ケアを”すること”、”されること”の”間”』を探そう!

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2014年3月、私は身体微不調のため15年間の教員生活に終止符を打ち、教員前の住まいに舞い戻った。
さあ、心身を整えて新たな生活を始めようと意気込む私を、近所に住む昔からの親友は、料理の達人ともいえる腕前で私を応援。
つまり食事の世話という「ケア」の一種を提供してくれた。
互いに楽しみにしていた生活の第一歩だったのだが…。

「ケアとは相手に寄り添うことが基本」とされている。

だがしかし…。世話する側の大変さは想像できていたものの、される側の問題は知識でしかなかったことを思い知った。
まず神経が過敏になる。
世話する側のイライラは、そうでなくても自分の所為と思ってしまう。
 
そう、世話される側の負い目や卑屈という、「依存」がもたらす世界を実体験する羽目になった。
私は長年の友情が壊れてしまう恐れから、意を決して世話になりたくない、と告げた。
親友にとってそれは思いもかけない一言だったに違いない。
好意でやっていることなのにと。
それに対し、私の心の持ちようが問題なのに、その理由をうまく表現できない自分がいた。
「ケアをすること」と「ケアをされること」の間には、計らずも「依存させる」「依存する」の関係性が立ち上ってくる。
それは強者と弱者の関係でもある。
 
私たち日本人は「人」を表すとき、多くの場合「人間」と言う。
専ら「ヒト」は生物的な場合に遣い、ヒトが人間になるためには、間、距離、関係がなければならない。
だからこそ、関係のあり様が個人の生活、生き方を大きく左右する。
ケアの現場は関係性の宝庫だ。
ケアはいかに人間の尊厳を保つか、自立を支援するかが目的だが、目的を果たすためには、依存・共依存や強者・弱者という関係性を克服することが課題となる。
とすれば、人と人の“間”に“何”をおけばいいのだろうか。私の求めるケアの「質」とはそれを探し出すことなのだと思う。

井上 由美子 氏

NPO法人高齢社会をよくする女性の会 理事

■経歴■

高齢社会をよくする女性の会理事として、2013年3月より社会保障審議会介護保険部会委員及び介護給付費分科会委員に就任し活動中。
長崎市出身。
日本社会事業大学卒業、法政大学大学院修士課程修了。
出版、都市計画などビジネス活動を経た後、1999年より大学教員へ。
専門は、社会福祉学、社会保障論。
2007~2011年には城西国際大学福祉総合学部長を努めるなどして、2014年教員生活に終止符。
福祉分野の著作では、単著に『バリアフリー』(中央法規出版)、『協生の福祉』(明石書店)。
なお、2000年4月よりスタートした介護保険制度。
その実施直後に起こった家事援助サービスの制限に対し、いち早く「介護保険に家事援助サービスの見直しを提言する」を発表(『世界』2000年10月号)。
共著に『医療ソーシャルワーカー新時代』(勁草書房)、『医療福祉総合ガイドブック』(年鑑)、『社会福祉概論』(全社協、毎年改訂)。
今後は生活文化研究所所長として、つまり「地域包括ケアシステム」の実現に向けて様々なジャンルを導入しつつ「コミュニティケア」に取り組んでいく予定。

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