【2024年法改正】個別支援計画の5領域とは?作成ポイントもあわせて解説

【2024年法改正】個別支援計画の5領域とは?作成ポイントもあわせて解説

障害福祉サービス事業者が利用者に障害福祉サービスを提供するために必要不可欠な、個別支援計画。2024年度の法改正により、5つの領域をすべて網羅した支援を行う必要があります。
この記事では、個別支援計画の基本概念から5領域の詳細、そして効果的な計画作成のポイントまでを網羅的に解説します。支援に携わる事業者や家族の方々にとって、より良い支援を実現するための指針となることを目指しています。

個別支援計画とは

個別支援計画とは、障害福祉サービスを提供する事業者が、障害児や発達に課題のある利用者一人ひとりのニーズに応じた支援を行うための具体的な指針を記した書類です。この書類がなければ
サービスを提供することができない
ため、作成が必要になります。

個別支援計画の主な記載内容としては、以下の通りです。

  • 本人と家族の希望
  • 到達目標
  • 具体的な到達目標および支援計画等
  • 総合的な支援の方針

個別支援計画には、具体的な期間が設定されており、長期目標は1年、短期目標は3~6か月で設定するのが一般的です。これにより、常に子どもの現状に即した適切な支援を提供することが可能となります。

2024年度の個別支援計画の5領域に関する改正内容

2024年度の改正では、障害福祉サービス等の報酬改定により、児童発達支援及び放課後等デイサービスにおいて、個別支援計画への記載事項の変更が行われました。

改正の主なポイントは以下の通りです。

  • 5領域との関連性を明確にした支援内容を作成・公表の義務化
    令和6年度中に公表かつ届け出が必要(届け出をしていない場合、利用者全員分が15%減算(令和7年4月以降))
  • 支援に要する時間を記載する
  • 延長支援時間を記載する
  • インクルージョン(障害児の地域社会への参加・包摂)の観点を踏まえた取り組みを記載する

この改正の中でも、特に大切なのが「5領域の視点をすべて含めた包括的な支援を提供すること」です。

子どもの発達は、各領域が独立して進むのではなく、相互に密接に関連しながら進行します。例えば、運動機能の発達は、空間認知や身体イメージの形成に影響を与え、それが認知機能や社会性の発達にも波及します。

このような発達の相互関連性を考慮することで、一つの支援が複数の領域に波及効果をもたらす可能性が高まります。同時に、ある領域での課題を他の領域を支援することで解決につながる可能性もあります。

この包括的アプローチにより、子どもたちは健やかに成長し、日常生活や社会生活を円滑に営む力を身につけることができます。

では、その5領域とはどのようなものなのでしょうか。

個別支援計画の5領域とは

個別支援計画の5領域は、子どもの発達を多角的に捉えるための重要な要素です。児童発達ガイドラインを参考に、各領域について詳しく見ていきましょう。

健康・生活

健康・生活の領域は、子どもの基本的な生活習慣や身体的健康に関する部分です。具体的には、食事、睡眠、排泄、衛生管理などが含まれます。この領域の支援は、子どもの日常生活や社会生活の質を向上させ、他の領域の発達の基盤となります。

ねらい 健康状態の維持・改善
生活のリズムや生活習慣の形成
基本的生活スキルの獲得
支援内容 健康状態の把握
健康な心と体を育て自ら健康で安全な生活を作り出すこと を支援する。また、健康状態の常なるチェックと必要な対応を行う。その際、意思表示が困難である子どもの障害の特性 及び発達の過程・特性等に配慮し、小さなサインから心身の 異変に気づけるよう、きめ細かな観察を行う。
健康の増進
睡眠、食事、排泄等の基本的な生活のリズムを身に付けら れるよう支援する。また、健康な生活の基本となる食を営む力の育成に努めるとともに、楽しく食事ができるよう、口腔 内機能・感覚等に配慮しながら、咀嚼・嚥下、姿勢保持、自助具等に関する支援を行う。さらに、病気の予防や安全への配慮を行う。
リハビリテーションの実施
日常生活や社会生活を営めるよう、それぞれの子どもに適した身体的、精神的、社会的訓練を行う。
基本的生活スキルの獲得
身の回りを清潔にし、食事、衣類の着脱、排泄等の生活に必要な基本的技能を獲得できるよう支援する。
構造化等により生活環境を整える
生活の中で、さまざまな遊びを通して学習できるよう環境を整える。 また、障害の特性に配慮し、時間や空間を本人に分かりやすく構造化する。

