~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ Posted on 2012年8月10日2025年2月17日 by 管理者 HOME >コラム>森永 伊紀 氏 間口は狭いが奥行きのある一軒家に、和嶋(仮名)さん夫妻が住んでいます。他県に住む長女が、母の認知症に気づき、ヘルパーの利用が始まりました。しかし、訪問すると夫は、「妻の面倒は自分が見る」と言って、買い物だけを頼むのでした。トイレが汚れていても「せんでええ」と掃除をさせません。1ヶ月が過ぎたある日、ヘルパーは妻の尿失禁に気づき、タオルを探しに家の奥の風呂場に入ると、妻の失禁で汚れた衣類が山に積まれていました。夫は「臭いのは自分が我慢すればええ」と洗濯させません。夫は、物忘れのある妻に覚えさせようとし、イライラして怒鳴り、時に叩く様子も見られました。 しばらくすると夫は、ヘルパーに「妻が言うことを聞いてくれない」と愚痴をこぼすようになりました。ヘルパーが、夫を誉めたり、妻をかばったりしながら、場が和み始めた時に「お茶碗拭きましょうか」と申し出るようにすると、夫婦は「あんた悪いねぇ」と仕事を頼むようになりました。ちょうどその頃から、夫婦はヘルパーに対し、「あんたは家族と同じやね」と言うようになりました。和嶋夫妻の「家族と同じ」という言葉には、二つの意味があります。ホームヘルパーの援助は、利用者・家族からみれば「プライバシーの明け渡し」を伴うものであり、契約を締結したとしても、汚れた下着や自分の体を見せることには強い心理的抵抗感が残ります。「家族と同じ」は、「家族でなければ踏み入れないようなプライバシーに関わることを許された人」と言う意味があります。もう一つは、ヘルパーに対し「このままずっと来て、助けて欲しい」というメッセージです。利用者・家族は、老いや障害によって生じた生活の困難や危機にあって、信頼で来る援助者を生活に取り組み乗り越えようとします。ヘルパーは、利用者・家族のプライバシーに関わる者として信頼を築き、そして、利用者・家族からのメッセージを敏感に受け止め、援助を展開していく力量が求められます。(ホームヘルパーの手による1000の事例研究会から) 森永 伊紀 氏 連載一覧 「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- 2012年9月18日 ~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ 2012年8月10日 その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 プロフィール ホームヘルパー全国連絡会 事務局長。 ■経歴■和光大学人文学部人間関係学科卒業。現在、世田谷保健福祉課地域支援担当・介護指導職。世田谷区職員労働組合執行委員。平成13年2月に発足したホームヘルパーさん全国連絡会事務局長。ホームヘルパーさん全国連絡会が母体となり立ち上げた「ホームヘルパーさんの手による1000の事例研究会」で、全国で事例研究を実施。著作「介護をはじめたあなたに」萌文社。「ホームヘルプにおける援助拒否と援助展開を考える」など。 関連コラム 支援の質 ~地域に開かれるとは~ 2024年2月14日 『私が求める「質」を語る! ~訪問看護リハビリ~』 その3 2017年12月15日 介護のなかの自分らしさ、ちいさなイベントを通じて 2023年12月13日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード