私憤を公憤に ケアマネよ、団結しよう!!~その2~

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入野 豊 氏

大森山王居宅介護支援事業者 所長

居宅介護支援事業所の収支差率は「△2.6%(*1)(*2)」。

「公正中立であるべし」と言われ続けて13年、実態としては訪問介護等の介護サービス事業所に依拠しなくては健全な運営が出来ない状況が続いてきました。
上記の数値が示す通り構造的な赤字体質であることに変わりはありません。
平成20年の調査結果(*3)と比べ確かに15ポイントという大幅な改善が図られたとは言え、制度の要であるケアマネジメント業務が、相も変わらす赤字構造のまま放置されているという状況です。
公的な制度でありながら構造的にマイナス収支であるという「異常な状態」を私たちは改めて考えなくてはならないと思います。

介護保険制度において要介護高齢者・障がい者の地域生活を支えてきたという誇りと確信を強力に訴え、主張すべきです。

しかし厚生労働省は、これまで行ってきた法改正・報酬改定において居宅介護支援単価の引き上げや特定事業所加算の創設、更にはその要件の緩和等を行ってきたという「実績」。また、介護支援専門員の担当件数が全国平均約27件と標準担当件数の35件を大きく下回っているとのことから、マイナス収支の要因は「経営努力」を怠ってきた法人や事業所にある、と責任転嫁とも言える認識を示しています。
その上、今回の法改正では地域包括支援センターが地域ネットワークの構築等「本来業務」に徹するためとのことから、ケアマネジャーの介護予防支援担当件数の上限が撤廃されました。地域包括支援センターとの協力・連携が強く求められる中、報酬単価の極めて低い介護予防支援(*4)を今まで以上に多く受け入れなくてはならないことになり、今後居宅介護支援事業所の運営に大きな支障が生ずることが予測されます。

介護の現場における人材の確保は喫緊の課題として厚生労働省も認識しています。良質な在宅支援の提供を行うためには、健全な事業所の運営とそこに働く介護労働者の処遇の安定が何にもまして求められていると思います。

「私憤を公憤に変え、いつでも何処でもどのような状況にあってもケアマネよ、自らの声を挙げよ」とは私の切なる思いであります。

(*1)平成23年介護事業経営実態調査(厚生労働省)
(*2)法人税などを差し引いた後の収支差率は△3.2%
(*3)△17.0%
(*4)412単位/月

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