【2026年度】処遇改善加算はプラスへ?今後どうなる?事業所はどのような対応が求められる?詳しく解説!

【2026年度】処遇改善加算はプラスへ?今後どうなる?事業所はどのような対応が求められる?詳しく解説!

2026年度から、介護事業所にとって重要な収入源である処遇改善加算が新しい体系へと移行します。現在の処遇改善加算は2024年度・2025年度の2年間限定の措置として設定されており、2026年度分については新しい仕組みが導入される予定です。

この新体制は介護事業所の経営や職員の給与待遇に大きな影響を与える可能性があります。では、具体的にどのような変化が予想され、事業所はどう対応していけば良いのでしょうか。


2026年の処遇改善加算はどうなる?加算率はUPする?

今回介護報酬改定が行われる2026年度ではどのような変更が実施される見込みでしょうか。その背景から解説します。

現行制度は2024年度・2025年度の「2年分措置」のみ

現在の処遇改善加算・加算体系は、通常の3年サイクルとは異なる特別な措置として設定されています。2023年12月20日の財務大臣と厚生労働大臣による「大臣折衝事項」において、「処遇改善分について2年分を措置し、3年目の対応については、処遇改善の実施状況等や財源とあわせて令和8年度予算編成過程で検討する」と明記されました。

参考:大臣折衝事項|厚生労働省

この異例の決定は、当時の岸田政権が掲げた「物価上昇局面における賃上げ」という最重要政策課題に対応したものです。物価上昇と他産業での賃上げが進む中、介護従事者の賃金の原資である処遇改善加算を3年間据え置くことは、介護人材確保に大きな支障をきたすと判断されたのです。

実際に2024年と前年度で介護職員の平均給与を比較すると、以下の表のように報酬改定以前よりも約1万円超増額しています。しかし、他産業でも賃上げはそれ以上に行われており、介護業界と他産業平均給与の差は月額で2023年度の6万9000円から24年度には8万3000円に拡大しています。

引用:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要|厚生労働省

このように賃金格差が起きてしまうと、より賃金が高水準な業界に人材は流出しやすく、介護業界における人材確保がさらに困難になると予想されていました。そこで従来通りの3年据え置きではなく、2年という異例のスパンで見直しがされるようになったのです。

引用:介護人材確保に向けた処遇改善等の課題|厚生労働省

2026年度からの新体系は、ただの暫定的な措置の延長ではなく、根本的な見直しを伴う改革となる可能性があります。

加算率は上積みが期待される

2026年度の処遇改善加算について、単位数の変更だけでなく、加算率そのものの上積みは十分に期待できる状況にあります。その根拠となるのが、2025年6月に閣議決定された「骨太方針2025(経済財政運営と改革の基本方針2025)」です。

この方針では、「減税政策よりも賃上げ政策こそが成長戦略の要」と総論的に掲げた上で、介護・医療分野については以下のような前向きな記載がなされています。

  • 「人材確保に向けて、保険料負担の抑制努力を継続しつつ、公定価格の引き上げを始めとする処遇改善を進める」
  • 「医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかりと図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」
  •  「介護・障害福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等の実現に取り組むとともに、これまでの処遇改善等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。また、事業者の経営形態やサービス内容に応じた効果的な対応を検討する。」

これらの文言は、処遇改善の前向きな見直しに向けて相当程度踏み込んだ内容と言えるでしょう。加算率の上積みは2027年度の定期改定にも好影響を及ぼすと考えられ、介護現場にとって一定の期待が持てる方向性が示されています。

加算要件は厳格化される可能性がある

一方で、加算率の上積みが期待される反面、加算の算定要件については、これまで以上に厳格化される可能性が高いと予想されます。特に「生産性向上」や「データヘルス改革」、そして「給与水準の改善」に向けた対応力を事業者により強く求める内容になると考えられます。

その背景には、「骨太方針2025」が分野・業種を問わず、生産年齢人口の減少を見込んで生産性向上やDXの推進を強力に求めていることがあります。さらに、「賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られる」ことを明確に要求している点も重要です。

現行の月額賃金改善要件・職場環境等要件・キャリアパス要件といった算定要件が、さらに実効性のある内容に見直されることは確実でしょう。

特に注目されるのは、「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」という新しい概念です。これは「デジタル技術等も活用して、現在よりも高い賃金を得るエッセンシャルワーカー」とされています。この概念が出てきたということは、今後の処遇改善加算の要件として「デジタル技術を活用して生産性向上の成果を生み出せる」ということも可能性としては考えられます。

引用:賃上げと人手不足解消の 好循環に向けた政策対応|内閣府

この方向性から判断すると、特に職場環境等要件については、一定のハードルの高さが設けられることになるでしょう。事業所には、単に「ツールを導入した」という取り組みだけでなく、実際の生産性向上や職員の処遇改善につながる具体的な取り組みが求められることになると考えられます。

介護情報基盤整備との連携が要件になる?

