【発生させないためには?】介護現場のハラスメント対策とは?実態や実例、未然に防ぐためのポイントを詳しく解説

【発生させないためには?】介護現場のハラスメント対策とは?実態や実例、未然に防ぐためのポイントを詳しく解説

介護現場では近年、利用者やその家族等による職員へのハラスメントが深刻な問題となっています。身体的暴力、精神的暴力、セクシュアルハラスメントなど、さまざまな形態のハラスメントが発生しており、介護職員の心身の健康や職場環境に大きな影響を与えています。

そこで本記事では、厚生労働省が公表している「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」をもとに、介護現場におけるハラスメントの実態と対策について詳しく解説します。

介護現場におけるハラスメントとは

介護現場におけるハラスメントとは、介護サービスの利用者や家族等から職員に対して行われる行為を指します本記事では厚生労働省のマニュアルに基づき、身体的暴力、精神的暴力、セクシュアルハラスメントの3つを「介護現場におけるハラスメント」として扱います。

引用:介護現場におけるハラスメント対策マニュアル|厚生労働省

身体的暴力

身体的暴力とは、身体的な力を使って危害を及ぼす行為のことです。例えば、コップや物を投げつける、蹴られる、叩かれる、唾を吐きかけられる、刃物を向けられる、服を引きちぎられるといった行為が該当します。

精神的暴力

精神的暴力は、個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為です。大声を発する、怒鳴る、特定の職員にいやがらせをする、「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する、人格を否定するような暴言を吐く、長時間にわたって執拗にクレームを言い続けるなどが含まれます。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントは、意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為を指します。必要もなく手や腕、体を触る、抱きしめる、入浴介助中にあからさまに性的な話をする、性的な冗談を繰り返す、ヌード写真を見せるといった行為が該当します。

これらのハラスメントは、いかなる場合でも認められるものではありません。上記のどれかを一つでも行えば最悪の場合犯罪行為となります。例えば身体的暴力では刑法第204条の傷害や第208条の暴行に該当する違法な行為であり、精神的暴力も刑法上の傷害とみなされるほどの精神障害に至れば、刑法上の傷害罪として処罰されることもあります。セクハラも侮辱罪や不同意わいせつ罪などの犯罪行為として裁かれる可能性もあります。

参考:職場におけるハラスメント 防止ハンドブック|東京都産業労働局

参考:セクハラで被害届を出されて逮捕されることはある?|弁護士法人 泉総合法律事務所

介護現場におけるハラスメントの実態

令和5年度に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書 (概要版)」では、企業と労働者の双方から、職場におけるハラスメントの実態が明らかになりました。

ハラスメントの相談状況

過去3年間に各種ハラスメントの相談があった企業の割合をみると、パワハラが最も多く64.2%、次いでセクハラが39.5%、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)が27.9%という結果でした(出典:企業調査 n=7,780)。妊娠・出産・育児休業等ハラスメントは10.2%、介護休業等ハラスメントは3.9%、就活等セクハラは0.7%となっています。

引用:職場のハラスメントに関する実態調査報告書 (概要版)

ハラスメントへの取り組み状況

ハラスメントの予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」が最も高く約7割以上の企業が実施しており、次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」が約6割以上の企業で実施されていました。

引用:職場のハラスメントに関する実態調査報告書 (概要版)

企業規模が大きいほど取組を実施している割合が高く、従業員1,000人以上の企業では、パワハラ対策を実施している企業が98.3%に達しています。

一方で取組を進める上での課題としては、取組を実施している企業では「ハラスメントかどうかの判断が難しい」が59.6%と最も高い結果となりました。

このように多くの事業所・企業でハラスメント対策に取り組んでおり、国も2025年10月の審議会において利用者・家族によるカスタマーハラスメントへの対応をすべての介護事業者に義務付ける方針を固めています。この取り組みにより、さらにハラスメント対策に取り組む事業所・企業が増えてくると考えられます。

参考:カスハラ対策、すべての介護事業者に義務付け 厚労省方針 各サービスの運営基準など改正へ|介護ニュースJOINT

実際のハラスメント事例【利用者・利用者家族から】

介護現場では実際にハラスメントが起きています。厚生労働省が発行している「介護現場におけるハラスメント事例集|株式会社三菱総合研究所」から実例を確認しましょう。ハラスメントは利用者から、利用者家族から、そして従業員からも発生しています。

事例①:利用者から特定の職員への暴言・嫌がらせ【精神的暴力】

多機能系サービスの事業所で、利用者が特定の職員に対して「足が太い」などの暴言を繰り返し、裸の人形の写真を見せて「似ているだろう」などと何度も言う行為が続きました。特に周囲に人がいない時に身体に関わる暴言を受けることが多く、職員本人も周りの職員も注意していましたが、利用者の言動は収まりませんでした。約1ヶ月後、当該職員から「もう対応したくない」と管理者に相談があり、職員会議で対応を協議しました。

結果として、当該職員が利用者と1対1にならないようシフトを変更し、入浴介助は同性介助を基本としました。管理者から利用者と家族にハラスメントについて説明し、継続すればサービス利用を控えてもらう必要があることを伝えたところ、謝罪があり、以降、傷つけるような言動はなくなりました。この事例から、早期の報告と組織的な対応の重要性が示されています。

事例②:利用者から性的発言と威圧的な言動【セクシュアルハラスメント】

訪問サービスで利用者が職員を「お姉ちゃん」と呼び、性的な意味合いを含めたサービスを強要・不快な発言などを繰り返していました。また、自身が指定した手順や方法を守ることを職員に強く求め、例えば排便介助の際、納得するまで特定の強さと位置でお腹を押し続けることを要求しました。利用者は体格もよく、職員の身体的負担が大きい状況でした。さらに「あの職員は嫌だ」などと職員を指定するようになり、対応できる職員が限られ、負担が高まっていました。

そこで普段より過激な性的発言があったことをきっかけに、管理者がケアマネジャーに相談し、地域包括支援センターも交えた担当者会議が開かれました。管理者が記録に基づき具体的な発言を示し、今後も続けばサービス継続が難しいと説明したところ、会議以降、発言の過激さが緩和され、回数も減少しました。このように多職種連携による対応の効果が表れた事例となっています。

事例③:事故後の対応から家族の責任追及が高まり暴言に至った事例【精神的暴力】

担当職員がベッドから車いすへの移乗介助中、利用者の足から骨折を疑う音がし、すぐに受診しましたが、その時点では骨折と診断されませんでした。しかし痛みが続いたため再度受診したところ、大腿骨の骨折が確認されました。翌日、管理者が謝罪に訪問した際、家族から「こんなことされて」「どうしてくれるのか」などの発言があり、その後サービス提供終了時に30分から1時間にわたり責任追及が続きました。

管理者は精神的ダメージを受け、早期解決のためお車代として金品を手渡してしまいました。さらに自己判断で経過表や介護記録の一部を開示したところ、当初骨折が記載されていなかったことから「うそを書いて」「どう責任をとるつもりか」と怒鳴られました。責任追及は事故発生から半月の間に10回近くに及び、担当ケアマネジャーも同席の上、共に責任を追及されることもありました。

支部への報告はあったものの本部への報告がなく、事故発生から半月程は管理者が一人で対応を受けていました。事故発生から1ヶ月程経った頃、対応窓口を本部側に変更し、複数名体制で損害賠償の説明を行いました。家族から弁護士委任の連絡を受け、以降は弁護士に対応を全て委任し、現場だけで対応せず必ず本部へ指示を仰ぐことを徹底しました。これにより現場職員の心身の負担が軽減されました。この事例は、管理者が一人で抱え込まず、組織として早期に対応することの重要性を示しています。

従業員によるハラスメント・虐待事例

介護現場では、利用者や家族からのハラスメントだけでなく、職員から利用者への虐待という深刻な問題も存在します。ここでは、京都府障害者・高齢者権利擁護支援センターが報告した、介護施設における身体的虐待の事例を紹介します。

参考:社会福祉施設での 虐待事例から見えること|都府障害者・高齢者 権利擁護支援センター

暴言による精神的虐待

ある介護施設において、介護職員が指示の入らない高齢者に対して「早く死ね」と話をしていました。この言葉は利用者の尊厳を著しく傷つける暴言であり、明らかに精神的虐待に該当します。さらに深刻なのは、周囲の職員が誰もこの行為を止められなかったという点です。これは、施設内において虐待を許容する雰囲気が形成されていた、あるいは職員間で問題を指摘し合える関係性が構築されていなかった可能性を示しています。

