その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する Posted on 2012年7月13日2025年2月17日 by 管理者 HOME >コラム>森永 伊紀 氏 「母は85歳を過ぎても体はピンシャンしていましたが、『親しい友達は全部死んじゃったし、もう生きていたってしょうがないから、早く死にたい』と言うんです。じゃあ明日死ぬかって聞くと、『いや、今日はちょっとまだね』と言う。『ひじきと油揚げを煮ようと思っているから、あれを旨く煮て食べて死にたい』(笑)。『俺は将来この会社の社長になる』というのとは違うけれど、ひじきを旨く煮るというのも、やはり生きがいなんです。だから僕は「じゃあひじき煮なよ」と言って帰りました(笑)。(「えれくせんと」三浦朱門氏の文章の要約) 三浦さんのお母さんは、自分ひとりでひじきが煮れなくなったら「終わり」でしょうか。ヘルパーの援助を受けながら、ひじきを煮ることができれば、「終わり」にはなりません。高齢者の生活の中には、自分が自分らしく生きていくテーマとなる生活行為があります。その生活行為を、今日とどこおりなく行うことは、過去の自分と明日の自分を繋げる働きがあり、今日のような明日が来ること確信させます。高齢者が「生きる」とは、このような日常性の継続にあるのではないでしょうか。ホームヘルパーには、高齢者の多様で雑多な日常生活の行為の中から、その人の、生きていくテーマとなっている生活行為を見つけ出し、すでに失われている場合は、利用者と生活の中に手がかりを探して再生させ、又は、新たに創り出していく力量が求められます。私たちヘルパーが、利用者の「変化」という言葉を使うとき、「変化」を、なるようにまかせた結果としてではなく、「利用者の過去から明日に繋がる今日の生活行為を、利用者とヘルパーが協力して行う中で生まれてきたもの」として使いたいものです。 森永 伊紀 氏 連載一覧 「女どおしじゃない大丈夫」 -折り合い・新しい自己の獲得を援助する- 2012年9月18日 ~ ヘルパーは「家族と同じ」 ~ に込められた利用者からのメッセージ 2012年8月10日 その人らしさのテーマとなっている生活行為を大切に援助する 2012年7月13日 プロフィール ホームヘルパー全国連絡会 事務局長。 ■経歴■和光大学人文学部人間関係学科卒業。現在、世田谷保健福祉課地域支援担当・介護指導職。世田谷区職員労働組合執行委員。平成13年2月に発足したホームヘルパーさん全国連絡会事務局長。ホームヘルパーさん全国連絡会が母体となり立ち上げた「ホームヘルパーさんの手による1000の事例研究会」で、全国で事例研究を実施。著作「介護をはじめたあなたに」萌文社。「ホームヘルプにおける援助拒否と援助展開を考える」など。 関連コラム 「気づき」のチカラ 2023年6月8日 私の考える介護の質~ケアの喜び~ 2012年3月22日 支縁の質~ピンチはチャンス~ 2023年10月11日 他のコラムを探す テーマで探す 介護の質介護職食事組織ケアシステム機器 職種で探す 大学教授経営者施設管理者専門職介護関係 \「介舟ファミリー」のお問合せはこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード