【具体策あり】訪問介護事業所の人手不足が深刻化しているのはなぜ?原因と人材確保のための解決策などを詳しく解説!

2024年度の介護報酬改定後、訪問介護業界は未曾有の危機に直面しています。厚生労働省の調査によると、 6割近くの訪問介護事業所が減収となり、その主要因として深刻な人手不足が挙げられています。人手不足により、利用者からの依頼があってもサービス提供を断らざるを得ない事業所が急増し、結果として訪問回数の減少と収益悪化の悪循環に陥っています。
特に中山間・離島地域では58.7%もの事業所が減収を経験し、運営継続に問題なしと回答した事業所はわずか1割を下回る状況です。本記事では、この深刻な人手不足問題の現状を詳しく分析し、具体的な解決策と今後の展望について解説します。

訪問介護の人手不足が深刻化している現状

厚生労働省が2024年9月に実施した調査では、全国の訪問介護事業所約3,300ヶ所を対象としており、 5割から6割弱の事業所が減収となっていることが明らかになりました。特に深刻なのは地方部で、中山間・離島地域では58.7%の事業所が前年同月比で5%以上の減収を記録しています。都市部においても同様の傾向が見られ、介護保険収入の減少が全国的な問題となっています。

 

一方で、基本報酬の引き下げによる減収と併せて問題視されているのが、利用者からの依頼があってもサービス提供を断らざるを得ない状況の増加です。都市部・地方部を問わず、6割を超える事業所で利用者宅への訪問回数が減少しており、これは単に需要の減少ではなく、対応可能な職員数の不足が主要因となっています。


さらに事業所の休止・廃止数が前年度比で約1割増加しています。やはりその主要因も「人員の不足」であり、「運営継続に問題なし」と回答した介護事業所は1割を切る状況となっています。この深刻化する人手不足の状況は、介護サービス提供体制そのものを脅かし、事業所の職員だけでなく、利用者とその家族に大きな不安をもたらしています。

訪問介護で人手不足が進む根本的な理由

ではなぜここまで人手不足が深刻化しているのでしょうか。主に以下のような理由が考えられます。

介護報酬改定で訪問介護はマイナス改定になった

2024年度の介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられており、これが人手不足を加速させる重要な要因と考えられています。 基本報酬の減額により、事業所の収益基盤が悪化し、職員への処遇改善が困難になったためです。特に小規模事業所では、この影響が顕著に現れており、優秀な人材の確保や既存職員の定着が一層困難になっています。
報酬改定により、事業所は以前よりも限られた予算の中である程度の質は確保したサービスを提供する必要がありますが、一方で深刻化する人手不足によりさらに職員一人あたりの負担が増加する結果となっています。この状況は職員のモチベーション低下を招き、さらに人手不足を悪化させることにつながります。この構造的な問題が解決されない限り、人手不足の根本的な改善は困難な状況が続くと予想されます。

処遇改善・適切な報酬体系の構築がなされていない

処遇改善加算を取得している訪問介護職員の平均給与は、調査した前年より約1万円以上増額になっていますが、それでも人手不足は止まっていません。訪問介護員の処遇はほかの施設系サービスと比較して中程度の位置にあるといえますが、「 身体的・精神的負担が大きい業務内容に対して、報酬が見合わない」という現実が、新規参入者の確保を困難にし、既存職員の離職率を高めています。
このように処遇改善加算などの制度はあるものの、その効果は限定的であり、根本的な賃金改善には至っていません。また、昇進や昇格の機会が少ないことも、長期的なキャリア形成を困難にし、優秀な人材の流出を招いています。労働に見合った適正な報酬体系の構築が、人手不足解決の急務となっています。

労働環境が良くないケースが多い

訪問介護特有の労働環境は、多くの労働者にとって働きにくい条件となっています。よくある課題としては、 利用者宅間の移動時間が長時間に及ぶにも関わらず、この時間が十分に評価されていないことです。特に地方部では移動距離が長く、一日の大部分を移動に費やすケースも少なくありません。

 

また、基本的に一人で利用者宅を訪問するため、緊急時の対応や判断を一人で行わなければならない責任の重さも、精神的な負担となっています。夜間や休日の対応についても、オンコール体制などにより職員の負担が増加し、プライベートな時間の確保が困難になっています。


