支援の質~ピンチはチャンス~

月岡さん(60代男性、仮名)は自宅で一人暮らし。
私のエピソードには男性の一人暮らしが多い。私も…。

退院後、「のんき」の利用開始。
利用時は要介護であったが回復し、要支援。障害福祉サービスのヘルパーを併用している。
利用時は散歩や将棋をして楽しめている様子である。しかし、深い所での関係形成は構築できていない感触であった。
偶然、私と誕生日が一日違いであり、誕生会を合同で開催することになった。
少しずつ関係は取れてきたように思えてきた頃、千葉県に台風がやってきた。房総半島台風である。
「のんき」を始めうちの事業所には大きな被害はなく、屋根が少し飛び、停電した程度であった。
月岡さんの家は母屋には損傷はなかったが、土蔵の屋根が飛んだ。屋根が中途半端に倒れ、母屋に接近していた。
私は知り合いに連絡をとり、重機の手配を深夜にしたが、翌日、月岡さんの家に様子を見に行くと屋根は無事、地上に落ちて安定していた。
住居ではないからと今も放置されている。

「のんき」は停電してはいたものの開所。家でクーラーのない所にいるよりも、と普段通りの利用者が通っていた。
幸いにして「のんき」には4日目に電気がやってきた。しかし、月岡さんの家に電気、水道が復活したのは2週間後になってしまう。
その間、毎日訪問し、水や食糧を届けた。
これを機に関係が強固になった。何かあると相談してくれるようになった。台風災害は辛かったが、月岡さんとの関係が構築されたことに私は悦びを感じた。

今回、紹介した3人のケース、実は同じ介護支援専門員が担当している。
蓑田さん(仮名)という熱い介護支援専門員である。
月岡さんと私が一日違いの誕生日という話の中で、実は蓑田さんと私は同じ誕生日であった。365分の1の確率。2.7%である。

今年も3人の誕生会を「のんき」で開催したい。実はこの蓑田さんからのケースはこの紙面では語りつくせないエピソードのある方がいる。この方は私の母と同じ誕生日。それはまたの機会に紹介したい。

一人ひとりを丁寧に支縁する。そうすることで支縁の質はあがり、支円の輪が広がることだろう。

大井 純

特定非営利活動法人障害児教育・福祉資料センター代表理事
■現職■
特定非営利活動法人障害児教育・福祉資料センター代表理事
城西国際大学福祉総合学部非常勤講師
日本社会事業大学通信教育科非常勤講師
武蔵野大学通信教育部社会福祉専攻非常勤講師

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