処遇改善手当とは?もらえる条件やどれぐらいもらえるのかを解説

処遇改善手当とは?もらえる条件やどれぐらいもらえるのかを解説

介護業界で働く方々にとって、処遇改善手当は重要な収入源の一つです。この手当は、職員の待遇改善と人材確保を目的として導入されました。しかし、「どのような条件でもらえるのか」「支給額はいくらなのか」など、疑問点も多いのではないでしょうか。

本記事では、処遇改善手当の概要から、もらえる条件や支給方法、金額まで詳しく解説します。業界で働く方々はもちろん、これから就職を考えている方にも役立つ情報をお届けします。

処遇改善手当とは

処遇改善手当は、介護職員の賃金をあげるための制度です。国が介護報酬の中に組み込んだ処遇改善加算を原資として、事業所が職員に支給する手当のことを指します。この制度により、職員の給与水準を引き上げ、長く働き続けられる環境を整えることが期待されています。

処遇改善手当の目的

処遇改善手当の主な目的は、以下の3点にまとめられます。

  • 職員の賃金水準の引き上げ
  • 人材の定着促進
  • 新規人材の確保

長年、介護業界では介護職員の低賃金による人材不足が深刻な問題となっていました。少子高齢化が進む日本において、介護職員は社会に不可欠な存在です。そこで、賃金水準の向上を通じて人材確保を図るべく、処遇改善手当が創設されました。

この手当の導入により、介護職員の給与が改善され、待遇面での向上が期待されます。その結果、介護職員が利用者一人一人により集中できる環境が整い、サービスの質の向上にもつながります。つまり、処遇改善手当は、介護職員の待遇改善と利用者へのサービス向上を同時に実現する重要な取り組みなのです。

出展:介護職員の処遇改善|厚生労働省

処遇改善手当と処遇改善等加算の違い

混同されやすい処遇改善手当と介護職員処遇改善加算の違いについて解説します。
介護職員処遇改善加算は、介護職員の賃金アップを目的として国から介護事業者・介護施設等に対して支給される介護報酬の一部です。介護報酬は、市町村や都道府県に代わり国保連(国民健康保険団体連合会)を通じて介護事業者・介護施設等に支払われます。

一方、処遇改善手当は、介護事業者・介護施設等が受け取った介護職員処遇改善加算全額を職員へ分配する際の手当を指します。つまり、加算が「介護事業所や介護施設等が受け取るお金」であるのに対し、手当は「職員が受け取る給与の一部」です。

しかし、給与明細書には、『介護職員処遇改善加算分』と明記している介護事業者・介護施設等が多く、「処遇改善手当」としている介護事業者・介護施設等もあります。参考までに介護職員や訪問介護員(登録型ホームヘルパー)の給与明細書の例をご覧ください。

ここで重要なポイントとして、介護事業者・介護施設等は、介護職員処遇改善加算として得た全額を介護職員の賃金改善に使用(=要件を整備する)しなければなりません。年度内に使い切らず残金が発生する(=要件を整備できない)ことは違法となるため、介護事業者や介護施設は計画的に介護職員に支給する必要があります。また、その記録類を保管しておかなければなりません。

参考:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)P20|厚生労働省

ただし、配分方法については介護事業者や介護施設に一定の裁量が認められています。全職員に均等配分する必要はなく、例えば勤続年数や資格、役職などに応じて配分額に差をつけることも可能です。とはいえ、配分基準が不透明だと介護職員の不信感を招く恐れがあるため、明確なルールを設けて公平性を保つことが求められます。

介護業界で働く方々にとって、給与に付加して支給される処遇改善手当は支給額に占める割合が大きく重要な手当の一つです。この手当は、職員の待遇改善と人材確保を目的として導入されました。しかし、「どのような条件でもらえるのか」「支給額はいくらなのか」など、疑問点も多いのではないでしょうか。

本記事では、処遇改善手当の概要から、もらえる条件や支給方法、金額まで詳しく解説します。業界で働く方々はもちろん、これから就職を考えている方にも役立つ情報をお届けします。

