その人が望む生活(社会的統合)を実現するための第一歩とは?

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今回は、「目指すべき社会的統合のあり方」を支援者としていかに対象者と共有していくか、ということについて、介護職とリハビリテーション専門職に共通する視点から考えてみたいと思います。

2007(平成19)年の法改正において、介護福祉士の専門性はいわゆる3大介護に留まらず、対象者の「心身の状態に応じた介護」を行うことである、と規定されました。
このことは、対象者個々の生活や個別性を重視した介護を実践することが介護職に期待されていることを示しています。
では、対象者個々の生活や個別性を重視し、心身の状態に応じた介護を行うために不可欠なことは何でしょうか?

 

それは、対象者との対話を通して「どのような生活を望んでいるのか」「何をしたいのか」を模索することです。
このプロセスはまさに「社会的統合をどのように実現するか」につながるものであり、介護職とリハビリテーション専門職の接点でもあるといえるでしょう。

さて、この「どのような生活を望んでいるのか」「何をしたいのか」という問いは、ケアプランの第1表「本人(家族)の意向」にも反映されるものですが、対象者自身の価値観が強く影響する非常に個人的なものです。
では、それを支援者としてどのように共有していくべきでしょうか?

私の例を挙げれば、対象者のADLやIADL状況を把握する際に「どこまでご自身でできるか」「どのくらいの介助が必要か/どのような介助が必要か」の視点に留まらず、その人らしさが浮かび上がるような聞き方をしています。
食事であれば,好きな食べ物や飲み物、外食の頻度、行きつけのお店を。
更衣なら服のデザインや色の好み、好きなブランドを。
料理であれば、とっておきの得意料理や家族にまた食べさせたいと思う料理を。
買い物であれば、好きなお店や物を選ぶときのこだわりなどを伺いながら、アセスメントを進めます。

「その利用者が望む生活」とは、時間軸でいえば未来を見据えたものですが、一方で「これまでの生活」の延長線上に位置づけられるものでもあります。
その人が人生の中で積み重ねてきた「これまでの生活」を少しでも知ることが、「目指すべき社会的統合のあり方」を対象者と共有する第一歩であると考えます。

次回は、これらをさらに掘り下げ、特にコミュニケーションに難しさのある方の社会的統合をどのように進めていくかについて考えます。

市川 勝 氏

相模原市キャラバン・メイト連絡会 会長

■経歴■

2002年より医療法人社団哺育会さがみリハビリテーション病院リハビリテーション科にて脳卒中後遺症や神経難病の方の言語聴覚療法や摂食機能療法に従事。
2008年より同科長。
2010年より上尾中央医科グループ協議会リハビリテーション部科長(兼務)。
2013年より、神奈川県相模原市内の認知症キャラバン・メイトや認知症サポーターのつながりを強化し、認知症になっても安心して暮らせる街づくりを推進する目的で「認知症サポーターネットワークさがみはら」を設立、代表世話人を務める。
2015年より「相模原市キャラバン・メイト連絡会」会長。

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