運動・感覚

運動・感覚の領域は、日常生活に必要な動作の基本となる姿勢保持や筋肉の維持・強化などに関する部分です。この領域では、身体の動きや感覚の処理能力の向上を目指します。

運動面では、歩行、ストレッチ、音楽に合わせて体を動かすなどの全身運動から、指先の細かな動きなどを支援します。感覚面では、視覚、聴覚、触覚、前庭感覚、固有受容覚などの感覚情報の処理能力の発達を支援します。

ねらい 姿勢と運動・動作の向上
姿勢と運動・動作の補助的手段の活用
保有する感覚の総合的な活用
支援内容 姿勢と運動・動作の基本的技能の向上
日常生活に必要な動作の基本となる姿勢保持や上肢・下肢の運動・動作の改善及び習得、関節の拘縮や変形の予防、筋力の維持・強化を図る。
姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用
姿勢の保持や各種の運動・動作が困難な場合、姿勢保持装置など、様々な補助用具等の補助的手段を活用してこれらができるよう支援する。
身体の移動能力の向上
自力での身体移動や歩行、歩行器や車いすによる移動など、日常生活に必要な移動能力の向上のための支援を行う。
保有する感覚の活用
保有する視覚、聴覚、触覚等の感覚を十分に活用できるよう、遊び等を通して支援する。
感覚の補助及び代行手段の活用
保有する感覚器官を用いて状況を把握しやすくするよう眼鏡や補聴器等の各種の補助機器を活用できるよう支援する。
感覚の特性(感覚の過敏や鈍麻)への対応
感覚や認知の特性(感覚の過敏や鈍麻)を踏まえ、感覚の偏りに対する環境調整等の支援を行う。

認知・行動

認知・行動の領域は、思考力、記憶力、空間・時間認知などの認知機能と、それに基づく行動パターンに関する部分です。この領域では、子どもの知的発達や学習能力の向上、適切な行動の獲得を目指します。

具体的には、空間・時間・数の概念の把握やモノの機能などの把握、季節の変化への興味などの感性形成などを支援します。

ねらい 認知の発達と行動の習得
空間・時間、数等の概念形成の習得
対象や外部環境の適切な認知と適切な行動の習得
支援内容 感覚や認知の活用
視覚、聴覚、触覚等の感覚を十分活用して、必要な情報を収集して認知機能の発達を促す支援を行う。
知覚から行動への認知過程の発達
環境から情報を取得し、そこから必要なメッセージを選択し、行動につなげるという一連の認知過程の発達を支援する。
認知や行動の手掛かりとなる概念の形成
物の機能や属性、形、色、音が変化する様子、空間・時間 等の概念の形成を図ることによって、それを認知や行動の手掛かりとして活用できるよう支援する。
数量、大小、色等の習得
数量、形の大きさ、重さ、色の違い等の習得のための支援を行う。
認知の偏りへの対応
認知の特性を踏まえ、自分に入ってくる情報を適切に処理できるよう支援し、認知の偏り等の個々の特性に配慮する。また、こだわりや偏食等に対する支援を行う。
行動障害への予防及び対応
感覚や認知の偏り、コミュニケーションの困難性から生ずる行動障害の予防、及び適切行動への対応の支援を行う。

言語・コミュニケーション

言語・コミュニケーションの領域は、言語理解、表現力、非言語コミュニケーションなどに関する部分です。この領域では、子どもの言語発達を促進し、効果的なコミュニケーション能力の獲得を目指します。

言語面では、言葉や文字・記号、などの習得、発声が含まれます。コミュニケーション面では、相手の意図を理解する力、自分の意思を適切に伝える力、会話のキャッチボールなどが重要な要素となります。