処遇改善手当のメリット

では、処遇改善手当を受け取るメリットはどこにあるのでしょうか?処遇改善手当を受け取るメリットとして以下のようなポイントが挙げられます。

介護職員の収入アップにつながり定着率が向上する

処遇改善手当を受け取る大きなメリットとして、介護職員の収入アップにつながることが挙げられます。基本給に加えて手当が支給されることで介護職員の収入も大きく増加することが期待されています。実際に以下の図のように処遇改善加算を拡充してきたことで、受け取る手当も増えており、介護職員の賃金は右肩上がりに上昇しています。令和6年は前年比+13,960円増加(+4.3%)でした。

引用:介護職員の処遇改善について|厚生労働省

このように介護職員の収入がアップ・安定することで介護職員のモチベーションも高くなり、仕事への満足度も高まります。その結果、定着率の向上にも期待できるでしょう。長く働く人材が増えることで、利用者へのケアの質を維持・向上や採用コストの削減などにも結び付きます。

介護職員のスキルアップ意欲を促進できる

処遇改善手当を経験年数や保有資格、役職などに応じて配分することで、介護職員の成長意欲を刺激できます。
「資格を取得すれば手当が増える」「経験を積めば評価される」という明確な仕組みがあれば、介護職員は自発的にスキルアップを目指すようになるでしょう。こうした環境づくりにより、介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得、専門的な研修への参加といった自己研鑽が促進され、結果として事業所全体のサービスの質向上につながります。

利用者満足度が向上する

処遇改善手当は介護職員だけでなく、利用者にとってもメリットがあります。賃金改善により職員に余裕が生まれ、モチベーションも高い水準で維持できると、声掛けの徹底や個別ペースを尊重したケアが自然と増えます。こうした細かなケアが増えることでサービスの質スコア・満足度が上昇したというケースも多く見受けられます。結果、利用者や家族から良い口コミが広がることでイメージの向上や新規利用者なども増加し、さらなる収益安定に期待できます。

人材確保につながる

人手不足が深刻化し、有効求人倍率3.0倍超の介護業界では、処遇改善手当を活用した給与アップが競合他事業者との差別化につながります。

参考:介護人材確保の現状について|厚生労働省

例えば「初任給25万円(処遇改善手当込)」や「別途処遇改善手当3万円」などと処遇改善手当を支給することをしっかり明記することで、「待遇が他事業者より良い」「働きやすい環境が整っている」と応募者に認識させることができ、応募率の上昇が期待できます。

さらに資格取得支援や保育料補助など具体的な福利厚生を組み合わせることで、さらなる人材確保に役立つでしょう。

介護事業者・介護施設の収益が安定化する

処遇改善加算を取得すると、介護事業者・介護施設の規模や区分に応じた安定収入を確保できます。例えば特養100床規模で加算区分(II)を取得した場合、年間数千万円規模の加算収入が見込まれ、これが年間売上高の10%以上を占めることもあります。このように安定した収入が介護事業者・介護施設に入ることで資金繰りを改善し、短期借入依存度を下げ、利息負担を削減できます。

さらに加算収入を原資にICT導入や新規事業展開に投資すれば、制度変更リスクを分散しながら売上ポートフォリオを多角化でき、長期的な経営体質を強化することも可能となります。

地域からの信頼性が高まる

処遇改善に積極的に取り組むことは、介護事業者・介護施設の信頼性を大きく向上させます。なぜなら先述したように結果的に利用者満足度を高め、信頼できる介護事業者・介護施設となるためです。このように処遇改善に取り組んでいる=利用者にとって「安心して任せられる事業所」という評価が地域に浸透し、自治体や医療機関、地域包括支援センターからの紹介増加や優先的な協業依頼につながります。

一度こうした良いイメージを獲得できると、さらに新規利用者の獲得と稼働率向上をもたらし、安定した収益基盤のもとでさらなる職員還元が可能になるという持続的な好循環を生み出すでしょう。