2026年度からは、処遇改善加算の新体系と同時に、新介護情報システム「介護情報基盤」が本格的に運用されます。前述したように政府としてはデジタル化を推し進めたいという方向性が明確にあるため、今後の処遇改善加算取得においては必須要件に入ってくる可能性が高いです。

介護情報基盤では、行政・事業者の双方に対して一層のICT化・DX化が求められることになります。具体的には、介護サービスの提供状況、利用者の状態変化、職員の配置状況などの情報を電子的に管理・共有する体制の構築が必要となるでしょう。これまで紙ベースや個別システムで管理していた情報を、すべてデジタル上で管理・処理する日も遠くはありません。

引用:介護情報基盤について|厚生労働省

このようにICT化・DX化を促進する介護情報基盤の導入は、政府の思惑と一致するため加算要件に入る可能性も高いでしょう。もしくは、より高い加算率が適用される可能性があります。

今のうちに介護情報基盤について深い理解とすぐに対応できるような準備が必要です。

事業所はどのように対応するべき?

事業所は2026年の処遇改善加算改定や今後の報酬改定に向けてどのような対応を行うべきでしょうか。

現行の加算取得状況の見直しや取得改善に努める

2026年度の処遇改善加算新体系への移行に向けて、事業所は計画的な準備を進める必要があります。政府は2025年末までに新体系の結論を出す方針を示しており、具体的な算定基準や手続きは2026年度当初から施行される予定です。

まず実施すべきは、現在の処遇改善加算の取得状況の確認と分析です。月額賃金改善の実績、職場環境改善の取り組み内容、キャリアパス制度の運用状況などを詳細に把握し、新体系でより高い加算区分を取得するための改善点を明確にしましょう。

また、新体系では要件がより厳格化されることが予想されるため、現在の体制で不足している部分の洗い出しと改善計画の策定が必要です。特に、職員への処遇改善の効果測定や、生産性向上に向けた具体的な取り組みについて、客観的なデータで示せる体制を整備しておきましょう。

さらなるICT化に取り組む

前述したように、2026年度からの新体系では、ICT化が処遇改善加算の重要な要件となることが確実視されています。

現在、多くの介護事業所がICT化に向けた取り組みを進めていますが、まだ十分とは言えない状況です。新体系での高い評価を獲得するためには、まずICTツールの本格的な導入から始めることが重要です。

これまで紙ベースで行っていた業務をデジタル化することで、大幅な業務効率化を実現できます。特に効果が大きいのが介護記録の電子化です。従来は手書きで記録を作成し、他の職員との情報共有のために時間をかけてコピーを取ったり、申し送り時に口頭で詳細を伝達したりする必要がありました。

しかし、タブレットやスマートフォン対応の介護ソフトを導入すれば、現場でリアルタイムに記録を入力し、即座に全職員で情報共有することが可能になります。これにより記録作成時間が大幅に短縮されるだけでなく、情報伝達ミスの防止や緊急時の迅速な対応判断も実現できます。

実際に以下の事例のように介護ソフト「介舟ファミリー」を導入したことで、業務効率が50%UPしました!というお声を多くいただいています。詳しくはこちらの事例をご覧ください。

ICT化の範囲は介護記録だけにとどまりません。見守りセンサーによる夜間の安全確保、介護ロボットによる移乗支援、スタッフ間のチャットツールによるコミュニケーション効率化など、多種多様なツールを組み合わせることで、さらなる効果が期待できます。

ただし、闇雲にツールを導入すれば良いと言う訳ではありません。事業所の課題解決につながる適切なツール選択と段階的な導入を進めることで、職員の負担軽減と業務品質の向上を両立できるでしょう。

こうしたICT化の取り組みは、処遇改善加算を取得するだけでなく、事業所全体の生産性向上と収益改善にも直結します。さらに早期の取り組み開始が、競合他社との差別化にもつながるでしょう。

2026年度の処遇改善加算取得のためにもICT化を進めよう

2026年度からの処遇改善加算の新体系では、加算率の上積みが期待される一方で、算定要件はこれまで以上に厳格化される見込みです。特に生産性向上やデジタル技術の活用が重要な評価指標となり、ICT化への対応が必須となるでしょう。

事業所としては、2025年末の制度確定を待つのではなく、今からICTツールの導入や職員のデジタルスキル向上に取り組むことが重要です。制度対応だけでなく、事業所の生産性向上を実現するためにもICT化を進めましょう。

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