ほかにも手話や点字などのコミュニケーション手段の活用が含まれます。

ねらい 言語の形成と活用
言語の受容及び表出
コミュニケーションの基礎的能力の向上
コミュニケーション手段の選択と活用
支援内容 言語の形成と活用
具体的な事物や体験と言葉の意味を結びつける等により、体系的な言語の習得、自発的な発声を促す支援を行う。
受容言語と表出言語の支援
話し言葉や各種の文字・記号等を用いて、相手の意図を理解したり、自分の考えを伝えたりするなど、言語を受容し表出する支援を行う。
人との相互作用によるコミュニケーション能力の獲得
個々に配慮された場面における人との相互作用を通して、共同注意の獲得等を含めたコミュニケーション能力の向上のための支援を行う。
指差し、身振り、サイン等の活用
指差し、身振り、サイン等を用いて、環境の理解と意思の 伝達ができるよう支援する。
読み書き能力の向上のための支援r> 発達障害の子どもなど、障害の特性に応じた読み書き能力の向上のための支援を行う。
コミュニケーション機器の活用
各種の文字・記号、絵カード、機器等のコミュニケーショ ン手段を適切に選択、活用し、環境の理解と意思の伝達が円滑にできるよう支援する。
手話、点字、音声、文字等のコミュニケーション手段の活用
手話、点字、音声、文字、触覚、平易な表現等による多様 なコミュニケーション手段を活用し、環境の理解と意思の伝達ができるよう支援する。

人間関係・社会性

人間関係・社会性の領域は、他者との関わり方や社会のルール理解などに関する部分です。この領域では、子どもの対人関係スキルの向上と、社会性の発達を目指します。

具体的には、協調性、ルールの遵守、集団行動への参加などが含まれます。また、自己理解や自身の情緒コントロールも、この領域の重要な要素です。

ねらい 他者との関わり(人間関係)の形成
自己の理解と行動の調整
仲間づくりと集団への参加
支援内容 アタッチメント(愛着行動)の形成
人との関係を意識し、身近な人と親密な関係を築き、その信頼関係を基盤として、周囲の人と安定した関係を形成するための支援を行う。
模倣行動の支援
遊び等を通じて人の動きを模倣することにより、社会性や 対人関係の芽生えを支援する。
感覚運動遊びから象徴遊びへの支援
感覚機能を使った遊びや運動機能を働かせる遊びから、見立て遊びやつもり遊び、ごっこ遊び等の象徴遊びを通して、徐々に社会性の発達を支援する。
一人遊びから協同遊びへの支援
周囲に子どもがいても無関心である一人遊びの状態から並行遊びを行い、大人が介入して行う連合的な遊び、役割分担したりルールを守って遊ぶ協同遊びを通して、徐々に社会性の発達を支援する。
自己の理解とコントロールのための支援
大人を介在して自分のできること、できないことなど、自分の行動の特徴を理解するとともに、気持ちや情動の調整ができるように支援する。
集団への参加への支援
集団に参加するための手順やルールを理解し、遊びや集団活動に参加できるよう支援する。

個別支援計画の作成手順とポイント

効果的な個別支援計画を作成するためには、さまざまな面での細やかな配慮が必要です。以下、実際の作成手順とポイントについて詳しく解説します。

個別支援計画の作成手順

  1. アセスメント:保護者と面談し、子どもの現状の課題や特性、家族のニーズを聞き取ります。
  2. 個別支援計画の原案作成:アセスメントをもとに原案を作成します。
  3. サービス担当者会議:作成した原案に対し、担当者会議を行います。短期・長期目標の具体的な内容を作成します。話し合いの中で、都度より良い内容の支援計画になるように改善します。
  4. 保護者の同意と署名:保護者に計画書を見せながら説明、交付したうえで同意と署名をもらいます。
  5. サービスの実施:計画に基づいて支援を実施します。
  6. モニタリングと更新:定期的に進捗を確認し、必要に応じて計画を修正します。

児童や家族の意向を尊重する

個別支援計画の作成にあたっては、子どもや家族の意向を最大限尊重することが重要です。以下の児童発達ガイドラインに表記されている通り、子ども自身の興味や希望、家族の期待や懸念を丁寧に聞き取り、計画に反映させましょう。

障害 のある子どもの支援を行うに当たっては、その気づきの段階から、障害 の種別にかかわらず、子ども本人の意思を尊重し、子ども本人の最善の利益を考慮することが必要である。