処遇改善手当のデメリット

上記のように良い面も多くありますがいくつか課題も存在します。

介護職員間の不公平感が生まれる可能性もある

処遇改善手当は配分方法に介護事業者・介護施設等の裁量があるため、介護職員間で支給額に差が生じることがあります。経験年数や資格、勤務態度などを基準に配分する場合、評価基準が曖昧だと「なぜあの人の方が多いのか」といった不満が生まれやすくなります。特に同じ業務をしているにもかかわらず手当額に大きな差があると、職場の人間関係にひびが入る可能性があります。不公平感を防ぐには、透明性の高い評価基準を設け、全職員に丁寧に説明することが不可欠です。

介護事業所・施設の事務負担が増加する

処遇改善加算を受け取るためには、後述しますが、介護事業者・介護施設等は詳細な申請書類の作成や実績報告書の提出が必要です。以下の図のように計画書・報告書や届出書などを作成・提出しなければなりません。

引用:令和7年度介護職員等処遇改善加算 処遇改善計画書の提出について|大阪市

書類作成にあたっては加算額の計算や介護職員への配分計画の策定、実際の支給状況の記録管理など、事務作業は多岐にわたります。特に小規模な介護事業者では、専任の事務スタッフがいない場合も多く、管理者や現場職員が事務作業を兼務して対応しなければならず、本来の業務に支障をきたす恐れもあります。

また、年度末には介護職員処遇改善加算全額を使い切る必要があるため、残額管理や追加支給の調整にも時間を取られます。制度を適切に運用するための人的・時間的コストは、介護事業者・介護施設等にとって無視できない負担となっています。

複雑な条件で理解が難しい

介護職員処遇改善加算には複数の区分があり、それぞれに異なる要件が設定されています。後述するキャリアパス要件、職場環境等要件など、クリアすべき条件が細かく定められており、制度全体を正確に理解するのは容易ではありません。特に制度改正や介護報酬改定が三年に一度行われるため、最新情報を正しく理解し運用し続ける必要があり、要件を満たしていると思っていても、書類の不備や解釈の誤りで加算が認められないケースもあります。

また、上位の加算区分を取得すればより多くの資金を得られますが、そのための運営体制の整備には時間とコストがかかります。制度の複雑さゆえに、十分に活用できていない介護事業所や介護施設等も少なくないのが現状です。

処遇改善手当をもらえる条件

処遇改善手当をもらえる条件は、処遇改善加算を取得する介護事業者・介護施設等の介護職員であることです。

ただし、職種や雇用形態によって適用範囲が異なる場合があります。一般的に、すべての介護職員(正社員、パート、派遣など含む)が主な対象となりますが、事業所の判断により、勤務時間や勤務形態などにより、処遇改善手当をもらえない可能性もあります。詳細は支給する事業所に委ねられているため、確認が必要です。

出典:介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え方|厚生労働省

処遇改善手当をもらえない人

処遇改善手当の対象外となる、主なケースは以下の通りです。

  • 経営者や役員
  • 派遣社員(派遣元で支給される場合あり)
  • 短期間のアルバイト(介護事業者・介護施設等の規定による)
  • 介護以外の事業所職員

よく混同されるのが、処遇改善加算を取得する事業所であっても介護を直接行わない事務職員などは処遇改善手当の対象外となることもあり得ます。介護を直接行う職員に重点的に振り分けられることが多いため、以下のような職員であれば、処遇改善手当をもらえない可能性もあります。

  • 生活相談員
  • 看護師
  • 調理師
  • 理学・作業療法士

ただし、これらの条件も介護事業書・介護施設等によって異なる場合があるため、詳細は所属する介護事業者や介護施設を運営する法人に確認することをおすすめします。

処遇改善手当がもらえないサービス

そもそも介護職員処遇改善加算の対象外となっているサービスについても確認しておきましょう。対象外のサービスは以下の通りです。

  • 訪問看護(※医療サービスであるため)
  • 訪問リハビリテーション(※医療サービスであるため)
  • 福祉用具貸与、特定、販売
  • 居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

