新年度が始まりました

4月は社会人にとって新年度としてスタートの時期に当たります。読者の皆さまでも新たに福祉・介護の世界に入ってきた方もいるのではないでしょうか?

世の中的にはマイナスイメージばかりが先行しているように感じますが、実際に利用者の方とかかわり、人がその人らしく過ごし、生き、住まうことを支える、という職業の意義はとても大きいです。また、私たちは支える側と思いきや、利用者の方とのやり取りからさまざまなことを学び、気づき、支えられることも多くあると思います。

この業界に入るきっかけは、新卒の方、福祉以外の社会人経験を踏まえた方、福祉・介護業界から違う事業所へ転職の方など、一人ひとり違うと思います。哀しいかな、現在でもこの業界は「優しい気持ちさえあれば大丈夫」という誤解に満ちていますが、入職のきっかけは千差万別でも、入ってからの質(専門性)の担保・向上は求め続けられなければなりません。
現在、事業所内での研修やメンター制度、福祉・介護団体による研修などで質を上げるための多様な取り組みがなされています。また、研修動画配信や職種間のSNSなど、事業所の枠をこえて繋がれるツールが多くありますので活用してみてはいかがでしょうか。事業所内で共有したいこと、事業所外で共有したいこと、ご自身の繋がりたい内容によって活用できる現在のツールは便利であり、自分自身を振り返る有効な手段となるでしょう。

今回はその中でも、「縁」という言葉に着目したいと思います。
なぜ、いま自分自身がこの仕事につながったのか・・・ふと不思議に思う、振り返ることがあると思います。
(今は始まったばかりの方は振り返ることは難しいと思いますが)
そこには、ご自身のこれまでのさまざまな経験や、人生の節目などを経て、この仕事につながる出会いがあった・・・これまでを振り返ると数々の偶然が織りなす不思議な「縁」を感じることがあるのではないでしょうか? あの日、あの場所であの方がたと巡り会っていなければ私は今このような仕事をしていないだろうというようなことを。また、これからは、その「縁」でつながりはぐくまれた利用者や職員との絆や、さらに広がる新たな「縁」も待っていると思います。それを人は宿命と言ったり運命と言ったり必然という表現もするかもしれません。

人は一人では生きれないし、他者の役にたっていると実感できることで自分自身を確認し、大事にすることができる・・・そのような体験を毎日さまざまな場面で実感することができると思います。ぜひ個性豊かな利用者や職員の人との「縁」を大切に、毎日取り組まれてください。

最後に、最近心に留まった「縁」に関する記述を添えて新年度のエールとさせて下さい。

清水 正美

城西国際大学 教授
専門は福祉制度・政策、高齢者施設のあり方など。
大学では主に社会福祉士養成課程の指定科目(福祉政策、貧困に対する支援論、地域福祉の理論と方法、ソーシャルワーク実習指導)などを担当。

■著書■
『高齢者の生活困難と養護老人ホーム』(2019年、法律文化社、共著)など

関連コラム

\「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/