さらに、天候に左右される屋外での移動や、各家庭の異なる環境への適応など、身体的・精神的なストレスが多い職場環境が、人材の定着を妨げる要因となっています。働き方改革が求められる中、これらの課題への対処が急務となっています。

介護職全般に対する社会的なイメージが良くない・認知度が低い

介護職全般に対する社会的なイメージの問題も人手不足の一因となっています。 「きつい、汚い、危険」という3Kのイメージや、専門性に対する社会的認知の低さが、若年層の職業選択において介護分野を敬遠させる要因となっています。

 

さらに、日本全体で少子高齢化が進んでおり、他業種での人手不足も深刻化しているため、より条件の良い職場への人材流出も続いています。地域によっては公共交通機関の減便や廃止により、訪問介護職員の移動手段が限られるという物理的な制約も生じています。

訪問介護の人手不足を解決する具体策

人手不足が深刻化する中でどのような対策に力を入れるべきでしょうか。主に以下の対策が有効です。

処遇改善加算・特定事業所加算の活用

先述した処遇改善加算や特定事業所加算などの各種加算の積極的な取得は、事業所の収益改善だけでなく 職員の処遇改善と人材確保の重要な手段となります。

 

例えば処遇改善加算を取得することで職員一人当たり最大月額37,000円も受け取ることができます。特定事業所加算では、サービス提供体制の強化により基本報酬の最大20%の加算が得られ、安定した収益基盤の構築が可能です。


これらの加算を取得するためには、職員の資質向上や環境整備が必要ですが、結果として組織全体のレベルアップにもつながります。加算取得により増加した収益を職員の給与アップや労働環境改善に還元することで、職員満足度の向上と定着率の改善が期待できます。また、処遇改善の実績は求人活動においても大きなアピールポイントとなり、新規人材の確保にも効果を発揮します。

ICT化による業務効率化

ICT化の推進は、限られた人材で効率的なサービス提供を実現する鍵となります。訪問スケジュールを管理できるシステムを導入することで、移動時間の最適化と無駄な時間の削減が可能になり、一日あたりの訪問件数を増加させることができます。

 

また、介護ソフト導入による記録業務のデジタル化では、手書きの介護記録をタブレットやスマートフォンで入力でき、記録時間の短縮と正確性の向上が実現できます。リアルタイムでの情報共有が可能となり、チーム間の連携も向上するでしょう。


ほかにも移動ルートを最適化できるシステムを導入することで、GPS機能を活用して最短経路を提案し、移動時間とコストの削減を図れます。さらに、バイタルサインの自動測定機器や見守りセンサーの活用により、職員の業務負担軽減と利用者の安全確保を両立できます。これらのICT化により、 職員は本来の介護業務により集中でき、やりがいの向上、ひいては人材不足解消に貢献します。

働きやすい環境づくり

職員が長期的に働き続けられる環境の整備は、人手不足解決の重要な要素です。フレキシブルな勤務体系を導入することで、パートタイムやフルタイム、短時間正社員など多様な働き方が可能となり、 子育て世代や高齢者などさまざまなライフステージの人材を活用できます。加えてチームケア体制を構築することで、一人の職員にかかる負担を分散し、緊急時のサポート体制も強化できます。
また、スキルアップのための研修制度の充実や、資格取得支援制度の導入により、職員のキャリア形成をサポートすることで働きやすい環境づくりにつながります。ほかにも職場内のコミュニケーション向上のための取り組みや、職員同士の交流促進することも重要です。さらに、適切な休暇制度の確立や、有給休暇の取得促進により、ワークライフバランスの改善を図ります。
これらの取り組みにより、職員満足度を向上させ、離職率の低下と新規採用の促進を実現しましょう。

人材確保・育成の取り組み

多様な人材の確保と効果的な育成プログラムの実施に取り組むことで、人手不足解消を目指せます。外国人材の活用では、EPA(経済連携協定)やSSW(特定技能)制度を活用し、海外からの人材受け入れを推進します。言語サポートや文化的な配慮を含む受け入れ体制の整備により、外国人職員の定着率向上を図ります。
また、未経験者向けの研修プログラムでは、基礎的な介護技術から実践的なスキルまで 段階的に学べるカリキュラムを構築し、安心して業務に取り組める環境を提供しましょう。一方で他業種からの転職支援では、これまでの経験やスキルを活かせる職場環境を整備し、キャリアチェンジを促進します。
さらに地域の教育機関との連携により、介護職を目指す学生の実習受け入れや就職支援を行いましょう。職場体験や見学会の実施により、介護職の魅力を広く発信でき、潜在的な人材を発掘できる可能性があります。ほかにも既存職員の紹介制度や地域のハローワークとの連携により、効果的な人材確保を推進しましょう。