上記のような介護サービス事業者は、直接的に利用者に介護サービス提供していないため、介護職員処遇改善加算の対象外となり、処遇改善手当はもらえません。注意しておきましょう。

参考:介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和7年度分)|厚生労働省

事業所における処遇改善手当の要件

処遇改善手当を介護職員に支給するためには、まず介護事業者・介護施設等は『介護職員処遇改善加算』を取得しなければなりません。そして、『介護職員処遇改善加算』を取得するには、一定の要件を満たす必要があります。
主な要件として、「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」があります。これらの要件を満たすことで、介護事業者・介護施設等は『介護職員処遇改善加算』を受け取り、介護職員に手当として支給することができます。

キャリアパス要件

キャリアパス要件は、介護職員のキャリアアップの仕組みを整備することを求めるものです。具体的には以下のような要件を満たす必要があります。

  1. 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備
  2. 資質向上のための計画的な研修の実施、研修の機会の確保
  3. 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、又は一定の基準に基づき定期的に昇給を判定する仕組みの整備

出典:処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)|厚生労働省

これらの要件を満たすことで、職員の成長とモチベーション向上を促進し、長期的な人材育成につながることが期待されています。

職場環境等要件

職場環境等要件は、働きやすい職場環境の整備を目的としています。

要件としては、「賃金改善を除く、職場環境等の改善」とされています。具体的にはICTツールを活用した業務の効率化などが挙げられます。介護業界でもICTツールを活用することで、より円滑な業務遂行につながるため、国も強く推奨しています。そのため、処遇改善加算を取得するためにもICTツールの導入を検討してみましょう。

処遇改善手当の支給方法と支給額

処遇改善手当の支給方法と支給額は、介護事業者・介護施設等によってそれぞれに異なります。ここでは、一般的な傾向と注意点をお伝えします。

支給方法

処遇改善手当の主な支給方法には、以下のようなものがあります。

  • 毎月の給与に上乗せして支給
  • 賞与に上乗せして支給
  • 手当として支給

多くの介護事業者・介護施設等では、毎月の給与に上乗せする手当として支給されることが多いようです。厚生労働省の調査による介護従事者等の給与等の引き上げの実施方法をみると、「各種手当の引き上げまたは新設(予定)」 が72.0% 、「定期昇給を実施(予定)」が51.5%となっています。

出典:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省

支給額

支給額は、以下の処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳによって異なります。

  • 加算Ⅳ

介護職員の基本的な待遇改善、ベースアップを目的とする。賃金体系等の整備や研修の実施、職場環境の改善、新加算Ⅳの1/2(6.2%)以上を月額賃金で配分することが要件。

  • 加算Ⅲ

新加算Ⅳの要件に加え、資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みを整備することが要件。

  • 加算Ⅱ

新加算Ⅲの要件に加え、改善後の賃金年額440万円以上が1人以上いることや、職場環境のさらなる改善、見える化を実施することが要件。

  • 加算Ⅰ

新加算Ⅱに加え、経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合以上配置していることが要件。

また、加算・賃金改善額の職種間配分ルールも統一されました。 新加算では、介護職員への配分を基本とし、特に、経験や技能のある職員に重点的に配分します

全体のイメージとしては以下を参考にしてください。

引用:介護人材の処遇改善等(改定の方向性)|厚生労働省

処遇改善手当を受け取る流れ

それでは、次にどのように処遇改善手当を受け取ればよいのでしょうか。受け取るまでの流れを解説します。

加算名
項目
内容
STEP1 計画書・体制届作成 処遇改善計画書・体制届を作成し、担当窓口へ提出
自治体による審査・承認 書類を提出した自治体が審査し、要件を満たしていれば介護職員処遇改善加算が承認される
STEP2 加算を受領・職員へ支給 加算を受領できたら、対象となる介護職員へ支給する必要がある
STEP3 実績を報告 介護職員へ支給した実績を各自治体へ報告

