介護報酬とは?報酬計算の方法や仕組みをわかりやすく解説!

介護報酬とは?報酬計算の方法や仕組みをわかりやすく解説!

介護報酬とは、介護サービスを提供した事業者に支払われる対価のことをいいます。介護事業者にとって、介護報酬は事業所の収入となる部分で大切なものです。普段は介護ソフトに頼っているため、介護報酬の内容や仕組み、計算方法などをしっかり知りたいと思っている人は多いのではないでしょうか。
この記事では、介護報酬の基本的な知識について詳しく解説します。

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介護報酬とは?概要と仕組みを理解しよう

介護報酬とは、介護事業所が介護保険サービスを提供した際に、その対価として事業所に支払われる報酬のことです。介護報酬はどこが支給するのか、どのような経緯を経て報酬が決まるのかについて知るには、まず介護報酬の仕組みを理解する必要があります。介護報酬の仕組みは、図に記すと次のようになります。

介護を必要とする人が介護保険サービスの利用を希望する際には、住所地の自治体に介護保険申請を行います(①)。
介護認定調査を経て要介護・要支援状態であることが認められると(②)、利用者は利用を希望する介護事業者から介護保険サービスを提供してもらえるようになります(③)。
介護保険サービスの提供を受けた利用者は、介護保険サービスに対する対価として、介護事業所に利用料を支払います(④)。ただし、この利用料は利用者が全額支払うのではありません。利用者の収入に応じて決められた介護負担割合に応じて、1~3割の自己負担額を事業所に支払えばよいようになっています。
では、残りの利用料はどこから支払われるのでしょうか? 残りの利用料は、介護保険の保険者である各自治体から支払われます。
介護保険サービスを提供した介護事業所は、各自治体に毎月介護給付費等の請求を行います(⑤)。
請求を受けた自治体は、残りの利用料に相当する報酬を介護事業所へ支払います(⑥)。
この一連の流れを通じて、介護事業所は介護報酬を得られるようになっています。
介護報酬は、サービスごとに基本的な単位が決まっており、その単位を基にして報酬を計算します。サービスによっては、要介護・要支援度ごとに単位数が設定してあるものや、時間やサービス内容ごとに単位数が決められているものもあります。
また、介護報酬は介護事業所のサービス提供状況や利用者の状況に応じて、適切に報酬が得られる仕組みが取られています。たとえば、人員基準を超えて必要な専門職の配置が維持できている場合や、要介護度の重い利用者でも受け入れる体制が整備されている場合などは、より高い報酬が得られるよう加算がなされます。一方で、施設基準や人員基準を満たしていないなどは、減算の対象となり、介護報酬が低くなります。加算や減算があることで、利用者が不利益を被ることなく質の高いサービスが受けられるようになっているのです。

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介護報酬の計算方法は「単位」が基準

介護報酬は、サービスごとに決められた単位を基準に計算していきます。基本的な算定方法は、「サービスごとに算定した単位数 × 1単位の単価=事業所に支払われるサービス費」となっています。この単位の単価は、基本的に1単位10円となっています。
ただし、地域によって人件費には差があるため、全国統一で単価を設定してしまうと、地域によって不平等さが生じてしまいます。この差を埋めるために設定されているのが地域区分です。地域区分は8区分あり、全国423の市町村で適用されています。この8区分は、公務員の地域手当に準拠して設定されており、それぞれの上乗せ割合は以下のとおりです。

1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 6級地 7級地 その他
20%
16%
15%
12%
10%
6%
3%
0%

なお、この地域区分は介護報酬の改定の際に変更になることもあります。2023年現在の地域区分の具体的地域については、厚生労働省のHPで確認してください。

また、介護保険サービスは、サービスによって人件費にかかる割合が変わります。特に、自宅に訪問するサービスは、人件費の割合がどうしても大きくなってしまいます。このような差を埋めるため、介護報酬はサービスごとに人件費率を設定しています。介護報酬を計算するときには、この人件費率も基本報酬に加味したうえで計算しなければなりません。サービスごとの人件費率は次の3つに分けられています。

人件費率 該当するサービス
70%
居宅介護支援、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護
55%
小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーション、認知症対応型通所介護、短期入所生活介護
45%
通所介護、短期入所療養介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型通所介護、介護医療院

実際の介護報酬の上乗せ割合は、地域区分と人件費割合の両方をかけたものになります。そのため、公表されている地域区分の上乗せ割合と実質的な上乗せ割合には差が出てきます。たとえば、1級地にある介護老人福祉施設の場合、地域区分の20%に人件費率の45%を乗ずるため、実質的な上乗せ割合は9%となります。

実際の1単位当たりの単価は以下のようになります。

1級地 2級地 3級地 4級地 5級地 6級地 7級地 その他
人件費率
70%
11.40円
11.12円
11.05円
10.84円
10.70円
10.42円
10.21円
10円
55%
11.10円
10.88円
10.83円
10.66円
10.55円
10.33円
10.17円
10円
45%
10.90円
10.72円
10.68円
10.54円
10.45円
10.27円
10.14円
10円

介護報酬は3年ごとに改定されている

介護報酬は、介護保険制度が施行されて以降、3年ごとに改定が行われています。なぜなら、介護に対する時代のニーズや物価は、月とともに変動していくからです。また、社会情勢に合わせて臨時に改定されることもあります。実際に、2022年度には、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえた臨時の報酬改定が行われ、1.13%のプラス改定となりました。

次回の介護報酬改定は2024年度で、すでにさまざまな提案が行われています。たとえば、現在は原則1割となっている介護負担割合を原則2割に拡充しようといった案や、福祉用具貸与のみのケアプラン費をカットしようといった、介護報酬に直結するものや、人員基準の見直しや介護サービス事業者の経営の見える化といった間接的にかかわるものなどが議論されています。すでに次期へ見送りになった提案もあるものの、検討は続く可能性があるため、今後の動きには注目しておきましょう。

また、2024年度は診療報酬と障害福祉サービス報酬も同時に改定するトリプル改定です。それぞれの改定内容によっては、介護報酬に関する部分が大きく変動する可能性もあります。介護事業所を運営し介護報酬を得ていくのであれば、介護報酬改定はしっかり学んでおきましょう。

介護報酬の仕組みを理解し事業所運営を円滑に進めよう

介護報酬の仕組みを理解することは、事業所を円滑に運営していくうえでとても重要なことです。請求事務を行わない介護職にとっては、提供サービスの対価を知ることで、日々の仕事への意識を高めることができるでしょう。介護ソフト「介舟ファミリー」は、請求業務や国保連への伝送を効率的に行えるだけでなく、2年に1度の報酬改定にも迅速に対応しています。スタッフのシフト管理や利用者の記録など、事業所に必要なさまざまな事務手続きをサポートしてくれます。ぜひご検討ください。

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