「気づき」のチカラ

前回は、「縁」というテーマで書かせていただきました。
不思議な「縁」に導かれてこの世界でご一緒させてもらっている・・・
大切にはぐくみたいものです。

さて、福祉・介護など対人支援に関わるためには専門性が求められますが、養成校では育成の入り口の鉄板として、「バイスティックの7原則」を学びます。この原則は1950年代にバイスティック氏により提唱され、主にケースワーク(個別支援)に携る場合に求められる考え方です。
研修などですでに理解されているかもしれませんが、以下に示します。
()内は私の説明文です。

  1. 個別化の原則(利用者を一人の唯一無二の存在として捉える)
  2. 自己決定の原則(どのような状況であっても決定するのは利用者であり、我々は利用者の自己決定を促すような支援とその決定を尊重する)
  3. 受容の原則(まずは利用者の主張や言動をありのまま受け止めること)
  4. 非審判的態度(私たちは判断をすることはあっても審判する立場でない、利用者を一方的に非難しない)
  5. 秘密保持の原則 (秘密を保持することで利用者との信頼関係が築かれていく)
  6. 意図的な感情表現の原則 (利用者の自由な感情表現を引き出すような関りを意識する)
  7. 統制された情緒関与の原則((支援者は自分の感情や価値観を自覚・吟昧しながら関わる)

「無意識に何気なくかかわっている」ことから「意識的に目的や効果を目指してかかわる」ことへの変化が、福祉・介護の質の向上になるのではないでしょうか。
また、質の向上を実現するときに、大きな役割・きっかけとなるのが「気づき」なのだと考えます。これは私自身の学生時代の実習や、これまでの教育や施設研修での経験から痛感していることです。
どんなに他者からこれは大事だと言われていても、自分自身が実際の利用者やご家族、職員との関わりのなかで
「あ、このことはこれまで〇〇さんが、●●と言っていたことだ。これからそれを実践(達成)するためには◎◎を想定、考えながら取り組まないと」
と気づき、自分の仕事(じぶんごと)として落とし込まれない限り、なんとなくこなす仕事になってしまうと思います。 この気づきについては、次回で実体験をもとに詳しくお伝え出来たらと思います。

清水 正美

城西国際大学 教授
専門は福祉制度・政策、高齢者施設のあり方など。
大学では主に社会福祉士養成課程の指定科目(福祉政策、貧困に対する支援論、地域福祉の理論と方法、ソーシャルワーク実習指導)などを担当。

■著書■
『高齢者の生活困難と養護老人ホーム』(2019年、法律文化社、共著)など

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