STEP1.事業所による処遇改善加算の申請手続き

処遇改善手当を職員に支給するには、まず介護事業者や介護施設等が処遇改善加算を取得する必要があります。介護事業者や介護施設等は以下の図のような流れで処遇改善計画書を作成し、当年度の賃金改善計画や具体的な取り組み内容を明記します。

こちらの厚生労働省のページから計画書をダウンロードできます。

計画書にはいくつか種類があり、以下のシートに入力しなければなりません。

  • 基本情報入力シート

事業所の基本情報を記載します。

  • 様式2-1、2-2、2-3、2-4(施設・事業所別個表)

様式2-1は基本情報や賃金改善計画などを記載する総括表です。様式2-2は介護職員処遇改善加算、2-3は介護職員特定処遇改善加算、2-4は介護職員等ベースアップ等支援加算を入力するシートになっています。

図下のURLに記入例が記載されていますので、ご確認ください。

引用:介護人材の処遇改善等(改定の方向性)|厚生労働省

改善計画書と並行して、加算の区分や職員配置状況を記載した体制届(加算届)も準備します。以下の図は東京都の体制届の例です。自治体ごとに異なる場合があるので、注意しましょう。

引用:処遇改善加算の体制届(加算届)について|東京都福祉局

これらの書類は都道府県または市区町村の担当窓口に提出しますが、新規取得の場合は算定開始月の前々月末日までに提出しなければなりません。提出先が書類によって異なるケースもあるため、事前確認が重要です。

また、計画書の内容は全職員に周知することが義務付けられています。自治体による審査を経て要件を満たしていると認められれば、処遇改善加算の取得が承認されます。

STEP2. 加算を受領し、職員へ支給

承認後、介護事業者・介護施設等は介護サービス提供月の2ヶ月後に、通常の介護報酬に介護職員処遇改善加算が上乗せされた形で報酬を受け取ります。この加算分が処遇改善手当の原資となります。

介護事業者・介護施設等はこの受領した加算額を、事前に作成した処遇改善計画書に基づいて職員へ配分します。支給方法は事業所によって裁量が認められています。毎月の給与に「処遇改善手当」として組み込む方法が一般的ですが、数ヶ月分をまとめて支給したり、賞与時に一括還元したりするケースもあります。

ここで注意しなければならない点として、先述したように受け取った加算額以上の賃金改善を実施することです。資金を余すことなく全額を職員の処遇改善に充てなければなりません。加算分を未払いにした場合、追徴金の支払いや最悪の場合指定取り消しなどの罰則が与えられるケースも散見されています。

参考:【4月10日】介護保険事業者の行政処分について(介護高齢課)|群馬県

STEP3. 支給後の確認と実績報告

処遇改善手当が支給されたら、職員側でも給与明細を確認することが大切です。多くの介護事業者・介護施設等では明細に「処遇改善手当」という項目が明記されますが、基本給に組み込まれている場合もあります。その際は前年度と比較して給与が確実に増額されているかチェックしましょう。

一方、介護事業者や施設側は年度終了後に実績報告書を作成し、受け取った加算額と実際に支給した金額を自治体へ報告する義務があります。この報告によって、加算額以上の賃金改善を実施したことを証明します。実績報告書は先ほどの厚生労働省のページからダウンロードできます。

計画書同様、基本情報入力シートと様式3-2,3-3,3-1(順番は3-2から)を記載し提出します。

実績報告書が承認されれば、当該年度の処遇改善加算に関する一連の手続きは完了となります。

処遇改善手当の注意点

処遇改善手当を受け取る中で以下のポイントには注意しておきましょう。

支給時期や方法が事業所によって異なる

処遇改善手当の支給タイミングは法律で統一されておらず、介護事業者・介護施設ごとに異なる運用が認められています。一般的なのは毎月の給与と一緒に支給される方法ですが、3ヶ月や6ヶ月ごとにまとめて支給する事業所もあります。また、年度末や賞与時に一括で支給するケースも少なくありません。

