グループホームの質について

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林田 俊弘 氏

3回目は、今、私が携わっている仕事について書かせていただきます。

私は、認知症対応型共同生活介護(以下グループホームとします)の運営が現在の仕事です。
特別養護老人ホーム(以下特養)の介護職員をしていたころからGHを運営したいと思っていました。

認知症の中核症状として「見当識障害」と言うのがあます。
この症状は場所、人、時間の見当が付きにくくなる症状です。
その症状がある方にとっては、特養のような施設は、場所は広い、かかわる職員は多いと見当をつけることがとても難しくなります。

特に、時間が問題でした。
特養などの施設はだいたい15分単位で生活の流れが進みます。
時間の見当識が失われていっている人にとって、そのことは大変つらいこととなります。
常に誰かに指示をされるか、自分が不安を感じている状態になるのです。
ですので、見当識障害のある方にとっても生活のしやすい場所を作りたいと思ったのです。

そこで、グループホームの質を考えるときに、1日の生活の流れが入居している方にとって生活しやすいリズムであることが重要です。

基本的には、入居者さんお一人おひとりの生活のリズムを理解し、起きてもらうように心がけていかなければなりません。

どうしても、介護する側主導で起きてもらう場合は、それによってその方の生活がより豊かになることや、通院などで病気に対する対応などの理由が必要と考えます。

もう一つグループホームの質を考えるときに重要なのは、環境です。
さまざまな環境がそこで生活をする方に合わせてある必要があります。
掃除・洗濯・調理など、そこの入居者さんにできることがあれば、できるように支えるのがグループホームでの生活ですので、高さや大きさ、明るさの調整、生活道具ができるだけアナログであることなどが重要です。

そしてこれらのことがなぜ重要なのか。
それは、主体者が誰なのかを考えていくということです。

つまり、グループホームで最も大切な質は、入居されている方の主体性を活かしていることであると言えます。

私が考える認知症状態にある方の支援の質

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林田 俊弘 氏

前回は、私が考える質について書かせてもらいましたが、今回は、認知症状態にある方を支えていくときに考えるべき、「質」について書かせていただきたいと思います。
認知症状態にある方を支えていくときに理解すべき重要な視点は大きく3つです。
1.認知症状態であっても「人」として当然の言動をとられること。
2.認知症状態にあっても個人として当然の言動をとられること。
3.私たちが、認知症の症状を理解すること。
重要度合いも、この順番だと思います。
とても残念なことですが、私たちのように認知症状態にある方々を支える仕事をする人の中にも、この順番を真逆にする方もいます。
しかも、認知症の症状に気を取られるあまりに、B.P.S.D(行動・心理症状)ばかりに目がいってしまい、その方が本当に何を望んでいるのかを理解できないことがあります。
そうならないためにも私たちの仕事には、質を求められます。
では、私たちはどのようにして認知症状態にある方々の支援の質を身に着け、高めればよいのでしょうか。
それは、まずその方のことを知って、考えることです。認知症状態になると言葉ではうまく意思を伝えられないこともあります。
しかし、言葉にならない言葉に対しても耳を傾け、記憶しその意味を考えるのです。
表情やしぐさに関しても同様です。そこには必ず何かの理由があり、そのほとんどは「人」として当然の欲求であったり、個人のこれまでの人生や体験からの言葉がほとんどです。
そこに気づくまでしっかりと聞き、考える必要があります。
私は、この時間を十分にとり、「その方のことを知る。知りたい」という想いが相手に伝わった事により、「単純に介護する人とされる人」ではなく、人として本当に関係を築くことになると考えています。
このことが最も重要でハイレベルな認知症状態にある方を支える質だと考えています。

「私が求める「質」を語る!」

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林田 俊弘 氏

はじめまして。
私は、都内で認知症対応型共同生活介護(以下グループホーム)を運営しています。

グループホームは1999年の4月から運営をしていまして、現在6事業所を運営し、60名様分の居室があります。

「質」については、よく考えます。
当然仕事について考えることがほとんどです。
ケアの質、グループホームの質 認知症状態にある方への支援の質などなどです。
そのようなことを考えるときに、必ず行き着くのが、「質とは何か」ということです。

辞書を調べると、「そのものの良否・粗密・傾向などを決めることになる性質。
実際の内容。「量より―」「―が落ちる」などと出てきます。(デジタル大辞泉)

その通りでしょうけど、これでは今一つピンときません。

そこで、質が良いものを表す言葉である「上質」について考えると、これの対義語は「粗悪」です。
と言うことは上質とは物事を構成しているものが、ほかのものと比較すると、より良いもので構成され、それがトータルでほかのものより良い出来であることかなと考えます。

ということは、質とは物事を構成しているひとつひとつのものを総じている言葉だと考えられます。

その「質」という言葉は一言ですが、さまざまなとらえ方があると思うのですが、大切なのは、その物事を求めている人にとって意義のある質であるかどうかということだと思います。

求めている人からすると、たいして必要としていない「質」であればそれはどんなに上質であっても評価の対象とはならないと思うのです。
例えば、家電製品を買う時に、最新のさまざまな高性能・多様性に惹かれるか、シンプルな操作性と確実な動作を求めるかによって、同じカテゴリーのものを買うにしても違いが出てくると思うのです。

つまり、仕事において求める「質」を考えるのであれば、誰にとってのどのような質を求められているかを考えることが、とても重要なのだと考えています。