身体拘束による虐待

同じ施設では、指示が入らない高齢者や障害者に対して、ベッドから出られないように柵を4方につけるという身体拘束が行われていました。身体拘束は、利用者の生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、原則として禁止されています。実施する場合には、切迫性、非代替性、一時性の3要件をすべて満たし、適切な手順を踏む必要がありますが、この事例では身体拘束の手順を踏まずに平然と実施されていました。これは利用者の身体の自由を不当に奪う、明確な身体的虐待です。

参考:介護施設・事業所等で働く方々への 身体拘束廃止・防止の手引き|厚生労働省

暴力による身体的虐待

さらに深刻な事例として、強度行動障害のある利用者の送迎時に、指示が伝わらなかったという理由で足蹴りを入れて負傷させていたケースがありました。しかもこれは初めてのことではなく、以前にも複数回同様の行為があったとのことです。これは傷害罪にも該当しうる重大な身体的虐待であり、繰り返されていたという事実は、組織として虐待防止の体制が機能していなかったことを示しています。

ハラスメントが発生する要因(リスク要因)

ハラスメントが発生する背景には、利用者や家族等の置かれている環境や状況、施設・事業所との関係性等、さまざまな要素が絡み合っています。ハラスメント対策や事案が発生した際に背景を分析する際の参考として、主なリスク要因を理解しておくことが重要です。

環境面でのリスク要因

介護現場の物理的な環境や状況が、ハラスメントのリスク要因となることがあります。

  • 1対1や1対他の状況

ケアを行う場所の構造によって、職員と利用者やその家族等が1対1や1対多の状況になることが、ハラスメントのリスク要因になることがあります。例えば、出口が遠い、鍵がかかる、近くに他の職員がいない、訪問先の近隣に住宅等がないといった助けを求めても声が届きにくい状況では、職員が危険にさらされる可能性が高まります。

  • サービス提供時の身近な物品

また、サービス提供時に身近にある物品も、状況によってはリスク要因となります。利用者や家族等の状態(攻撃的な言動、怒り等の興奮状態等)によっては、身近にある物品が思わぬ使われ方をする恐れがあります。さらに、目に付くように(意識的に)アダルトビデオが置いてあることがハラスメントの予兆である可能性も考えられます。

利用者・利用者家族に関するリスク要因

利用者や利用者家族の状況や背景が、ハラスメントのリスク要因となることがあります。

  • 利用者本人・利用者家族の生活歴

生活歴に起因するリスクとして、利用者・利用者家族に違法行為や暴力行為がある(過去にあった)、攻撃的な言動がある、家族関係や人間関係でトラブルを抱えている(過去に抱えていた)、訪問時に酒に酔っていることがあるといった状況が挙げられます。

  • 利用者本人の病歴

病気又は障害に対する医療や介護等の適切な支援を受けていないことに起因するリスクもあります。例えば、アルコール依存症や薬の副作用等がこれに該当します。

ほかにも提供サービスに対する理解に起因するリスクとして、利用者がサービスの提供範囲を理解していない、サービスへの過剰な期待があるといった状況も、ハラスメントにつながる可能性があります。

サービス提供側(施設・事業所)のリスク要因

施設・事業所側の体制や対応にも、ハラスメントを誘発するリスク要因が存在します。

  • 事業所内の統一が取れていない

まず、施設・事業所内で、サービス範囲やルールの徹底を統一しきれていない状況が挙げられます。例えば、契約範囲外のサービスの提供事例がある、面会時間等のルールを家族が守らないことを容認してしまう等の状況は、利用者や家族等に誤った期待を抱かせる原因となります。

また重要事項説明書の説明等によって、利用者や家族等から、提供するサービスの目的、範囲及び方法に関して十分な理解を得ていない場合も、リスク要因となります。提供するサービスに関して誤った期待を生じさせている状況は、後のトラブルやハラスメントにつながる可能性が高くなります。

  • 従業員に対する指導・教育ができていない

サービスを提供する上での規則やマナーに関する指導・教育ができていない状況も問題です。時間通りにサービスが提供できていない、サービスを提供する上で不適切な服装をしているといった状況は、利用者や家族等の不信感を招き、ハラスメントの引き金となることがあります。

  • 対応が不十分・不適切だった

利用者や家族等から意見・要望・苦情等があった際の対応(態度や姿勢、やりとり)が十分ではなかった、不適切だったという状況は、関係性の悪化やハラスメントの発生につながります。事故等の問題が発生してしまった後の施設・事業所としての対応(姿勢、応対、対応者を当事者から本部等に移すまでの時間等)が不適切だった場合も同様です。

