【事業所はどうするべき?】継続利用要介護者とは?今回の制度変更点と事業所の対策などを詳しく解説

【事業所はどうするべき?】継続利用要介護者とは?今回の制度変更点と事業所の対策などを詳しく解説

令和6年4月の介護保険法施行規則の一部改正により、令和8年5月請求分から「継続利用要介護者」が総合事業の費用を国民健康保険団体連合会(国保連)へ請求する際の様式や請求方法に大きな変更が加わりました。この変更により、介護事業者やケアマネジャーは従来以上に複雑な作業を求められることになり、正しく理解しておかないと現場が混乱する可能性があります。

本記事では、継続利用要介護者の基本的な定義から、令和8年5月以降の具体的な変更内容、さらにはこの制度変更がもたらすメリットとデメリットまで詳しく解説します。

継続利用要介護者とは?

「継続利用要介護者」とは、要介護者が介護給付(要介護認定)を受ける前から継続的に総合事業を利用している要介護者のことを指します。

従来、介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)は主に要支援者や事業対象者向けのサービスとして位置づけられてきました。しかし、要支援の状態から要介護に認定が変わった場合でも、それまで利用していた総合事業のサービスを突然打ち切ってしまうと、本人の生活の継続性が損なわれ、地域とのつながりも途切れてしまいます。

こうした課題を解決するため、令和3年4月より、本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続できるようにする観点から、要介護認定を受けた後も一部の総合事業を継続利用できるようになりました。これが「継続利用要介護者」という概念が生まれた背景です。
具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 要支援2の認定を受けて総合事業の通所型サービスを利用していた方が、要介護1に認定変更された後も、同じ通所型サービスを継続利用する
  • 要支援1で総合事業の訪問型サービスを受けていた方が、要介護2になった後も、慣れ親しんだヘルパーによるサービスを引き続き利用する

今回の制度改正理由

しかし、以下のような理由から法規則が一部改正しています。

  • 要介護認定を受けた後も総合事業を継続利用したい方が多くなってきた
  • 要介護者が総合事業を継続利用した際の費用負担などがしっかり整備されていない

上記のように、継続利用要介護者を対象とした法律の整備を進めるために、令和6年4月より介護保険法施行規則が一部改正されました。

引用:総合事業における継続利用要介護者の利用可能サービスの弾力化|厚生労働省

主に以下のような変更がなされています。

請求方法・請求先が利用パターンによって変更される

今回、利用者が介護給付と総合事業をどのように組み合わせて利用しているかによって、請求する事業所や請求先が異なります。

介護給付を受けているか

まずは継続利用要介護者が介護給付サービス(訪問介護や通所介護など)を受けているかどうか確認しましょう。例えば以下のようなパターンが考えられます。

  • 要介護1の方が、週3回のうち2回は通所介護(デイサービス)を利用し、残り1回は慣れ親しんだ総合事業の通所型サービス(地域のサロン型デイ)を利用する。
  • 要介護1の方が、訪問介護(週2回)、通所介護(週1回)、総合事業の生活支援サービス(週1回)を組み合わせて利用する。

この時、以下のように継続利用要介護者が介護給付ありの場合、その居宅介護支援事業所が請求します。一方で介護給付なしの場合は居宅介護支援事務所もしくは地域包括支援センターが請求します。※地域によって請求方法が異なる場合があります。必ず事前に確認しておきましょう。

給付管理外サービスを受けているか

介護給付の有無だけでなく「給付管理外サービス」と呼ばれる、以下のような介護保険の給付管理外を超過した自己負担でのサービスを利用しているかどうかでも請求方法が異なります。

  • 居宅療養管理指導(医師や歯科医師、薬剤師等による療養上の管理・指導)
  • その他、支給限度額の対象外となる特定のサービス
  • 支給限度額を超えて利用した部分(全額自己負担)

例えば以下のようなケースの場合は請求方法が異なります。

  • 居宅療養管理指導(給付管理外)のみ+総合事業の訪問型サービスを利用したケース

限度額管理対象の介護給付がないため、介護予防ケアマネジメント費で請求

継続利用要介護者が給付管理外サービスを利用し、さらに総合事業を併用する場合は以下のような請求になります。

  • 訪問介護+居宅療養管理指導(給付管理外)+総合事業の通所型サービスを利用したケース

限度額管理対象の介護給付があるため、居宅介護支援費で請求

居宅介護支援事業所/地域包括支援センターの請求方法

介護給付介護給付介護予防給付介護予防給付総合事業総合事業総合事業
限度額管理
対象
限度額管理
対象外
限度額管理
対象
限度額管理
対象外
限度額管理
対象
限度額管理
対象外
指定サービス
以外のサービス