これにより、子どもや家族の主体性が高まり、支援への積極的な参加が期待できます。また、家庭での実践もスムーズになり、支援の効果が高まるでしょう。

5領域との関連性を明確化する

個別支援計画を作成する際は、5領域をすべて網羅した支援計画を作成する必要があります。

各領域が相互に影響し合うことを念頭に置き、5領域との関連性を明確にした支援計画の作成を行いましょう。

例えば、言語発達を促す目標を設定する場合、それが5領域の発達にどのような影響を与えるかも記載する必要があります。

このような多角的な視点を持つことで、より効果的な支援が可能となります。

定期的なモニタリングを行う

支援計画の効果を最大限に引き出すためには、定期的なモニタリングが欠かせません。最長でも6カ月に1度、支援の進捗状況を確認し、必要に応じて計画を修正しましょう。モニタリングでは、以下の点を確認します。
  • 設定した目標の達成度
  • 支援方法の有効性
  • 子どもの新たなニーズや変化
  • 家族の意見や要望
これらの情報を基に、より効果的な支援へと計画を改善させていきましょう。

他機関との連携や役割分担を行う

子どもの発達支援は、多くの場合、複数の機関や専門家が関わります。個別支援計画の作成にあたっては、関係機関との連携や役割分担を明確にすることが重要です。

例えば、保育所や学校、医療機関、療育機関などとの情報共有や連携方法を計画に盛り込みましょう。各機関の専門性を活かした役割分担を行うことで、より包括的で効果的な支援が可能となります。

介護ソフトを活用する

個別支援計画の作成や管理において、介護ソフトを活用することで、業務効率を大幅に改善できます。

介護ソフトを使用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 情報の一元管理
    子どもの情報や支援記録を一箇所で管理できます。
  • 効率的な計画作成
    テンプレートや過去の記録を活用し、効率的に計画を作成できます。
  • モニタリングの簡素化
    定期的な評価や記録が容易になります。
  • 多職種連携の促進
    関係者間での情報共有がスムーズになります。
  • データ分析蓄積されたデータを分析し、支援の質向上に活用できます。

厚生労働省によると、介護ソフトを活用している施設では、支援の質の向上と利用者の満足度の向上、そして業務効率化につながる可能性があるとして強く推奨しております。ぜひ、介護ソフトの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

介護ソフトを活用して効率的に支援計画を作成しよう

2024年度の法改正により、個別支援計画作成においては、5領域に沿ったアセスメントを行い、その視点を網羅した支援を行うことが求められました。

これにより、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性の各領域を総合的に支援することで、子どもの発達を効果的に促進することができます。

効果的な個別支援計画の作成には、子どもや家族の意向を尊重し、5領域との関連性を明確化し、定期的なモニタリングを行うことが重要です。また、他機関との連携や役割分担、介護ソフトの活用も、支援の質を高める上で大きな役割を果たします。

介舟ファミリーの介護ソフトであれば、障害福祉サービスにも対応しており、個別支援計画業務の作成・管理を効率化できます。そのほかにもさまざまな役立ち機能を搭載しているため、事業所の業務負担軽減に貢献するでしょう。ぜひ一度ご相談ください。

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個別支援計画の重要性や作成ポイントを知って正しい書き方を学ぼう

個別支援計画の重要性や作成ポイントを知って正しい書き方を学ぼう

障害福祉サービス事業者が利用者に障害福祉サービスを提供するためには、個別支援計画の作成は必要不可欠です。しかし、個別支援計画をどのように作成すればいいのか、どのような点に注意したらいいのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、個別支援計画の重要性を再確認したうえで、作成のポイントを押さえた正しい書き方を紹介します。

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個別支援計画は障害福祉サービスに必要不可欠な存在

個別支援計画とは、障害福祉サービスを提供する事業者が利用者一人ひとりに合わせた支援を記した書類です。
個別支援計画がなければ、障害福祉サービスを提供することができないため、障害福祉サービスでは必要不可欠な存在といえるでしょう。}個別支援計画の概要と内容について、詳しく見ていきます。

個別支援計画とは事業所内での具体的な支援内容を記したもの

個別支援計画とは、事業所が利用者に対してどのような支援を行うかということを具体的に記した書類です。利用者が障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを受けるためには、障害福祉サービス事業者が利用者ごとに個別支援計画を作成すること、個別支援計画に基づいて支援を実施することが義務付けられています。

個別支援計画に記載すべき内容

個別支援計画に記載すべき内容には、次の4つがあります。

  • 本人と家族の希望
    本人と家族の希望欄には、事業所を利用するにあたって、本人や家族にどんな希望や意向があるかを記載します。
    希望や意向の内容は、サービス等利用計画を参照したうえで、本人や家族から直接聞き取ると、より具体的な内容を記載できるでしょう。
  • 到達目標
    到達目標には、障害福祉サービスを提供するうえでの目標を記載します。
    目標には長期目標と短期目標があります。長期目標はおおむね1年で達成できるような内容を、短期目標は長期目標到達に向けて、3~6か月で達成できる内容を記載しましょう。
  • 具体的な到達目標および支援計画等
    到達目標が作成できたら、次は具体的な支援計画や支援期間を記載します。
    例えば、「いろいろな作業を経験したい」という目標を立てたならば、実際に行う作業内容として、どのような作業をどれくらいの期間を予定して行うのかについて書きましょう。
    事業所での生活での注意点や職員が行う支援内容も、具体的な支援計画の欄に記載します。
  • 総合的な支援の方針
    総合的な支援の方針には、事業所としてどのようなコンセプトを持って支援していくか、全体の活動のねらいと関係性などを記載します。

個別支援計画を作成するときの基本的な考え方

個別支援計画は、次の5つの基本的な考え方に基づいて作成するようにしましょう。

サービス等利用計画に基づき作成

障害福祉サービスは、相談支援事業者が作成するサービス等利用計画に基づき提供されるという大前提があります。
そのため、個別支援計画はサービス等利用計画と連動した内容にしなければなりません。個別支援計画を作成するときには、サービス等利用計画の内容を踏まえるようにしましょう。

本人や家族のニーズが反映されている

個別支援計画は、障害福祉サービスを利用する本人のための計画です。
本人や家族のニーズが反映されるよう、しっかりとアセスメントを行ったうえで作成するようにしましょう。
あくまでも本人中心の計画であることを念頭に置き、支援者側の押し付けにならないように気をつけましょう。

本人や家族と一緒に創り上げていく

個別支援計画は、本人や家族の持つ能力や意欲を最大限に生かし、希望する生活が可能となるような内容にしなければなりません。
支援者が一方的に作成してしまうと、本人や家族の希望が反映されない可能性があります。
「個別支援計画は本人や家族と一緒に創り上げるもの」という意識をもって作成するようにしましょう。

本人や家族にわかりやすい言葉で書かれている

個別支援計画は、本人や家族が理解できるよう、わかりやすい言葉で書くようにしましょう。
難しい言葉や専門用語は使わず、具体的に書くことが大切です。あいまいな表現を避け、数値を用いて何をどれくらいしたらよいのか記載すると、本人にも理解しやすくなります。

具体的な目標や期間が設定してある

目標が達成できているか適切に評価するために、目標は具体的な内容とし、必ず期間を設定しておきましょう。
期間は、モニタリング時期に合わせて定めることが多く、長期目標は1年、短期目標は3~6か月で設定するのが一般的です。モニタリングの時期は、障害福祉サービスの事業種別ごとに異なっています。
自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労定着支援、自立生活援助は3か月、共同生活援助、療養介護、生活介護、就労継続支援(A型・B型)、施設入所支援は6か月です。

個別支援計画の項目別書き方のポイント

個別支援計画は、どのように書いていけばよいでしょうか。項目別に書き方のポイントをみていきましょう。

到達目標

到達目標は、本人や家族がワクワクして意欲がわくような内容にしましょう。子どもが対象の場合は、どのような子どもに育ってほしいかを保護者とともに考えて書くとよいでしょう。長期目標には、到達目標を達成するために1年間で行うことを記載します。短期目標には、長期目標を達成するためのスモールステップを書きましょう。なお、到達目標は、具体的な到達目標とリンクする内容としてください。

【記入例】
到達目標:自分に合う仕事ややりたい仕事を見つけ、3年後には一般就労する。
長期目標:働くための力をつけるため、いろいろな作業経験を積んで自信をつける。
短期目標:作業手順を覚えて、作業に慣れる。バス通勤にチャレンジする。

