で障害児通所サービスはどう変わる?改定ポイントと影響について解説

2024年は障害福祉サービスの報酬改定が行われます。今回の改定では、さまざまな内容について見直しが行われ、新設される項目も多くあります。今回の障害福祉報酬改定により、障害児通所サービスにはどのような影響があるのでしょうか。障害児通所サービスにおける改定項目のポイントと影響について、詳しく見ていきましょう。

児童福祉法と障害福祉報酬改定についておさらい

障害福祉サービスの報酬改定を知るうえで、理解しておくべきこととして児童福祉法と障害者総合支援法が挙げられます。

障害児における支援では、この2つの法律が大きく関わっています。児童福祉法と障害者総合支援法について、簡単におさらいしておきましょう。

児童福祉法とは、すべての子供を対象とした法律で、福祉の積極的な増進や健全育成を基本理念としています。

児童福祉法は1947年に制定されて以降、時代ごとに社会的ニーズに合わせた改正を行っています。

障害者総合支援法とは、障害がある人が日常生活や社会生活を送るうえで必要となる障害福祉サービスなどを定めた法律です。

障害者総合支援法は、2006年に施行された障害者自立支援法を改正する形で、2013年に施行され、定期的に見直されています。

2024年度の改正は、医療と介護とのトリプル改正となりました。トリプル改正となる年は、大規模な改正となることが多く、2024年度の障害福祉サービスの報酬改定においても、加算の新設や見直しが多く行われています。

2024年度の改定が行われる目的・背景

2024年度の障害福祉報酬改定が行われた目的や背景は、大きく3つあります。

1つめは、単位数に対する評価が十分でないという点です。児童発達支援や放課後等デイサービスの基本報酬は、定員規模などに応じて、1日当たりの単位数が決められていました。しかし、個々の支援時間の長短による手間が十分に評価されていないという声が上がっていました。

2つめは、家族のニーズに計画的に対応するためです。障害福祉サービスでは、家族からの預かりニーズが多かったため、2024年度の改定では、児童発達支援と放課後等デイサービスの延長支援加算が見直されました。

3つめは、放課後等デイサービスの提供するサービス内容についてです。放課後等デイサービスが提供するサービスのなかには、提供する目的に対し公費負担による支援としてはふさわしくない事業所があることが問題視されていました。そのため、2024年度は総合的な支援の基本とする方向の改定が行われています。

2024年度の改定で障害児通所サービスが押さえておきたい5つのポイント

2024年度の改定内容のうち、障害児通所サービスが押さえておきたいポイントを、5つに分けて見ていきましょう。

家族支援の充実

2024年度の改定では、家族支援の充実を図るため、自宅へ訪問し相談援助を行う「家庭連携加算」と、事業所内で相談援助を行う「事業所内相談支援加算」が統合し、「家族支援加算」へと名称も変更となりました。

家族支援加算は、個別相談援助を(Ⅰ)、グループでの相談援助を(Ⅱ)とし、居宅と施設それぞれで単位数が設定されています。

さらに、オンラインによる相談についても、算定できるようになりました。

また、本人の支援だけでなく、きょうだいも相談援助の対象となることが明確化されました。具体的な単位数については、以下のとおりです。

現行 改定後
家庭連携加算(月4回まで)
居宅訪問:280単位(1時間未満187単位)/回
家族支援加算(それぞれ月4回まで)
(Ⅰ)個別の相談援助等
 居宅訪問:300単位(1時間未満200単位)/回
 施設等で対面:100単位/回
 オンライン:80単位/回
(Ⅱ)グループでの相談援助等
 施設等での対面:80単位/回
 オンライン:60単位/回
事業所内相談支援加算(月1回まで)
(Ⅰ)個別相談:100単位/回
(Ⅱ)グループ:80単位/回

さらに、「子育てサポート加算」が新設されました。子育てサポート加算は、事業所が保護者に支援場面における観察や参加などの機会を提供したうえで、子供の特性や、特性を踏まえた子供への関わり方についての相談援助を行った場合に、1回当たり80単位を、月4回まで算定できます。

関係機関との連携を強化し質の高い支援の実施を目指す

今回の改定では、関係機関との連携を強化し、質の高い支援の実施を目指すため、「関係機関連携加算」の対象に医療機関や児童相談所等が追加されました。この加算は、個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合に算定できます。現行の加算と比べると、内容が細分化する結果となりました。具体的な加算内容は、以下のとおりです。
現行 改定後
(Ⅰ)保育所や学校等との個別支援計画に関する会議を開催し、連携して個別支援計画を作成した場合
 200単位/回(月1回まで)
(Ⅱ)就学先の小学校や就職先の企業等との連絡調整を行った場合
 200単位/回(1回まで)
(Ⅰ)保育所や学校等との個別支援計画に関する会議を開催し、連携して個別支援計画を作成した場合
 250単位/回(月1回まで)
(Ⅱ)保育所や学校との会議等により情報連携を行った場合
 200単位/回(月1回まで)
(Ⅲ)児童相談所、医療機関等との会議等により情報連携を行った場合
 150単位/回(月1回まで)
(Ⅳ)就学先の小学校や就職先の企業等との連絡調整を行った場合
 200単位/回(1回まで)

