【第2章】私の考える介護の質~高齢者施設における夕食時間と適時~

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高齢者施設における居住者の夕食時間は、何時頃が適時なのでしょうか。
歴史を遡ると、病院や施設における「早すぎる夕食時間」に関する論議は1970年代の中頃から始まり、国の政策が高齢者施設を「収容施設」から「生活施設」へと転換する中で、「夕方4時からの食事」が問題視されるようになりました。
その時期に行われた夕食時間に関する調査(全国老人福祉施設協議会による全国老人ホーム基礎調査)によれば、1977(昭和52)年の調査では、午後4時以前~4時29分が34,3%、午後4時半~4時59分が53.8%であり、約9割の施設が夕食を4時台に行っておりました。

 

また、1982(昭和57)年の調査では、午後4時以前~4時29分が2.9%、午後4時半~14時59分が49.0%、午後5時~5時29分が41.0%となり、約4割の施設が5時台の夕食時間になりました。
さらに、2000(平成12)年度からは、介護保険制度の導入により介護保険施設の夕食時間は、「適時の食事の提供において、食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後6時以降が望ましいが、早くても午後5時以降にすること」と省令で規定され、適時であることが費用算定基準等で定められるようになりました。

ところで、住居形態の変化や個室化が進んでいる今日において、「居住者の個別性に応じた適時の夕食時間」を質の確保の点から捉えるとどのようになるでしょうか。
適時とは、単に食事を提供する時間ではなく、個人のニーズや生活時間に応じた食事時間であり、例えば、ユニットケアの考えのもとで、他の居住者と一緒に盛りつけなどに参加することも、夕食に関わる時間として重要な要素になると考えます。
また、午後5時前から晩酌をしながら1時間以上の時間をかけて夕食を楽しみたい方もいると思います。

つまり、個別ニーズに応じた夕食時間・食事時間の視点から適時は検討されるものであり、そのための介護サービスの質の評価も重要になると考えます。

森山 千賀子 氏

白梅学園大学 子ども学部家族・地域支援学科 准教授。

■経歴■

一般社団法人 地域ケア総合評価機構 代表理事。
大学卒業後、15年間にわたり高齢者施設及び在宅福祉分野において介護職として従事。
1998年より町田福祉専門学校専任講師、2001年より白梅学園短期大学保育科(専攻科福祉専攻)専任講師、助教授、准教授を経て2010年4月より現職。介護福祉士、社会福祉士。
2007年10月より「地域ケア総合評価機構」が主催となって「介護の質と評価システム研究会」を立ち上げ、現在20数回にわたる公開学習会の成果を、研究会のメンバーとともに、著書としてまとめている。
また、大学の所在地である小平西地区において、「お互いの顔の見える地域ネットワークづくり」に大学内の事務局として参画している。

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森山 千賀子