プレイングマネジャーのマネジメント実践

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第1・2回では、「頑張り過ぎないよう」「必要十分な(事足りる)質と量」に介護サービスをマネジメントしなくてならない、と書きました。
そのマネジメントを実践する上で要となるのが、マネジメント層(管理者等)ですが、現場職も兼ねてサービスとマネジメントを同時に行うプレイングマネジャーが多いのが、介護業界の特性です。責任・業務負担が大きく、いつの間にか精神身体に多大な負担がかかってしまいがちです。
「身体を壊してまでやらなきゃいけない仕事などありません」、まず自分が潰れてしまわないように「頑張り過ぎない・抱え込み過ぎない・やり過ぎない」を優先して、仕事をしていただきたいです。
施設・事業所のサービスのマネジメントを行い、生産性を高めるためには、自分自身の仕事のマネジメントをきちんと実践することが肝要です。

 

セミナー等で本テーマの講師をする際には、プレイングマネジャーがより生産性が高い働き方をするための実践ポイントとして、以下の4つあげています。

1.組織的に仕組みで防ぐ・改善する

場当たり的で事後的な対応をしていては、同じ問題(クレーム・事故・収益・人間関係等)に悩まされ続けます。
そうならないように、「問題が起きてから、自分がその場で対応する」(属人的)ではなく、「仕組みをつくり、組織・チームを動かし、問題を事前に防止する」 (組織的) ことが、マネジメントの重要機能です。

2.本来業務に注力する

下記のようなマネジメントを実践する(仕組みをつくる、組織を動かす、求められる成果を出す)ことこそ、マネジャーの本来業務です。

3.任せて任せ切らない

タスクシフト・タスクシェアによる「サービスレベル・収益の低下」 「業務負担増」といった副作用を抑えためには、業務管理・進捗管理・コミュニケーションを怠らないことです。随時と定期(会議・MT・面談・人事考課等)を組み合わせて、効果的にチェック機能を働かせましょう。

4.全体を一覧で可視化する

業務管理のポイントは、「全体を一覧で把握できる」状態にしておくことです。自分の業務スケジュールを1箇所に集約し、時系列(縦軸)と業務(横軸)で整理しておくと効果的です。(※業務スケジュール一覧例参照)

第1回で「 ”頑張り過ぎない” 介護サービスを」述べたのと同様に、介護業界の中心となって現場を動かしているプレイングマネジャーが、その責任感から頑張り過ぎて疲弊して退出してしまうような事態を招かぬように、自身のマネジメントを効果的に実践し、長くこの業界で活躍していただきたいと切に願っております。

馬場 博 氏

一般社団法人C.C.Net 専務理事

■経歴■

1970年生まれ。専修大学経営学部経営学科卒。
10年間の音楽関連小売業での店舗マネジメント・統括本部の経験を経て、2002年から横浜市の居宅介護サービス事業者で、取締役企画開発室室長として、主に新規事業・施策開発を担当。
新サービス開発、事業所開設、研修・セミナー事業など行う。
2003年に有限会社コレクティブエーシーを設立。
2012年8月より、介護経営をワンストップでサポートをコンセプトにした一般社団法人C.C.Netの設立に参画、専務理事に就任。
介護事業者での実践経験を活かし、全国各地で介護経営コンサルティング (開業支援・事業戦略立案・人事システム構築・社内研修企画実施等)、研修・セミナー講師、書籍執筆など、介護事業の経営サポート活動を行っている。
2018年4月より、有限会社青空、有限会社神奈川ケア・サービス執行役員・スーパーバイザーに就任。

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