これらの組み合わせによって、居宅介護支援費で請求するのか、介護予防ケアマネジメント費で請求するのかが変わってきます。さらに、給付管理票の提出が必要かどうか、給付管理票に記載するサービスの範囲なども細かく規定されています。

今回の制度変更のメリット

今回の制度変更によって利用者・事業所それぞれに以下のようなメリットがあると期待されます。

【利用者】地域とのつながりを維持できる

まず、利用者にとっての大きなメリットとして、要支援から要介護に認定が変わっても、慣れ親しんだ地域の場所や人との関係を総合事業のサービスを通じて継続ができることです。

高齢者にとって、「いつもの場所」「顔見知りの人」との関わりは、ただの介護サービス以上の意味を持ちます。地域のサロンやボランティアとの交流は、社会参加の機会であり、生きがいとも言えるかもしれません。認定区分が変わったからといって、こうした大切なつながりを突然断ち切られることなく、継続できるのは大きな安心材料になります。

【利用者】要支援から要介護への移行時の不安が軽くなる

要支援から要介護への認定変更は、本人や家族にとって心理的な負担を伴う出来事です。しかし継続してサービスを受けられるため、新しいサービス事業所を探す手間や契約手続きなどを省けます。こうした手間がなくなることで本人だけでなく家族にとっても精神的負担が軽くなるでしょう。特に、ケアマネジャーの変更(介護予防支援から居宅介護支援への移行)も同時に発生する場合、総合事業だけでも継続できることは、本人・家族の安心につながります。

【事業所】事業所の収入が安定する

総合事業サービスのみを行っている場合、事業所にとっても一定のメリットがあるとされています。なぜなら利用者が要支援から要介護に移行しても、総合事業のサービスを継続利用してもらえることで、事業者にとっては売上につながるためです。さらに新規利用者の獲得も行わないで良いため、広告や人件費などのコストを削減できるなど事業所の収益改善に期待できます。

今回の制度変更のデメリット

今回の制度変更により利用者にとってはメリットも大きい一方で、主に事業所にとってはデメリットとなるため多くの現場で不安の声が上がっています。

【利用者】専門的ケアが必要な利用者への対応が不十分になる可能性がある

要介護1・2の認定を受けた方の中には、認知症を抱えている方も一定数います。こうした方々は、生活支援だけでなく、認知症ケアの専門知識を持った職員による適切な対応が必要です。しかし、総合事業のサービスは必ずしも専門職による提供とは限らないため、認知症の進行に伴う行動・心理症状への対応や、専門的な観察・アセスメントが十分に行われない可能性があります。厚生労働省からも、こうした利用者に対する専門職の関わりの必要性について指摘されており、今後の課題として認識されています。

【事業所】事業所の収入が不安定になる

事業所によってはかえって収入が減少する場合があります。例えば総合事業サービスだけでなく要介護対象のサービスも行っている場合、利用者が要支援から要介護に移行し、総合事業のサービスを継続利用すると要支援での収益しか得られなくなるケースがあります。この場合、本来であれば要介護からも収益を獲得できましたが、今回の制度変更により要支援での収益のみとなるため、収入が減少してしまう恐れがあります。

【事業所】請求方法が複雑で事務負担が大きくなる

今回の制度変更では、介護給付の有無に加えて給付管理外サービスの有無など、さまざまなパターンがあるため複雑で分かりにくいです。そのため主に居宅介護支援事業所/地域包括支援センターの業務負担が大きくなる可能性があります。

  • サービスの組み合わせパターンごとに請求方法を判定する必要がある
  • 給付管理票の提出要否を利用者ごとに判断しなければならない
  • 請求先(国保連・保険者)を正確に振り分ける必要がある
  • ケアマネジメント費用の区分(居宅介護支援費・介護予防ケアマネジメント費)を適切に選択する必要がある

特に、複数の利用者を抱える居宅介護支援事業所/地域包括支援センターでは、一人ひとりのサービス利用状況を細かく把握し、それぞれに適した請求処理を行う必要があり、事務作業の時間が大幅に増加することが予想されます。

介護事業者が取るべき具体的な対応策

令和8年5月請求分からの制度変更に対応するため、介護事業者には以下のような準備と対応が求められます。

事業所全体で理解を深める・最新情報をチェックする

職員が制度変更の内容を正確に理解し、適切に対応できるよう、継続利用要介護者に関する勉強会や研修を実施しましょう。

特に、国保連への請求方法の変更点については、事務担当者だけでなく、ケアマネジャーやサービス提供責任者も含めた関係職員全体で共有しておく必要があります。

そのためには自治体が開催する説明会や、介護関係団体が主催する研修にも積極的に参加し、最新の情報を入手することを心がけましょう。制度の運用は自治体によって細かな違いがあるため、地域の実情に合わせた対応を学ぶことも大切です。