さらに、年度途中で入職した場合や退職した場合の日割り計算の方法も事業所によって異なります。入職時には就業規則や賃金規程で支給時期と方法を必ず確認し、毎月の給与計画を立てる際に考慮しておくことが重要です。

繰り越しと前倒しが可能になる

従来は当該年度内に処遇改善手当の全額を配分する必要がありましたが、現在は2024・2025年度の2か年をまとめて管理する方式へと変更されています。これにより、2024年度の加算額を翌年度に繰り越す、あるいは2025年度分を前倒しで2024年度の賃金改善に充当するといった柔軟な運用が可能になりました。介護事業者・介護施設等の収支状況や賃金改善計画に応じて、配分時期を調整しスムーズな処遇改善に取り組みましょう。

引用:事業所向けリーフレット|厚生労働省

処遇改善手当のよくある質問

処遇改善手当におけるよくある質問を紹介します。

参考:介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第2版)|厚生労働省

Q1. 処遇改善手当は全職員が受け取れますか?

A. 処遇改善手当は基本的に介護職員が対象となります。ただし、介護事業者・介護施設等の判断により、看護師や事務職員など他の職種にも配分することが可能です。また、正社員だけでなく、パートやアルバイトの介護職員も対象に含まれますが、雇用形態や勤務時間によって支給額が異なる場合があります。

Q2. 処遇改善手当はいつ支給されますか?

A. 支給時期は、介護事業者・介護施設等によって異なります。毎月の給与と一緒に支給される場合が一般的ですが、3ヶ月や6ヶ月ごとにまとめて支給したり、年度末や賞与時に一括で支給したりする事業所もあります。入職時に就業規則で支給時期を必ず確認しましょう。

Q3. 給与明細に「処遇改善手当」の項目がないのですが、支給されていないのでしょうか?

A. 必ずしも支給されていないわけではありません。介護事業者・介護施設等によっては処遇改善手当を基本給に組み込んでいる場合があります。その場合、前年度と比較して基本給が上がっているかを確認してください。不明な場合は、介護事業者・介護施設等の人事担当者に直接問い合わせることをおすすめします。

Q4. 派遣社員や業務委託の職員も処遇改善手当の対象になりますか?

A. はい、派遣労働者も処遇改善手当の対象となります。介護事業者・介護施設等が派遣元と協議し、介護職員処遇改善加算を原資とした派遣料の上乗せを派遣職員の給与に反映させることが可能です。業務委託職員についても同様に、委託契約の中で処遇改善分を反映させることができます。

Q5. 外国人介護職員(EPA候補者や技能実習生)も処遇改善手当を受け取れますか?

A. はい、受け取ることができます。EPA介護福祉士候補者や技能実習生については、日本人職員と同等の報酬を受ける要件があるため、処遇改善手当の対象となります。特定技能外国人についても同様に対象となります。

Q6. 事業所が処遇改善加算を取得していないと手当は受け取れませんか?

A.その通りです。処遇改善手当は、事業所が国から処遇改善加算を受け取ることが前提となっています。介護事業者・介護施設等が加算を申請していない、または要件を満たせず取得できていない場合は、職員への手当支給はありません。就職・転職時には、介護事業者・介護施設等の加算取得状況を確認することが重要です。

Q7. 時給制や日給制の職員に対する処遇改善はどのように行えばよいですか?

A.時給制の職員については時給そのものを引き上げること、日給制の職員については日給を引き上げることで、基本給の改善として扱うことができます。また、時給や日給に上乗せする形で手当を支給する方法も「決まって毎月支払われる手当」として認められます。

Q8. 処遇改善手当の配分方法を変更する際、職員との協議は必要ですか?

