介護現場の問題点とは?深刻な人手不足の現状と課題の解決方法

少子高齢化の問題は、介護現場にも大きな影響をもたらしています。特に、人手不足の問題は深刻で、介護現場では人材確保に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。問題点を解決するためには現状を知り、課題解決の糸口を見つけることが大切です。
この記事では、介護現場が抱える深刻な人手不足の現状と、課題の解決方法を紹介します。

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介護現場が抱える3つの問題点

介護現場が抱える問題点は3つに分けることができます。それぞれの問題点について、詳しく見ていきましょう。

介護を必要とする高齢者の増加

日本の高齢化は世界でも類を見ないスピードで進んでいます。
急速な高齢化は、介護の問題と大きくかかわってきます。「令和3年度版高齢社会白書」に、高齢者の要介護認定の状況が報告されています。
報告によると、2018年度に65~74歳の前期高齢者で要支援認定を受けた人の割合は1.4%、要介護認定を受けた人の割合は2.9%でした。
一方、75歳以上の後期高齢者の認定状況は、要支援で8.8%、要介護で23.0%と急増しています。
つまり、年齢があがるにつれ、介護が必要となる人の割合が増加するのです。

高齢者人口は今後も増加すると考えられています。
2025年には団塊世代が全員75歳以上になるため、介護を要する人はますます増えるでしょう。
上掲の白書では、前期高齢者は2041年ごろには減少に転じるものの、後期高齢者の増加は2054年ごろまで続くと推計されています。
今後30年間は、要介護者の増加は避けられないという問題があるのです。

介護職員の人手不足と新規採用難

高齢者人口が増加するのに反して、介護職員の人数は足りない状況が続いています。 厚生労働省によると、2023年度に必要な介護職員数は233万人に対し、2020年度時点では211.9万人と目標に達していません。 また、公益財団法人介護労働安定センターが実施した令和3年度「介護労働実態調査」の結果報告によると、人手不足を感じている介護事業所は63%にのぼり、介護現場では人手不足が慢性化していることがわかります。 介護現場では、人材流出を防ぐため、早期離職防止や定着促進の対策に取り組んでいます。 上掲した実態調査の結果報告によると、介護職全体の離職率は2007年をピークに減少しており、2021年度の離職率は過去最低の14.3%でした。 しかし、実際に働く環境に対してネガティブなイメージが先行していることや、仕事内容に対して待遇が釣り合わない状況は変わっていません。そのため、新規採用が難しい状況が続いています。 介護施設の人手不足については、「介護施設の深刻な人手不足!現状と今後の改善策を徹底解説」もご参照ください。

介護職員の高齢化

利用者の高齢化とともに問題となるのが、介護職員の高齢化です。介護職は体を使う業務も多く、年齢を重ねるにつれ身体的負担が大きくなります。職員の高齢化により、できない業務が増える可能性が高まるのです。

上掲した実態調査の結果報告によると、介護職員の平均年齢は50歳と高く、約7割の事業所が65歳以上の労働者を雇用しています。
一方で、20代30代の職員は全体の約2割となっており、若年層より中高年層が活躍している職種といえるでしょう。なかでも、訪問介護員は平均年齢が54.4歳ともっとも高く、若手育成が急務となっています。

介護職員の高齢化問題に対し、国は普及啓発に向けた取り組みを行っています。
11月11日の介護の日前後の2週間は「福祉人材確保重点実施期間」として、福祉介護サービスの意義の理解を深めるための啓発活動や、福祉人材の確保・定着を促進する取り組みを実施しています。
また、若年層向けの福祉・介護の仕事の普及活動として、各自治体がパンフレットや特設ホームページを作成し、普及に努めています。
しかし、若い世代の介護職員が増えるまでにはまだまだ時間がかかるため、介護職員の高齢化問題はしばらく続くことでしょう。

介護現場の問題点を解決する3つの方法

介護現場が抱える問題点をどう解決していけばよいか、悩む人も多いでしょう。そこで、現場でできる解決方法を3つ紹介します。

人材の教育や待遇面を改善

介護人材不足や職員の高齢化問題を解決するためには、まず、今ある人材を維持したうえでレベルの底上げをしていくことが大切です。そこで注目したいのが、人材教育方法の見直しです。

