ICTを活用したからといって確実な異変把握はできません Posted on 2018年5月10日2025年2月19日 by 管理者 HOME >コラム>小川 晃子 氏 ICTを活用したからといって確実な異変把握はできません独居高齢者の見守りのために、ICT(情報通信技術)を活用した様々なサービスが開発されていますが、それを活用する際には、異変把握が確実にできるのかという質の検証が必要です。今回は、現場で起きている事例をもって、そのことを指摘しておきます。電話回線を使った緊急通報システムは、利用者には「お守り」のようにありがたがられます。しかしその反面、長年使っている利用者は「いざという時に押せないかもしれない」と不安を持っています。 緊急時に通報できない主要な要因はペンダント型の子機を携帯する人が少ないからです。トイレや風呂場で倒れた場合、子機がなければ通報できません。なぜ携帯しないかを問うと、その背景には「誤報をしたら申し訳ない」という遠慮感があることがわかります。ペンダント型は歩くと胸にあたり誤発信をするからです。これを数回経験すると、携帯を避けるようになります。異変が通じない要因は、利用者側だけにあるわけではありません。緊急通報を夜間集中方式で行っている場合、東京のセンターで対応するオペレーターに高齢者が「あたった」と言っても伝わりません。脳卒中多発地帯の東北では、「脳ににわかにあたる」という意味で異変を伝えるキーワードなのですが、残念ながら他地域の方には伝わりません。各種の生活センサーの確実性にも同様の問題があります。トイレのドアセンサーを安否確認に設置しているA市では、異変通知が山積みになっていました。トイレドアをきちんとしめる習慣のない高齢者は結構多いのです。何度言っても改まらなければ狼少年状態になり、安否確認の用をなさなくなります。また、山間僻地B町の住居では、玄関や勝手口の土間にテーブルとイスの空間があります。安否確認のために人熱を察知する赤外線センサーを設置に来た県外業者さんは、食事や団らんの場としてにぎわう場がよいと判断しここにセンサーを設置していました。しかし、そこは寒くなれば薪ストーブをたくところ、熱量をみるには不適当です。高齢者の異変把握の確実性を高めるためには、個々人の生活スタイルとの適合性を検証するとともに、発信された異変情報を受け止める運営体制をつくらなければならないのです。 小川 晃子 氏 連載一覧 人的見守りとICT活用見守りの重層化、及び高齢者の能動的発信力の強化 2018年6月8日 ICTを活用したからといって確実な異変把握はできません 2018年5月10日 人的見守りだけでは安否確認の確実性は高くない 2018年4月10日 プロフィール 岩手県立大学 名誉教授・特命教授■経歴■1977年から東京で民間シンクタンクの研究員1994年日本社会事業大学社会福祉学研究科(社会福祉学修士)1998年岩手県立大学社会福祉学部講師2006年博士(心理学)2008年岩手県立大学社会福祉学部教授専門は地域福祉・福祉情報。 関連コラム 1人ひとりに自分らしく生きてきた時代がある 2011年10月27日 「Halelea」の意味はハワイ語で「幸せの家」と言います。 2015年12月14日 これまでの生き方、人との繋がりを知り、地域で最期を迎えられるために 2020年12月11日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード