前回は、「ケアし、ケアされ」で〆ました。私は、普段、新しい命が生まれる現場におります。
正確に言うと、助産師を育てる教育に携わっているので、常時病院などの施設にいるわけではありませんが、今回は病院でケアに関わるときの話から始めたいと思います。
私は、助産師として、妊娠中や分娩中の女性、分娩を終えた女性と新生児、女性達のパートナーを含めたご家族に対して援助を行っております。
しかしながら、助産師として援助を一方的に提供するとは思っておらず、むしろ、何かをいただいていると感じる日々を送っているのです。
無事出産を終えられるように援助することは、大変エネルギーの要る役割なのですが、生まれた直後の母親の神々しさに触れ、赤ちゃんの生命力溢れる泣き声を聞き、胸に抱くと、むしろ私の方がパワーをいただいているなと思うことが多いのです。
お産の現場の話ばかりすると、普段、介護の仕事に身を置く皆様はイメージが浮かびにくいかもしれませんので、少し別の話も入れます。
私は患者さんに対して、全身清拭や足浴などの清潔援助を行っているとき、自分が相手から心地よさや癒しをいただいていると感じる瞬間があるのですが、皆様もそういった経験をしたことはありませんか?
相手に触れることが相手にとってのケアになり、触れることで相手と溶け合うような、なんとも言えない心地よさに包まれる――「ケアする自分」のケアになる、という感覚です。
私は、様々なケアの中でも、清潔ケアやマッサージなどの相手に触れるケアがとても好きなのですけど、ケアを与える私が、逆にケアしていただている、ほわっとしたあたたかさに包まれているような気持ちになり、不思議とケアを行うことが負担ではなく癒やしになるのです。
それは、その様子をそばで見ている人にとってもケアになります。
私は立場上、学生が患者さんにケアを行う場面に同席しますが、学生のケアを受けている患者さんがとても気持ち良さそうにしていて、学生も心地良さそうにケアを行っていて、その様子を見ている私も温かさに包まれ、癒され、一体感が生まれる経験を幾度もしております。
介護職の皆様は、日々忙しく、限られた時間の中でケアに追われていることと思いますが、ちょっとだけ、「ケア」そのものを味わってみませんか?それがあたたかな時間となり、ケアする自分への「ケア」になり、その様子を見ているご家族へのケアにもなるかもしれません。
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