人材シェアリングとワークシェアリングの活用

人材シェアリングとは、複数の訪問介護事業所間で職員を共有・融通し合う仕組みで、従来の「1つの事業所で1人の職員が勤務する」という雇用形態から、「複数の事業所で1人の職員が働く」という新しい働き方を実現します。具体的には、送迎、入浴介助、食事介助などの業務ごとに専門スタッフを配置し、これらの 人材を複数の事業所間で共有することで、限られた人材を効率的に活用できます。
一方、ワークシェアリングは事業所内で一つの業務を複数人で分担し、労働時間の短縮や雇用機会の創出を目指す制度です。育児中の主婦、学生、定年退職したアクティブシニアなど、フルタイム勤務が困難な多様な人材層を取り込むことが可能となり、慢性的な人材不足の緩和につながります。実際に官民一体となって人材シェアリング・ワークシェアリングがすでに活用されています。

人手不足解消に役立つ訪問介護×ICT活用事例

訪問介護や通所介護などさまざまな介護サービスを展開されている株式会社ミストラルサービス様では、人手不足にも役立つICTを活用されています。

導入前の課題・きっかけ

利用者の実施記録を紙で管理していたため、ヘルパー間での情報共有に偏りが生じていました。請求業務も別ソフトを使用しており、作業工数が多く、契約から請求管理・入金管理まで一元管理できるソフトが必要でした。

介護ソフト「介舟ファミリー」を選ばれたポイント

そこで、上記の課題解決のために介護ソフト「介舟ファミリー」を選択されました。帳票のExcel出力対応や国保連だけでなく役所提出書類への対応、国保連請求から支払決定取込まで一貫して対応できる点などを評価されています。

導入後の変化

クラウド化によりタブレット対応となり、ケアマネが訪問先で直接登録できるようになったことで、転記が必要なくなったため、事務作業が激減しました。またCare-wing連携により現場と事務の記録管理が容易になり、利用者様の状況観察も常に最新データが確認できるようになりました。さらに複数サービス利用者の一元管理が行いやすくなったことや情報共有内容が手厚くなったこと、事務員でも操作しやすくなったため、管理者やサ責はその分他業務に時間を割けるようになりました。
上記のように訪問介護の現場でも ICTを活用することで間接業務が大幅に削減され、限られた人数でも事業所をスムーズに運営できるようになっています。

訪問介護業界の今後の展望と対策

2024年度の報酬改定を経て、訪問介護業界は大きな転換点を迎えています。団塊の世代が後期高齢者となることで、介護需要は今後爆発的に増加する一方、人材不足はさらに加速することが考えられます。

 

この状況を乗り切るため、 業界全体でのICT化が加速しており、先端技術を活用したケアプランの最適化や、IoT機器による見守りシステムの普及などが進んでいます。政府もこの動きを重点政策として位置づけ、補助金制度の拡充や規制緩和を進めています。


また、外国人材の活用拡大やロボット技術の導入、テレワーク可能な業務の切り分けなど、従来の枠組みを超えた革新的な取り組みがすでに広がりつつあります。持続可能な事業運営のためには、こうしたICT活用による生産性向上を目指した取り組みが今後ますます重要性を増していくでしょう。

訪問介護事業所の収益改善には多様な人材確保策を講じる必要がある

訪問介護の人手不足問題は、単なる労働力不足ではなく、処遇改善・適切な報酬体系の構築の遅れ、基本報酬の減額、労働環境の課題など複合的な要因により生じている構造的な問題です。

この問題を解決するためには、各種加算の積極的な取得、ICT化の推進や働きやすい環境づくり、多様な人材確保策を組み合わせた総合的なアプローチが必要です。特に、 限られた人材で最大限の効果を発揮するための業務効率化は急務であり、介護ソフト導入による記録業務の簡素化、スケジュール管理の最適化、チーム間の情報共有強化などが有効な解決策となります。

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