事業所が取り組むべきハラスメント対策

現在、介護現場におけるハラスメント対策については、セクハラ・パワハラへの対応は義務化されているものの、利用者や家族からのカスハラ対策は推奨にとどまっています。 しかし昨今の深刻な状況を受けて、厚生労働省はすべての介護事業所にカスハラ対策を運営基準で義務付ける方針を示しています。

ただし認知症の方については、その疾患特性や「せん妄」などの症状による言動がハラスメントと誤認されないよう、慎重な配慮がなされる見込みです。 今後、具体的な対策基準や運用指針が示される予定ですので、事業所としては最新の情報を注視し、適切な対応体制を整えることが求められます。

参考:介護のカスハラ対策を義務化へ 職員保護狙い厚労省、手引も改定|Yahooニュース

こうした状況も踏まえ、事業所としてはパワハラ・セクハラ・カスハラなどすべてのハラスメント対策について、個々の努力や対応に任せるのではなく、組織として対応するための必要な体制を構築しましょう。

基本方針を策定し、周知を徹底する

ハラスメント対策の第一歩は、施設・事業所としての基本方針を明確にすることです。具体的には、「ハラスメントは組織として許さない」、「職員による虐待と職員へのハラスメントはどちらもあってはならない」といった考え方を明確に示します。

この基本方針を職員と共有するとともに、職員が管理者等に相談した場合に、誰に相談しても、施設・事業所として同じ対応ができるように、施設・事業所内での意識を統一しましょう。基本方針を策定する際には、職員に対して「ハラスメントに向けて職員のみなさんにお願いしたいこと」を明示的に示すことが望ましいと考えられます。

ハラスメント発生を未然に防ぐ体制・制度を整える

ハラスメントを未然に防止するために以下のような対策を実施しましょう。

  • 対応マニュアルの作成・共有
  • 管理者等の役割の明確化
  • 発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有
  • 相談窓口の設置
  • 定期的なコミュニケーションの場を開催

などの取り組みや環境の整備を図っていくことが求められます。

特に、精神的なハラスメントは各人で受け止め方も異なり、声をあげにくいことがあります。まずは些細なことでも相談を受け付ける姿勢を示すことが大切です。実際に相談窓口を設置することが各事業所の取り組みとしても多く、この窓口からハラスメントの実態が浮き彫りになることが多いため、可能な限り設置することが重要です。

契約時・サービス提供前に丁寧な対応で十分な理解を促す

介護サービスの目的、範囲及び方法についての誤った認識や理解不足が、利用者や家族等とのミスコミュニケーションにつながる恐れがあります。施設・事業所による契約締結時の説明や、利用者やその家族等の理解が不十分だったことが原因となり、苦情に発展し、さらには暴言にエスカレートすることも考えられます。

そのため施設・事業所は、介護サービスの目的、範囲及び方法を理解し、施設・事業所内で対応や説明方法の統一等の取組を図ることが求められます。また、介護サービスの目的、範囲及び方法に係る契約内容の理解を図り、契約範囲外のサービスが強要されないようにすることも注意しておきましょう。

苦情やクレームには適切な対応を行う

利用者や家族等からの苦情は、サービス提供の改善を図るうえで必要な情報でもあります。しかし、こうした苦情に対し不適切な対応を行ってしまったために、不信感を募らせ、暴言等のハラスメントに発展するケースがあります。

このため、職員個々人に対応を委ねるのではなく、組織として迅速かつ統一的な対応を図るための体制構築が必要です。具体的には、以下のような仕組みが有効です。

・些細なクレームであっても必ず上長へ報告するルールを策定する

・上長は各部門と連携し、感情的なエスカレートを防ぎながら適切な対応を実施する

・苦情対応の専門窓口や担当者を設置し、ハラスメント対策窓口とも連携する

このように組織的な対応体制を整えることで、トラブルの芽を早期に摘み取り、ハラスメントへの発展を未然に防ぐことができます。

PDCAサイクルによる継続的に改善を図る

施設・事業所として、ハラスメントの未然防止等に対し取組体制の構築や対策を実施している場合でも、ハラスメントが発生することが考えられます。このため、発生したハラスメント事案について、背景(発生の原因)などをできるだけ把握し、それを踏まえて、体制や対策等を適宜見直していく、PDCAサイクルの考え方を応用していくことも重要です。

