【第3章】 Q.O.Dと専門職の役割(よりよい死)

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現在の日本の医療制度の中では、治療をしない患者は一般病院にはいられない。
したがって「無駄な延命治療は受けたくない」人は、病院で死を迎えることは難しくなる。
後は、施設か在宅かということになるが、介護施設はおいそれとは入れず、在宅では家族に看取るだけの介護力がない場合が多い。
そこで必要とされるのが、地域ケアシステムの確立であり、在宅での専門職の存在である。
「死に行く人の介護」を学ぶ受講生の中に「私は死に行く人のお世話など、怖くてできません」という人がいる。
そんな時「死に行く人ではなく、その方がよりよく生き切れるように、苦痛をとり少しでも楽になるためのお手伝いはできるでしょ」というと、納得する。

 

死を特別なものと忌み嫌うのではなく、自然の摂理なのだと素直に受け止めることが、医療・介護の専門職に求められる一番大切なことではないだろうか。
その上で、家族を励ましながら、その人らしく「生」をまっとうするお手伝いをすることだと思う。

そうはいっても、在宅で専門職が24時間見守っているわけにはいかず、その間の家族の心理的負担は計り知れないものがある。

そこで、在宅とはいえ自宅ではなく、例えば、地域ケアシステムの一環として、中学校区に一箇所くらい「看取りの家」を設置し、医師と連携しながら、医療・介護の専門職が常駐する。
もちろん、側には、家族やご近所の親しい人などが交代でいつでも出入りできる、
そんな場所があれば、家族はいざというとき安心して病院から引き取り、本人の望むようなQ.O.D(よりよい死)を迎えさせてあげることができるのではないだろうか。

医療・介護両方の資格を持つものとして、地域の中にそのような施設を設置できるよう微力ながらお手伝いできればと念じている。

稲葉 敬子 氏

NPO法人高齢社会をよくする<br>女性の会 理事

■経歴■

看護師として慶応義塾大学病院、ソニー本社で勤務後出版社入社。
育児・健康関連部門の編集部長、取締役企画室長歴任後50台で福祉分野に転身。
65歳で退職後は、現場での介護福祉士、ケアマネジャーの体験を活かし、介護スタッフ育成のため城西国際大学福祉総合学部兼任講師。
一方、 生涯学習の一環として、66歳で奈良大学文化財歴史学科入学、70歳で卒業した。
高齢社会をよくする女性の会理事・介護ジャーナリストとして執筆活動のほか、FM局で「いなばけいこのラジオマガジン」担当。
在日フィリピン人介護士協会顧問として、外国人介護者問題にも取り組み、また、「認知症予防音楽ケア体操指導員」として、認知症予防のためのボランティア活動をライフワークにしている。
平成12年から、修善寺町民生・児童委員を一期務める。
近著に「オトコの介護力」「ケアマネになるには」「どこへ行く?介護難民─フィリピン人介護士に介護を受けるということ」など。

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