具体的な到達目標および支援計画等

具体的な到達目標には、支援期間終了後や次回モニタリング時には目標に到達しているであろう利用者や家族の様子を記載します。
「遅刻をせずに事業所に通う」や「自分の得意不得意を知り、できることを増やす」
など、短期目標を達成するうえで必要な内容とします。
利用者が子どもの場合には、言葉から発せられるニーズだけでなく、成長に必要な発達ニーズも含めるようにしましょう。具体的な到達目標および支援計画等は利用者本人の目標や行動を記載するため、主語は本人もしくは家族となります。

支援内容

支援内容には、事業所がどのような支援を行うのかを具体的に記載します。事業所が行う内容となるので、主語は事業所となります。
「少人数のグループで、得意な〇〇作業を体験できるようにします」
など、合理的配慮をもった視点で書くようにしましょう。また、「ハローワークに月2回同行します」といったように、数字を用いると、より具体的な内容となります。

総合的な支援方針

総合的な支援方針には、サービス等利用計画の内容とリンクしたうえで、事業所としてどのようなコンセプトで支援するのかを記載します。
全体の活動のねらいと支援の関係性が記載できると、より良い内容となるでしょう。「仕事を継続する力を身に付けることで、自分に自信を持てるようになる」といったように、支援の見通しが具体的にイメージできるような内容を記載しましょう。

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個別支援計画が正しく作成されていないことのリスク

個別支援計画が作成されていない場合や、内容に不備があった場合には、どのようなリスクがあるのでしょうか。
主なリスクを2つ紹介します。

減算や指定取り消しの可能性

個別支援計画が作成されていない場合や内容に不備があると、減算や指定取り消しとなる場合があります。

減算の対象となる理由

減算の対象となる理由は次の4つがあります。複数の理由が重なると減算となることが多いでしょう。

  • サービス管理責任者が不在

    個別支援計画はサービス管理責任者が作成する必要があるため、サービス管理責任者が不在=個別支援計画が作成できないとみなされ、減算対象となります。

  • アセスメントを行った記録がない

    個別支援計画はアセスメントを基に作成します。個別支援計画が作成されていても、作成に必要なアセスメントを行った記録がなければ、減算対象となるため、アセスメントに関する記録は必ず残しておきましょう。

  • モニタリングや個別支援計画の見直しが行われていない
    モニタリングは定期的に実施しなければなりません。決められたモニタリング期間内に、必ずモニタリングを行い、個別支援計画の見直しを行いましょう。モニタリングを行っていても、記録がなければ減算対象となりますので、記録は必ず残してください。
    障害者支援におけるモニタリングは重要性を理解して行う必要があります。モニタリングの重要性については「障害者支援におけるモニタリングの重要性と正しい書き方を徹底解説!」のコラム参考にしてみてください。
  • 新規利用者の個別支援計画が開始日までに作成されていない

    新規利用者の個別計画は、利用開始日までに作成されていなければなりません。新規利用者の場合は、開始日までに必ず作成しましょう。

指定取り消しとなる理由

サービス管理担当者の不在が長く続き、一向に個別支援計画が作成されない場合は、行政指導が行われます。行政指導を受けても改善されない場合は、指定取り消しとなるおそれがあります。サービス管理担当者が不在とならないよう、普段から職場環境を整えたり、資格取得の支援を行ったりしましょう。

利用者が希望するサービスを提供できない

個別支援計画には、利用者が望む生活を実現するための目標や支援計画が記載されています。
そのため、個別支援計画がなければ、利用者が希望するサービスが提供できません。利用者や家族の信用を失うことにもなるため、運営そのものができなくなるおそれもあるでしょう。

個別支援計画は正しく作成することが大切

個別支援計画は、障害福祉サービス事業者にとって重要な書類です。不備があると減算や指定取り消しの可能性もあるため、正しく作成しましょう。個別支援計画を作成する際には、障害サービスに対応した介護ソフトを利用すると簡単で効率的に作成することができます。介舟ファミリーなら、文例や過去の作成例を複写して簡単に作成でき、評価表の出力もできます。個別支援計画の作成の際には、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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