また、普段のサービス提供を通して、ハラスメントの現状やその対応などの事例を組織として蓄積し、二度三度と同じようなハラスメントが発生しないよう、再発防止の取り組みを行っていくこと、再発を防ぐため、あるいは再発した場合を考慮したマニュアルやフローチャートが適切に作成されているか、点検することも重要です。

ハラスメントを発生させないための3つのポイント

介護現場におけるハラスメントを効果的に予防するためには、組織として体系的な取り組みを行うことが不可欠です。ここでは、厚生労働省の「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」で示されている基本的な考え方をもとに、ハラスメントを発生させないための重要な3つのポイントを解説します。

組織的・総合的な対策を行う

ハラスメントは介護現場における職員への権利侵害であると明確に認識することが出発点です。ハラスメントであるか否かの判断は、個人の感じ方だけでなく客観的な基準が求められます。特にセクシュアルハラスメントや精神的暴力の場合は、基本的には一般の介護職員の感じ方を基準にその有無を判断しますが、当該言動を受けた職員の感じ方にも配慮して判断する必要があります。

重要なのは、ハラスメントの発生の有無は、利用者や家族等の性格や状態像等によって左右されるものではないということです。個人の努力や対応に任せるのではなく、組織全体で取り組む体制を構築し、職員一人ひとりを守る姿勢を明確に示すことが不可欠です。

小さなサインを見逃さない

不適切な初期対応を行った結果、言動や関係性が悪化してしまうケースや、さらなるハラスメントを誘発してしまうケースがあることを認識する必要があります。小さな違和感や不快な言動であっても、放置すれば徐々にエスカレートする可能性があります。例えば、最初は軽い冗談のような性的な発言から始まり、注意しなければ次第に身体接触を伴うセクシュアルハラスメントに発展することがあります。

こうした初動の遅れや不適切な対応は、問題をより複雑にし、職員や利用者双方にとって望ましくない結果をもたらします。そのため、職員が「何か変だな」「嫌だな」と感じた時点で、すぐに上長や管理者に報告できる環境を整えることが重要です。

質の高いサービスを提供する

利用者の状況等に応じた適切なサービスの提供、つまり質の確保が、ハラスメントを含めたさまざまなトラブルの防止につながります。そのため安心して介護サービスを受けられるように、技術や知識の習得が重要です。

具体的には、適切なケア技術の習得に向けた研修への参加や個別ケースのケアや応対(コミュニケーション)の検証などが質の向上につながります。

また、ICTツールの活用もおすすめです。ICTツールを活用することで間接業務を削減できるため、ケア業務に集中でき、サービスの質を高めることができます。さらに家族との連絡帳やスケジュール、日報などをICT化することで、リアルタイムに利用者・スタッフの状態や様子を把握できます。これにより、利用者・スタッフの些細な変化や不満の兆しを早期に把握し、ハラスメントにつながる前に適切な対応を取ることが可能になるでしょう。

加えて、記録用・見守りカメラなどのICTツールは、万が一ハラスメントが発生した際の「証拠」としても役立ちます。客観的な記録や映像があることで、事実関係を正確に把握でき、利用者・スタッフの身を守ります。また、カメラの存在自体が抑止力となり、ハラスメントの予防対策としても期待できるでしょう。このように、ICTツールは業務の質を高めるだけでなく、安全を守るための手段としても活用できるのです。

ハラスメントをなくして利用者も従業員も過ごしやすい環境づくりを

介護現場におけるハラスメントは、絶対にあってはなりません。ハラスメントが起きてしまうと職員・利用者・事業所それぞれの関係者すべてに悪影響を及ぼします。そのため、「ハラスメントは許さない」という明確な方針のもと、何でも相談しやすい職場環境を整え、組織全体で予防と対応に取り組むこと。そして、地域の関係者と連携しながら、継続的に改善を重ねていくこと。これらの取組を通じて、すべての介護職員が安心して働き、すべての利用者が安心してサービスを受けられる環境を実現していきましょう。

ハラスメントのない介護現場は、職員の働きやすさを高めるだけでなく、サービスの質を向上させ、最終的には利用者の幸せにつながります。一人ひとりができることから始め、組織として、そして地域として、ハラスメント対策に取り組んでいくことが、これからの介護現場に求められています。

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