A. 処遇改善計画書の内容およびキャリアパス要件Ⅰ~Ⅲを満たすための書類については、全ての介護職員に周知することが義務付けられています。通常の配分ルールの設定や変更であれば、周知のみで問題ありません。ただし、配分方法の変更が就業規則の不利益変更に該当する場合には、合理的な理由に基づいて適切に労使間で合意を得る必要があります。トラブルを避けるためにも、配分基準を明確にし、変更がある場合は事前に丁寧な説明を行うことが望ましいでしょう。

Q9. 一部の職員の手当を減額して他の職員の賃金を引き上げた場合、問題になりますか?

A.介護事業所、介護施設全体の賃金水準が低下していなければ、特別事情届出書を提出する必要はありません。ただし、一部の介護職員の賃金水準を引き下げることは不利益変更に該当するため、そのような変更を行う場合には、合理的な理由に基づいて適切に労使間で合意を得る必要があります。

例えば、基本給を引き上げる代わりに一部の手当を減額する、経験年数に応じた配分に変更することで一部の介護職員の手当が減るといったケースでは、事前に対象の介護職員への説明と同意を得ることが重要です。トラブル防止のため、配分変更の合理性を明確にし、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

Q10. 処遇改善手当は最低賃金の計算に含まれますか?

A. 処遇改善手当が毎月定期的に支払われる通常の賃金として扱われている場合は、最低賃金の計算に含まれます。ただし、処遇改善加算の趣旨を踏まえ、事業所は最低賃金を満たした上でさらに賃金を引き上げることが望ましいとされています。

処遇改善手当を活用してより働きやすい環境づくりへ

処遇改善手当は、介護業界で働く方々の待遇改善と人材確保を目的とした重要な手当です。処遇改善加算をもらえる条件や支給額は、介護事業者・介護施設等によって異なりますが、多くの職員にとって貴重な収入源となっています。処遇改善手当を支給してもらうには、介護事業者・介護施設等が介護職員処遇改善加算を取得する必要があります。その要件として、働きやすい環境づくりが求められます。特にICTツールの活用は必須です。

介護ソフトの「介舟ファミリー」では計画業務や請求業務、記録業務など業務効率化に貢献します。また、直感的で使いやすいことや充実したサポート体制で安心して利用できることなどが大きな特長です。ぜひ、一度ご相談ください。

この記事を監修した人

プロフィール

福岡 浩
介護業務運営・業務改善コンサルタント。

■経歴■
元介護サービス情報の公表制度主任調査員。某保険者の運営指導実務担当(2021年度)。
㈱やさしい手FC事業部(現:コンサルティング事業部)で6年間、FC運営指導業務を担当の後、独立し、2005年4月、有限会社業務改善創研を設立。
介護事業者に対する介護事業運営とその業務改善に関わる指導、支援業務(コンサルティング)等を開始。
2006年4月より神奈川県介護サービス情報の公表制度主任調査員を務め、通算330か所以上の介護サービス事業所、介護施設等の調査を担当。
また、民間企業や地方自治体の主催する介護事業経営者、介護事業所管理者向けの数多くのセミナー、研修会等の講師を務めるほか、『ケアマネジャー』(中央法規出版)、『達人ケアマネ』(日総研出版)などにも寄稿している。
主な著書に、『プロの調査員が教える! 介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本』(自由国民社)、『訪問介護・通所介護・居宅介護支援 選ばれる事業所運営の鉄則』(日総研出版)がある。

〔主な資格・研修実績等〕
介護支援専門員実務研修修了(東京都)
「介護サービス情報の公表制度」に係る調査員養成研修修了(神奈川県)
かながわ福祉サービス第三者評価推進機構評価調査者養成研修修了(神奈川県)
横浜市第三者評価調査員養成研修修了(横浜市)

はじめてでも安心。介護・障害福祉の現場を、導入から運用まで万全サポートいたします。

どうぞお気軽にご相談ください!

  • 計画

    計画の作成から承認まで。
    請求情報との連携も簡単。

  • 請求

    国保連や利用者への請求。
    計画と連動し請求書を作成。

  • 記録

    サービス内容の記録が簡単。
    情報共有がスムーズに。

  • 管理

    スタッフや利用者の管理。
    請求情報との連携も簡単。