これまでの生き方、人とのつながりを知り、地域で最期を迎えられるために

日常生活の仕方が変わると言われているコロナ渦での日々。

そうであっても、介護・福祉にかかわる私たちが忘れてはいけない大事な視点がある。

私たちがかかわる方の暮らしを知ると言うこと。
暮らし方にどれだけ興味を持てるかだ。
「訪問に行くと、いつも寝ている」と語るヘルパーさんに出会う。
そのお年寄りは、いつも寝ている方なのか?
訪問の時間がその人に合わせられているのだろうか?
「2015年の高齢者介護」(厚生労働省老健局長の私的研究会/高齢者介護研究会/2003年)に次のような記述がある。
一部を挙げると、通常、私たちは自宅で生活をしている。自宅とは、私たち自身が主人公である世界である。
自宅であれば、介護が必要になった時でも、人は、自分自身で立てたスケジュールに沿って日常生活を営むことができる。
朝何時に起きるかは自分の自由であるし、食事を摂るか摂らないか、何を食べるかも自分自身で決めることができる。
自宅の良さとは、介護が必要になった時でも、介護のために自分の生活や自由を犠牲にすることなく、自分らしい生活を続けることができる点にある。
日常生活における自由な自己決定の積み重ねこそが「尊厳ある生活」の基本であり、在宅での生活であれば当たり前のことである。

24時間の暮らし方を知ること。
介護事業所側の都合もあることは承知しているが、対象となる方の生活を先ずは探り、理解することから始められたら支援のあり方が変わるだろうと思うこの頃である。

柴田 範子

NPO法人「楽」理事長。

■経歴■

東洋大学ライフデザイン学科 元准教授。
NPO法人「楽」理事長。
神奈川県社会福祉審議会委員や介護福祉士国家試験委員。

1987年川崎市においてホームヘルパーさんとして勤務。1999年4月上智社会福祉専門学校の講師として教壇に立つ。
その傍ら、NPO法人「楽」を設立し、2005年4月より現職。
2004年NPO法人「楽」は川崎市内を中心に福祉・介護にかかわる事業、研修、研究、相談事業等を行っており、認知症デイサービスセンター「ひつじ雲」を川崎市幸区に開設。2006年5月には新制度の「小規模多機能型居宅介護」へ形を変え、それと同時に新たに「認知症対応型通所介護」(デイサービスセンターくじら雲)を同じ幸区内に開所
現在は、介護の質を高めたいと言う願いを持ってサービス提供責任者の実務研修に力を入れている

NPO法人楽 HP  

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