介護現場の多くでは、OJTが主流です。OJTがスムーズに行えるよう、業務や指導マニュアルを作成しましょう。マニュアルを作成済みの事業所では、定期的に見直しを行い、より人材育成を進めやすい環境をめざしましょう。また、定期的に事業所内で研修を実施する、外部研修に参加しやすい制度や雰囲気をつくるといった施策も効果的です。

目に見えるかたちで公正に評価することが、モチベーションアップにつながります。人材の定着促進も図れるでしょう。実際に、幅広い業界で使われている職業能力評価基準を活用することで、公正な職業能力評価を行い、各人がキャリアップしやすい環境を整えた事業所も存在します。

また、多様な働き方ができる環境づくりも大切です。子育て世代が働きやすいよう、本人の希望に合わせた勤務体制がとれる、残業を減らし有給休暇を取得しやすくするといった労働条件の改善は、早期離職防止や人材の定着促進に効果があります。職員がそれぞれのワークライフバランスを保てるよう、多様な働き方を受け入れる体制を整えましょう。

介護人材の育成については、「介護現場の人材育成はなぜ重要?メリットや取り組み方を解説」もご参照ください。

ICTで業務を改善

介護職員の負担を軽減するためには、業務改善は避けて通れません。限られた人材で業務を進めていくためには、業務が効率的に進むような工夫が必要だからです。例えば、書類をテンプレート化すると、誰でも一定以上のレベルで作業を進められるため、業務効率化に効果があります。また、介護ロボット、見守りセンサーなどの機器導入により、少ない人数で業務を遂行できるようになるでしょう。なかでも、文章作成や請求業務、記録といった事務作業は、ICT化することで介護職員の作業時間を大いに削減できます。ICT化で大幅な業務改善が実現すれば、介護現場では職員が直接的な介護に時間を割けるようになります。介護の質の向上や職員の負担軽減に大きな影響を与えられるでしょう。 しかし、ICT導入には費用がかかります。加えて、導入から効果が得られるまでには時間がかかることもあり、ICT導入に二の足を踏む事業所もあるでしょう。そこで活用したいのが、基金や補助金制度といった公的支援の活用です。国はICT化を進めており、地域医療介護総合確保基金を活用したICT導入支援事業や介護事業におけるICT補助金など、さまざまな支援制度があります。国の制度をうまく活用しながら、業務改善を進めていきましょう。 補助金についての詳細は、「介護業界のICT導入補助金制度!内容、金額、導入後の効果を紹介」をご参照ください。
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人材確保の方法を改善

人材確保の方法を改善することも、課題の解決方法として有効です。導入のハードルはやや高いものの、外国人人材の採用や、ワークシェアリングを活用する方法を考えてみましょう。

特に、近年広がりを見せているワークシェアリングは、特定の業務を切り分けて働きたい人と事業所それぞれのニーズをマッチングするため、人材を集めやすいという特徴があります。ワークシェアリングにより、一人ひとりが担当する業務はシンプルでわかりやすくなるため、学生や主婦などさまざまな人が介護業界に参入しやすくなります。介護現場としては、介護の担い手が増えることで人材不足が補え、介護職員の負担を軽減することができます。

また、ワークシェアリングにより実際に介護現場を体験したことで、介護職のネガティブイメージが払しょくされ、介護の世界に興味を持つ人が増えるかもしれません。ワークシェアリングは、長期的に見れば、介護人材の確保につながる可能性があるのです。

介護現場の問題解消には業務効率化が重要

介護現場の問題点を改善するためには、業務効率化が大きなカギを握ります。業務効率化にはICT化が有効であり、国もICT化を推進しています。介護ソフトを導入すると、業務の効率化だけでなく、情報共有も効果的にできるようになります。介護現場のさまざまな問題点の改善に役立つことでしょう。「介舟ファミリー」は、使いやすさを追求したつくりで作業進捗もひと目でわかるため、どんな職員でも使いやすい介護ソフトです。事業所のICT化を進める際には、「介舟ファミリー」の導入をぜひご検討ください。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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