また、利用者や家族に対して、サービスの組み合わせによる費用負担の違いや、請求方法の変更について丁寧に説明することも求められる機会もあるでしょう。制度の複雑さを理解してもらうための資料なども用意できるとスムーズな説明につながります。

ほかにも今後制度が変更する可能性もあります。そのため法改正動向については常にアンテナを張っておきましょう。こちらの厚生労働省のページでは法改正に関してお知らせが来るので定期的に確認しておきましょう。

介護ソフトをアップデート・活用する

今回の法改正により請求方法が変更になるため、介護ソフトの設定を更新する必要があります。アップデート情報を早めに確認し、令和8年5月請求分から間に合うよう計画的に作業を進めましょう。

人気の介護・福祉ソフト「介舟ファミリー」はクラウド型ソフトのため、法改正に対するアップデートは自動的に反映されます。ユーザー側での操作が不要となるので突発的で複雑な法改正が行われても安心です。また、法改正や請求方法について不明な場合はサポート体制も充実していますので、気軽にご相談いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

さらに介舟ファミリーでは、法改正の最新動向をコラムにて毎月ご紹介しております。
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保険者との連携を強める

総合事業は自治体が保険者となって実施するため、地域ごとに運用ルールが異なる場合があります。継続利用要介護者の対象となるサービスの範囲や、請求方法の詳細については自治体の担当窓口に確認し、不明点は早めに解決しておきましょう。

また、実際に運用を始めてから疑問点や問題が発生した場合にも、速やかに保険者に相談できる関係を築いておくことが、スムーズな請求業務につながります。日頃から良好なコミュニケーションを取り、協力体制を整えておきましょう。

【最新動向】要介護1・2は今後総合事業に移行できる?

継続利用要介護者の制度を理解する上で、背景にある大きな政策議論を知っておくことは重要です。厚生労働省は2027年度の制度改正において、要介護1・2の高齢者を総合事業に移行する案を見送る方向で検討しています。この問題は、継続利用要介護者の制度とも深く関わっているため、ここで整理しておきましょう。

これまでの経緯

財務省は、社会保障費の抑制という観点から、要介護1・2の高齢者を介護保険サービスから総合事業に移行させる案を繰り返し提案してきました。この提案の狙いは、介護保険給付費を削減し、より柔軟で費用効率の高い総合事業で対応することで、全体の財政負担を軽減しようというものです。

しかし、この案は過去にも何度も提案されては、介護現場や関係団体からの強い反発を受け、厚生労働省が見送るという経緯を繰り返してきました。実際、2025年9月に開催された社会保障審議会・介護保険部会でも、この問題について激しい議論が交わされています。厚生労働省は2025年末までに結論を得ることを目指していましたが、委員間で意見の隔たりが大きく、数年前から議論がほとんど進展していないのが実情です。このように今回も同様に、2027年度の制度改正では見送られる見通しとなっています。

参考:介護保険でケアマネジメント利用料を徴収すべきか、要介護1・2の生活援助を総合事業に移管すべきか—社保審・介護保険部会|Gem Med

なぜ見送られ続けるのか?

要介護1・2の総合事業移行案が繰り返し見送られる大きな理由として、介護現場の実態と離れていることが挙げられます。

要介護1・2の方々は、決して「軽度者」ではありませんこの認定区分には、認知症の症状がある方も一定数含まれており、専門的な介護技術や見守りが必要なケースが多くあります。しかし歩ける状態のため「軽度」と判断することが多く、このような状態で総合事業に移行させることは、利用者本人の安全や生活の質を脅かすリスクがあるのです。

ほかにも以下のようなリスクが考えられます。

  • 介護家族の負担が激増し、介護離職が増加してしまう
  • 本人の重度化が早まり、状態が悪化してしまい。結果として、より重度の要介護状態になり、医療費や介護費がかえって増大

財務省の提案は財政支出の削減を目的としていますが、実際には逆効果になる可能性が高いと指摘されています。今後要介護1・2の利用者を総合事業に移行するのか、しっかりと注目しておきましょう。

事業所の業務負担をできるだけ減らせるような体制を今のうちに築こう

令和8年5月請求分より、「継続利用要介護者」が総合事業の費用を国保連へ請求する際の様式や請求方法に重要な変更が加わります。これにより請求方法が複雑化し、特に給付管理外サービスと総合事業を組み合わせる場合は請求方法が正しいか、気を付けなければなりません。

介護事業者やケアマネジャーは、今回改正した制度の趣旨を正しく理解した上で、適切な請求判定ができるよう準備を整えましょう。事業所全体で研修や勉強会を行ったり、介護ソフトの設定更新も計画的に行ったりすることでスムーズな対応が可能になります。また、自治体との連携を強化し、不明点は早めに確認しておきましょう。

今回の制度変更は、利用者や事業所にとってメリットもある一方で、事業所の負担も増しています。今のうちから適切な準備をしておきましょう。

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