2024年度の介護保険改正で介護報酬はどう変わる?介護報酬について詳しく解説

2024年度の介護保険改正で介護報酬はどう変わる?介護報酬について詳しく解説

2024年度に介護保険法が改正されることが決定しました。今回の改正では、処遇改善加算の一本化や介護予防支援事業所の拡大など、さまざまな内容について議論が交わされました。その結果、続々と改正内容が決定されてきています。2023年12月16日には、すでに決まっていた介護職への賃金引き上げに加え、介護報酬の引き上げが決まりました。
そこでこの記事では、2024年度の介護報酬改定のなかでも事業所に大きな影響を与える介護報酬増について、詳しく解説します。

2024年度の介護報酬改定とは

2024年度の介護報酬改定の背景には、認知症の高齢者や単身高齢者の増加など、介護ニーズが増大かつ多様化している現実があります。この傾向は地域ごとに異なっており、地域ごとの特性や実情に合わせた対応が必要となっています。また、物価高騰や他業種の賃金引き上げが進み介護人材が流出していること、人口減少が始まり現役世代が減ってきていることを背景に、介護人材の確保がさらに難しくなっており、人材確保に向けた対策も急務です。さらに、介護に要する費用も増加しており、必要なサービスは確保しながら制度の安定性や持続可能性を高めていく必要があります。 このような状況をもとに、2024年度の介護報酬改定では、以下の4つの基本的な視点を持って見直しが行われました。 詳しくは、「2024年度介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説」をご覧ください。

2024年の介護保険制度の改正に向けた政府提言について、わかりやすく解説します。

地域包括ケアシステムの深化・推進

2024年度の介護報酬改定では、地域ごとに異なる特性や実情に応じ、高齢者が住み慣れた地域で暮らせるような取り組みを推進する運びとなっています。認知症やひとり暮らし、医療ニーズが高い中重度の高齢者にも、質の高いケアマネジメントや必要なサービスを切れ目なく提供することを目的として、次のような取り組みや対応を実施していきます。

  • 医療・介護連携により医療ニーズの高い方や看取りなど、複合ニーズを抱える方への対応を進める
  • 感染症や災害への対応力を強化する
  • 高齢者が安心して暮らせるよう、高齢者虐待の防止に取り組む
  • 認知症でも安心して暮らせるよう、認知症への施策を実施する

自立支援・重度化防止に向けた対応

自立支援・重度化防止では、これまで行ってきた多職種連携やアウトカム評価、科学的介護の推進を引き続き行っていくことが明記されています。具体的には、リハビリテーションと口腔、栄養の一体的な取り組みや、LIFEを活用した質の高い介護の実施を行います。

良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい環境づくり

さらなる介護サービスの質の向上を目指し、2024年度の介護報酬改定では、処遇改善や生産性向上により職場環境の改善に向けた先進的な取り組みを実施します。具体的には、介護ロボットやICT、介護助手の活用等によるサービスの質の向上と業務負担の軽減を図ります。また、経営の協働化やテレワークなどの柔軟な働き方、サービス提供に関する取り組みなども行います。

2024年度の介護報酬改定では1.59%の介護報酬増が決定

2024年度の介護報酬改定では、2024年度2月から月6,000円程度の賃金引き上げが補助金で先行的に始まり、6月からは介護報酬の新加算として実施されることが決定しました。ただし、居宅介護支援事業所のケアマネについては、この処遇改善による賃金引き上げの対象外となっています。 また、2023年12月16日には、介護報酬の引き上げも決まりました。具体的には、処遇改善による引き上げ0.98%を含む、トータルで1.59%増となっています。今回の介護報酬増の背景には、物価高や人手不足が影響していると考えられます。 なお、介護報酬の改定時期については、これまで同様4月となっています。ただし、診療報酬と介護報酬の両方を請求している医療系サービスについては、混乱が生じないよう、診療報酬と同様の6月施行で決まりました。6月施行となるのは、訪問看護と訪問リハビリ、通所リハビリ、居宅療養管理指導の4種類です。 介護報酬について、詳しくは「介護報酬とは?報酬計算の方法や仕組みをわかりやすく解説!」をご覧ください。

介護報酬の基本的な知識について詳しく解説します。

介護報酬増における事業所へのメリット

介護報酬が増えたことによるメリットとして挙げられるのが、介護職員1人当たりの賃金アップです。2024年度の介護報酬改定では、処遇改善の新加算により月6,000円程度の賃金引き上げとなります。賃金アップは介護職員のモチベーションアップにつながることから、人材の定着促進や離職防止に歯止めがかかる可能性があります。 また、介護職1人当たりの賃金が上がることで他職種との賃金差が縮まり、離職を思いとどまる人が出てくるだけでなく、労働市場での介護職種の魅力アップにつなげられます。若い世代に介護職の魅力を感じてもらえれば、将来的に介護職の人材を確保できるでしょう。 さらに、今回の改定では処遇改善だけでなく、生産性向上による職場環境の改善に向けた先進的な取り組みを推進しているため、介護ロボットの導入やICT化、介護助手の活用など、事業所にとって新たな施策を行う必要があります。介護報酬が増えることにより、これらの施策に取り組みやすくなり、職場環境の改善を進めやすくなるのではないでしょうか。

介護報酬増における事業所の注意点

介護報酬が増えることで得られるメリットがある一方、気を付けるべき点もあります。以下に3つ紹介します。

現場職員への負担が増える可能性がある

介護報酬が改定されると、現場は改定に合わせて変化していかなければなりません。まずは、現場職員に改定内容を周知していく必要があります。関係する職員全員に周知するには労力がかかるため、伝える側の職員が負担に思う場面もあるでしょう。 また、改定のたびに書類作成や請求業務が発生することが多いため、事務作業が一時的に増えます。特に、介護ソフトは改定のたびに内容を合わせていく必要があります。介護ソフトの場合は、アップデートで改定に対応してくれるものも少なくありませんが、それを機にソフトの切り替えを検討される場合もあるでしょう。しかし、介護ソフトを変更するとなると、ソフトの仕様や操作方法に慣れるための時間が必要です。

利用者負担が増え理解を得られない可能性がある

現行の介護保険の仕組みでは、介護報酬が上がると連動して保険料や利用者負担が増えるようになっています。そのため、今回の改定でも利用者負担が増えると考えられます。事業所や介護職員の処遇改善のために利用者負担が増えることに対し、利用者からの理解が得られない可能性もあるでしょう。実際に、特定処遇改善加算を算定していない理由に、利用者負担が発生することを挙げている事業所もあります。
また、介護保険サービスの利用者負担割合については、現在は原則1割のところ、2割にするという提案も行われています。今回の改定では原則2割負担は見送られているものの、議論は継続となっていることから、今後実施になる可能性は高いでしょう。利用者負担はますます増えていくことが考えられるため、将来的には利用者からの理解がさらに得にくくなるのかもしれません。

思ったほどの費用対効果が得られない可能性がある

今回の介護報酬改定により、介護報酬は数字上アップします。しかし、低迷する景気や物価高の影響もあり、改定で介護報酬が上がったはずなのに、思ったほど費用対効果が出ない可能性もあります。むしろ、現場の負担ばかりが増えて大変と感じる事業所があるかもしれません。改定による効果については、すぐに結果が出るものではないため、長い目で見ていく必要があるでしょう。

2024年度介護保険改正に向けて対策を進めよう

2024年度の介護保険改正は目前に迫っており、早い段階から準備を始めておく必要があります。また、報酬体系の整理や簡素化、LIFEの活用など、さまざまな内容における方針も、これからどんどん決まっていくでしょう。目前に迫った介護保険法改正に向けて、あわてることのないように、今のうちから対応を進めておくことをおすすめします。 介舟ファミリーでは、介護保険制度の改正を含め、介護事業所へのお役立ち情報を多数紹介しています。ぜひ、日々の業務にお役立てください。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

\「介舟ファミリー」にご興味がある方はこちら/