「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- Posted on 2012年9月18日2025年2月17日 by 管理者 HOME >コラム>森永 伊紀 氏 水戸さん(女性・80歳)は、ヘルパーが訪問すると、尿失禁したままストーブの前の座布団にうずくまっており、「着替えましょう」と言っても、「自分でできるから」と動こうとしませんでした。ヘルパーは、水戸さんのトイレが終わるのを見計らって、絞ったタオルを手渡すと同時に、後ろから手早く拭くのでした。一月ほど経って、ヘルパーが、タンスにあった洋服を見つけて誉めたところ、元気に働いていた頃の話しを楽しそうにし始めたので、聴きながら足浴をすることができました。次の訪問から、いつでも入浴できるように湯を沸かし、風呂場で足浴をしました。そんなある日、水戸さんは便失禁をしてしまいました。ヘルパーは、浴室に連れて行き、衣服を脱がしてお尻を洗おうとしました。 水戸さんは、「そんなことまでダメ、臭いからダメ」とヘルパーの手を跳ね除けました。ヘルパーが、反射的に「女同士じゃない、大丈夫!」と言うと、水戸さんは体の力を抜き、自分から壁に手をついたのでした。そしてお尻がきれいになると、浴槽の湯を見て、「そうだよな」と言って入浴したのでした。ヘルパーの「女同士じゃない、大丈夫!」という言葉で、水戸さんは介護を受けることに対する折り合いがつき、介護を受けながら生きていくという、新しい自己が獲得されたのです。壁に手をつき、お尻を洗ってもらっている水戸さんは、ヘルパーに一方的に「されている」のではなく、ヘルパーが洗いやすいように自ら協力しているのです。高齢になっても、認知症があっても、人は自分を変化させ、新しい自己を獲得し、生涯を通して発達していくことができます。そして、それを支えたのは、利用者を受け止め、向かい合おうとする、へルーパーの真摯な姿勢と努力の積み重ねです。その後、水戸さんは、ヘルパーと一緒に炊事をするようになりました。(ホームヘルパーの手による1000の事例研究から) 森永 伊紀 氏 連載一覧 「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- 2012年9月18日 ~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ 2012年8月10日 その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 プロフィール ホームヘルパー全国連絡会 事務局長。 ■経歴■和光大学人文学部人間関係学科卒業。現在、世田谷保健福祉課地域支援担当・介護指導職。世田谷区職員労働組合執行委員。平成13年2月に発足したホームヘルパーさん全国連絡会事務局長。ホームヘルパーさん全国連絡会が母体となり立ち上げた「ホームヘルパーさんの手による1000の事例研究会」で、全国で事例研究を実施。著作「介護をはじめたあなたに」萌文社。「ホームヘルプにおける援助拒否と援助展開を考える」など。 関連コラム 実際の活動について 2019年10月10日 【第1章】私の考える介護の質~胃瘻(いろう)をとりまく生活の質~ 2012年4月11日 これまでの生き方、人との繋がりを知り、地域で最期を迎えられるために 2020年12月11日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード