自らの専門性を見つめなおし、国民のライフパートナーを目指そう!その2

訪問看護ステーションでは、毎日カンファレンスを実施し情報の共有やケア方針決定を行っている。
カンファレンスの中で、看護の視点を共有していくことによって、個々の思考過程が構築されると考えてきた。
しかし、時として難しいと感じる場面がある。
カンファレンスでは、それぞれの担当する利用者のサービス担当者会議への出席にあたり看護の立場でどんなことを情報提供し、現状の課題をどのように考えているのか事前に整理するようにしている。
そこで多くの場合、「○○サービスが必要ではないか」「○○のサービスはどうか」といった内容が先に出てくるのである。ケアプランがまるでパッチワークの出来を競っているようだと感じるのはこんな時である。

その人はどんな暮らしを希望し、現状の病状や症状ではどのような支障があるのか、希望の実現には何が必要かという本人と家族の意思に基づくアセスメントがないまま、方法論に終始するのである。
目に見える現象にとらわれて議論すれば、サービスの種類を検討するしかない。
それは、多忙な勤務の合間を縫って出席しているサービス担当者会も同様である。
訪問看護の専門性を見つめなおしたとき、看護師が行う生活を見据えたアセスメントは重要だと考えているが、その力を持っているにも関わらず言語化し明文化する力が弱く、記録に残っていかないのが残念で仕方がない。

看護は看護師自らが専門性を明らかにし、その機能を果たす努力が必要である。
看護と介護の根っこは“利用者の生活を整える”という共通性を持っており、個別の生活について考えているはずである。
地域包括ケアシステムの構築には、看護と介護が、ため息に尽きるのではなく、利用者と家族の思いを聞き、どうありたいのか、どんな暮らしを望んでいるのか聴いて、当事者自身がQOLを実現する主体者になれるようライフパートナーを目指したい。

松本 京子

株式会社なごみ 代表取締役
阪神淡路大震災まで神戸市立西市民病院勤務。
避難所の支援活動を経験した後に在宅看護の道にすすむ。
1997年4月 神戸市北区で聖隷福祉事業団 訪問看護ステーション開設【 管理者 】
1999年7月 医療法人立訪問看護ステーションわたぼうし【 管理者 】
2004年4月 同法人にて有床診療所ホスピス希望の家開設に従事し入院と在宅を統括する【 管理者 】
2008年   緩和ケア認定看護師の認定取得
2008年11月(株)なごみ 代表取締役 訪問看護・居宅介護支援・訪問介護事業開設
兵庫県看護協会訪問看護認定看護師教育課専任教員兼務
2009年2月 任意団体 ホームホスピス 神戸なごみの家開設
2011年9月 NPO法人取得し、NPO法人 神戸なごみの家
2012年3月 日本福祉大学大学院 社会福祉学研究科 社会福祉学専攻修士課程修了
修士論文「ホームホスピスにおけるケアの内実」
現在に至る。

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