また、セルフプランで複数の事業所を利用する子供に関する連携について、「事業所間連携加算」が新設されました。この加算では、子供の状況や支援状況の共有等の情報連携を行った場合、加算を算定できます。さらに、セルフプランを自治体と障害児支援事業所が共有して活用する仕組みも設けられました。事業所間連携加算の詳細な内容は以下のとおりです。

  • (Ⅰ)中核となる事業所 500単位/回(月1回まで)
    会議開催等による事業所間情報連携、家族への相談援助や自治体との情報連携を実施した場合
  • (Ⅱ)連携する事業所 150単位/回(月1回まで)
    上記の情報連携に参画、事業所内で情報を共有し支援に反映した場合

生活介護における支援の実態に応じた基本報酬区分が見直し

生活介護では基本報酬は営業時間で設定されていますが、2024年度からは、利用者ごとのサービス提供の実態に応じた報酬体系となるよう改定されました。

基本報酬の設定では、これまでの障害支援区分ごとと利用定員規模に応じた算定から、サービス提供時間を加えた算定となり、より細分化した設定となっています。
また、サービス提供時間については、医療的ケアが必要な利用者や盲ろう者など、障害特性等によって利用時間が短時間にならざるを得ない場合は、以下の配慮を実施します。

  • 個別支援計画に定めた標準の支援時間で算定することを基本とするなどの一定の配慮を設ける
  • 従業員の配置員数を算定する際に必要な前年度の平均利用者数の算定については、サービス提供時間を考慮する。具体的には、5時間以上7時間未満の利用者は0.75人、5時間未満は0.5人と計算する。短時間の利用者を午前と午後に受け入れることも可能とする

さらに、基本報酬に加えて「福祉専門職配置等加算(Ⅲ)」が算定できるようになります。福祉専門職配置等加算(Ⅲ)は、常勤職員が多く配置されていることや、常勤職員の勤続年数が長いことを適切に評価する加算で、1日6単位算定できます。また、福祉専門職配置等加算(Ⅰ)または(Ⅱ)との併用も可能です。

総合的な支援の提供を基本とした評価体制へ変更

質の高い発達支援を推進するため、2024年度からは総合的な支援の提供を基本とした評価体制に変わります。

支援においては、運営基準として、「運動・感覚」「健康・生活」「認知・行動」「人間関係・社会性」「言語・コミュニケーション」の5つの領域を含めた総合的な支援を提供することを基本とします。

事業所個別支援計画等において、支援内容と5領域のつながりを明確化したうえでサービスを提供することが求められるようになりました。

運営基準の定義に基づいた支援プログラムの作成や公表をしなかった場合には、支援プログラム未公表減算として所定単位数の85%の算定となります。この減算には、1年の経過措置期間が設けられています。

専門的支援加算及び特別支援加算については、両加算を統合し、専門的な支援を提供する体制と、専門人材による個別で集中的な支援を計画的に実施することについて、2段階で評価する形となりました。

基本報酬において、30分未満という極めて短時間の支援については、算定対象から原則除外されます。そして、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価ができるよう、支援時間による区分が設けられるようになりました。

報酬改定が障害児通所施設に与える影響

2024年度の改定が障害児通所施設に与える影響は、大きく3つあります。

まず、放課後等デイサービスにおいては、習い事のような支援を行っている場合は、公費負担の対象外になる可能性があります。ピアノや絵画のみの支援、学習塾のような学習支援のみを提供している場合は、利用者に再アセスメントを行ったうえで、5領域とのつながりがわかる支援内容を記載した個別支援計画を再度作らなければなりません。個別支援計画の内容によっては、活動プログラムの内容についても見直す必要があるでしょう。

次に、基本報酬がアップすることで、利用者数の変動に柔軟な対応ができるようになります。その結果、小規模な事業所でも運営しやすくなり、施設からの地域移行が推進しやすくなると考えられます。

ただし、今回の改定では基本報酬アップや加算内容の変更、新設などが多く、業務負担や請求時の事務負担が増えることになるでしょう。

この負担を軽減するためには、法改正への対応とサポート体制が整っている介護ソフトの導入や、事業所のICT化が欠かせません。介舟ファミリーなら導入から法改正まで、しっかりサポートしてくれるので安心です。

事業所全体でサービスの質の向上に努めよう

2024年度の障害福祉報酬改定では、利用者のニーズに合わせたサービスの質の向上と、職員の待遇改善に重きが置かれた内容となっています。

また、障害児通所施設では、家族支援も含めた総合的な支援を提供していく必要があります。事業所全体で法改正に合わせた職場環境の改善や、体制づくりを行っていくことが大切です。

さらに、法改正は3年ごとに行われており、改正ごとに速やかな対応が求められます。日ごろから事業所のICT化を進めておくと、改正にもスムーズに対応できることでしょう。

法改正に対応した介護ソフトがあれば、法改正時の業務負担も軽減できます。

介舟ファミリーであれば、導入から法改正までフルサポートしてくれるので安心です。この機会に、介舟ファミリーの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

\「介舟ファミリー」にご興味がある方はこちら/