リハビリテーション専門職の立場から考える「質」 Posted on 2016年10月17日2025年2月18日 by 管理者 HOME >コラム>市川 勝 氏 皆さんの身近なところに、言語聴覚士はいますか?言語聴覚士とは、事ばによるコミュニケーションや摂食嚥下に困難さのある人に専門的サービスを提供し、その人らしい生活を構築できるよう支援するリハビリテーション専門職の1つです。現職者の約7割が医療機関に勤めている現状もあり、介護保険領域の皆様にはまだまだ馴染みの薄い職種かもしれません。さて、今回はリハビリテーション専門職の立場から「質」を考えてみたいと思いますが、そもそもリハビリテーションとは何でしょうか? ひと昔前までは、いわゆる「機能訓練」の同義語として捉えられる事も多くありましたが、文献を繙きますと「障がいのある人に、自らの人生を変革するための手段を提供する事を目的とする過程」(国際連合, 1982)であり、「障がいのある人の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含む」(WHO, 1981)ものがリハビリテーションであると定義づけられています。そして、医師、介護職、リハビリテーション専門職、その他多くの職種のチームワークにより実践されるものである事は言うまでもありません。ここに、左脳梗塞の後遺症により歩行障がいと失語症のある方がいらっしゃるとします。上記の定義に従えば、その方のリハビリテーションとは「歩けるようになる」「コミュニケーションが取りやすくなる」事に留まらず、それらの能力を基盤に「生活の中でいつ・どこで・誰と・どのように・何をしたいか」という目標を明確にし、その目標すなわちその方にとっての社会的統合を目指す過程全てを指す事になるわけです。そのように考えますと、リハビリテーションの質とは、この社会的統合の「達成度合い」とそれに対する「対象者自身の満足度や幸福度」などにより規定されるものといえるかもしれません。次回は、目指すべき社会的統合のあり方を、支援者としていかに共有していくかについて考えてみたいと思います。 市川 勝 氏 連載一覧 コミュニケーションに難しさのある人の社会的統合に向けて、私たちにできること 2016年12月8日 その人が望む生活(社会的統合)を実現するための第一歩とは? 2016年11月10日 リハビリテーション専門職の立場から考える「質」 2016年10月17日 プロフィール 相模原市キャラバン・メイト連絡会 会長■経歴■2002年より医療法人社団哺育会さがみリハビリテーション病院リハビリテーション科にて脳卒中後遺症や神経難病の方の言語聴覚療法や摂食機能療法に従事。2008年より同科長。2010年より上尾中央医科グループ協議会リハビリテーション部科長(兼務)。2013年より、神奈川県相模原市内の認知症キャラバン・メイトや認知症サポーターのつながりを強化し、認知症になっても安心して暮らせる街づくりを推進する目的で「認知症サポーターネットワークさがみはら」を設立、代表世話人を務める。2015年より「相模原市キャラバン・メイト連絡会」会長。 関連コラム 個別援助技術はアート(芸術)である 2022年3月10日 介護においての質 2020年2月12日 その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード