介護のプロフェッショナルになろう

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細田 健史 氏

人は生きている中で、何人の人と出会うのでしょう。
介護の仕事をするようになってからは、利用者様やそのご家族、同じ法人に勤めていた職員や他法人などの介護業界の人など沢山の出会いがありました。
そこには、「影響を与えてくれた人」や「自分の成長につながった人」など人生の分岐点となる出会いがありました。
皆さまにも、そんな出会いがあるのではないでしょうか。

介護士をしていた時代に施設介護が困難な利用者様が入所しました。
家族が自宅介護をしていたにもかかわらず、専門職がいる施設で介護が困難、受けることができないとはどういうことなのか。

「介護の専門職として誇りと自覚を持たなければならない」などの議論を施設職員同士で交わした覚えがあります。
介護保険法では「正当な理由なく指定介護老人福祉施設サービスの提供を拒んではならない」とされています。
解釈通知によると正当な理由とは、入院治療の必要がある場合その他の入所者に対し自ら適切な指定介護福祉サービスを提供することが困難な場合とされています。
正当な理由は明確ではありませんが、介護サービス提供が困難な場合とは、相当な理由が必要と考えられます。
医療ではなく介護が中心で支援をすることができる場合には、どんな利用者様でも受け入れることが必要であると思います。
どんな利用者様でも受け入れることができるようになるには、介護のプロフェッショナルな人材が必要となります。
(プロフェッショナルとは、専門的知識技術を用いてそれを生業としている者)

介護の専門的な知識や技術を用いて仕事をしている者とすると国家資格である「介護福祉士」が頭の中に浮かびます。
介護の仕事をするからには、介護福祉士を目指していくことは必要ですし、目指して欲しいところであります。
厚生労働省のホームページより介護福祉士有資格者の登録数を調べたところ、令和2年度1,753,418人となっていました。
(私的な意見としては、少ないと感じ、増えていかなければならないと思います。)
私も介護福祉士の資格を保有しています。
介護のプロフェッショナルと言えるのか?と考えるとまだまだ未熟であると思っています。
介護士には、十分な経験や資格を持っているにもかかわらず、思ったような結果にならない人が多く存在していると思います。
例えば、「他人の批判をする人」。
他人を批判することは簡単ですが、自分がその立場で考えて行動することが大事です。
例えば、「自分は他人よりもできる人と自己評価が高い人」。
自分自身を評価することは必要ですが、過信してはいけません。自己評価よりも他者評価を良くすることが必要です。

ほんの少し意識の方向性を変え、行動方法を変え、プラスの知識を増やしていくことで介護の専門職に近づいていきます。
介護士一人ひとりがプロフェッショナルを目指しましょう!
そして、介護士が正しく評価され、よりスキルの高い人材となり、介護の仕事が高く評価される社会を介護業界全体で目指していきましょう。

(参考)厚生労働省のホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi6.html

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施設介護から考える

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細田 健史 氏

現在の私は、介護老人福祉施設に勤務をしています。
施設を利用されている方は、自宅等で生活をされていた方が、疾病など何らかの理由で自らの力では生活が出来なくなり、ご家族の支援や居宅サービスなどの介護サービスを受けながら生活を維持してきましたが、それも困難となり施設を利用するようになります。
利用者様は、自宅での生活を維持し、人生の最後を迎えたいと願っていた方が多いと思っています。
全ての人ではないと思いますが、施設で生活をしたいと思っている人は、少ないのではないでしょうか。

施設に入所すると、生活の場が在宅から移ります。
在宅では、居宅サービス等を利用しても生活を維持できなかったことが、施設サービスを提供することで生活を維持することが出来るようになります。
施設では、24時間365日介護士がご家族に代わり支援をしています。
介護士が主体となり、医療面においては看護師、栄養面においては栄養士、生活全般における相談や家族との連絡調整については生活相談員、施設介護計画等に関しては介護支援専門員、身体機能の訓練等においては機能訓練指導員、各種の専門職が各々の専門性を理解し連携していくことで、利用者様の生活を支え維持しています。
利用者様の支援をチームとして行うこと・利用者様の視点に立ち、生活を中心に考えることで、施設介護が向上していきます。

施設介護は、利用者様自らの生活を維持していくために介護士等の援助を受けることであると思います。
そこには、「自立支援」=自らの力で行うことができるように支援していくことが目的にあります。
できなくなった事柄が、介護士等の支援によってできるようになる。
特別なことを求めている訳ではありません。
介護士等が、「利用者様の自ら行うことができること」と「自らでは行うことができず他者の支援が必要なこと」に応じて支援をし、生活を送ることが大切なのです。施設で生活しているなかで、利用者様がどう生き、どういった最後を迎えたいのかを描いていただき、その希望を叶えることができるようにすることが大切なのです。

他職種が支援をしている介護施設では、目的を実現するために目指すべき方向が共有されることが重要となります。
当法人では『利他』としています。
自らの幸福よりも他者(利用者様)の幸福を願い行動することです。
長年生きてこられた利用者様が、最後まで幸せと思えるような介護を行っていくことを目指し、法人職員は実践をしています。
そして、利用者様が 「施設で生活してよかった。」
利用者様家族が 「施設にお願いしてよかった。」
と思えることが、施設の評価であり、施設介護の質であると考えます。

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人が人を支援する

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細田 健史 氏

はじめまして。
社会福祉法人梅香会 矢那梅の香園 施設長 細田健史です。
私が介護業界に勤め始めたのは、1996年身体障害者療護施設の介護士からでした。
当時は、右も左もわからない中、よく勤めていたなと思い返します。
知識や技術もなく、先輩介護士の方々から、よく指導を受けていました。
そういった中で、ある入所者との出来事を交え「人が人を支援すること」を考えてみたいと思います。

私が担当していたMさん。
他の介護士が介助すると容易に出来ることが、私が介助すると緊張がはしり拒否される。
意思疎通は、言葉ではなく目の動きや舌で合図をするので、「私ではダメですか?」と問いかけると舌を出す。
完全に新人介護士では、Mさん自身が受け入れてくれなかった訳です。
皆さんもこんな経験はありますか。このような状況になると悩みますよね。

  • 何がダメなのだろうか。
  • どんな介助の仕方があるのか。
  • 一生懸命介助しようとしているのになぜ受け入れてくれないのか。

やるせない気持ちに押しつぶされそうになりました。
介助をする私も人です。
Mさんを支援するということは、施行錯誤しながら支援をするということです。
私は、同僚介護士に支えられ、助言を頂き、諦めることなくMさんのことを知ることから始めました。
あるきっかけでMさんとの関係が急変ましたが、このことで、Mさんを支援することは、その人を理解することから始めることが大切であると悟りました。
知識や技術を身に着けた今でも、それは変わらない事であると思います。
どれだけ良い言葉を発しても、どれだけ良い介護をしても、介護を受ける人と介護をする人との関係性が築かれなければ介護の質は良くならないと思っています。

介護の仕事をしていると「自己覚知」を学びます。
自分を知ることです。どんなときに感情が動くのか。
どんなときに受容でき、受容できないものは何なのか。
受容できないことがあったとしても対人援助をするときには、感情をコントロールすることが重要になります。

私たちの仕事である介護は、人(介護者)が人(利用者)を支援する仕事です。
介護者である己を知り、利用者である他人を知り、生まれてくる関係性の上で成り立つものだと考えます。

介護の質を評価するのは、利用者であり、その家族です。
人と人との関係性が良好であることが前提ではないでしょうか。

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