介護保険サービスと障害福祉サービスを併用は可能?併用する要件やメリットもあわせて解説 Posted on 2024年10月3日2024年10月3日 by kaida 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用は可能?併用する要件やメリットもあわせて解説 HOME > 介護保険 介護保険サービスと障害福祉サービスの併用について、多くの方が併用できるのか理解している人は少なくありません。ただ、ケースによっては併用できる場合があり、これら2つのサービスを効果的に利用することで利用者の生活の質を大きく向上させる可能性があります。本記事では、介護保険サービスと障害福祉サービスの併用の可能性、その要件、メリット、そして注意すべきポイントについて詳しく解説します。複雑な制度ですが、理解することで最適なサービスの組み合わせとなるため、ぜひご覧ください。 介護保険サービスと障害福祉サービスとは 介護保険制度は、主に65歳以上の高齢者を対象とし、何らかの支援が必要となればケアマネジャーがケアプランを作成し、日常生活に支援が必要な方へのサービスを提供します。一方、障害福祉サービスは、障害のある方の自立した生活と社会参加を支援することを目的としています。そのサービス内容には、生活支援や就労支援があります。利用資格には、障害者手帳などが必要となります。両制度は異なる法律に基づいていますが、利用者のニーズによっては併用することが可能です。これにより、より包括的なケアを受けられる可能性が広がります。ただし、各制度の特性や利用条件を理解することが重要です。 「65歳問題」の課題 障害福祉サービスを受けていた方も65歳になると、原則介護保険に移る必要があります。これを「65歳問題」と呼びます。この65歳問題では負担するコストと受けられるサービスがそれまでと変化することにより、生活に支障が出てしまうことが問題点として挙げられます。コスト面では65歳まで福祉サービスを受けていた方が介護保険サービスを受けることで、非課税世帯の場合介護保険サービスの1割を負担しなければなりません。また、介護保険サービスと障害福祉サービスを併用する場合、サービス内容が重複していると判断されたサービスは介護保険サービスが優先となってしまいます。これにより、サービス面ではこれまでよりも受けられる支援の時間が短くなったり、社会参加の機会が失われてしまったりとそれまでの生活と大きく異なることもあるため、非常に注意が必要となります。 参考:65歳問題に関する現状と課題|障害保健福祉研究情報システム 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用できる要件 介護保険サービスと障害福祉サービスの併用には、いくつかの要件があります。まず、介護保険サービスにない障害福祉サービス固有のもの(同行援護、行動援護、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援等)と認められるサービスが必要な場合は、障害福祉サービスの利用が認められています。ほかにも以下のような場合も併用可能になります。支給量が介護保険サービスのみによって確保することができない場合利用可能な介護保険サービス事業所又は施設が身近にない、利用定員に空きがない場合介護保険法に基づく要介護認定等を受けた結果、介護保険サービスを利用できない場合(非該当の場合等) 出典:障がいのある方の介護保険利用について|大阪市福祉局 具体的な併用の条件は、個人の状況や地域の制度運用によって異なるため、詳細は各自治体の窓口に確認することをおすすめします。 重複する場合の優先度 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用する場合、先述した通り65歳になると重複した内容のサービスであれば介護保険サービスを優先しなければなりません。どのような場合で重複するのでしょうか。 障害福祉サービス 介護保険サービス ホームヘルプ 居宅介護、重度訪問介護 訪問介護 デイサービス 生活介護 通所介護 ショートステイ 短期入所 短期入所生活介護 重複したサービス内容であれば、介護保険サービスでも可能なため、切り替わる可能性があります。もし重複しているかわからない場合は、各自治体の窓口と相談しましょう。 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用するメリット 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用することで、さまざまなメリットがあります。 充実したサービスを受けられる 併用のメリットとして、まず挙げられるのが、より包括的で充実したサービスを受けられる点です。介護保険サービスでは主に入浴や食事、排せつなどの日常生活をサポートするサービスが多いですが、一方で障害福祉サービスでは生活支援や就労支援など、より広範囲なニーズに対応できます。例えば、介護保険でヘルパーによる身体介護を受けながら、障害福祉サービスで就労継続支援を利用するなど、個人の状況に合わせた多角的なサポートが可能になります。 利用者負担を軽減できる もう一つの大きなメリットは、利用者負担の軽減です。介護保険サービスも障害福祉サービスも利用時には費用が発生します。しかし両制度を併用することで、重複するサービスの費用削減が期待できるため、トータルの自己負担額を抑えられる可能性があります。 共生型サービスの利用 併用することで充実したサポートの一つとして、共生型サービスを利用できるようになります。これは年齢により受けられる事業所が利用できなくなると、利用者にとって日常生活に支障が出てしまう恐れがあるためです。そのため介護保険サービスと障害福祉サービスを同じ事業所で受けられる共生型サービスが利用できます。ただ共生型サービスはメリットだけでなく、デメリットも存在します。しっかり共生型サービスについて理解したうえで利用の検討を行いましょう。 社会参加の機会が増える 両サービスを併用することで、今まで介護保険サービスのみを利用していた人も障害福祉サービスを受けられるため、就労支援を受けることができます。これにより、外出・就労機会を増やすことができ、社会参加への道を開くことができます。結果、この機会に就労することも可能となるでしょう。就労までは困難でも外出する機会が増えるため、「働きたい」という想いが強くなったり、主体的な行動に繋がったりする可能性もあります。 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用する際の注意ポイント 両制度を併用する際には、さまざまな注意ポイントを理解する必要があります。 補助金を活用する 65歳以上の方であれば原則介護保険サービスに移るため、サービスにかかる金銭的負担が増えてしまいます。その負担を軽減するため、以下のような条件を満たす障害者の方は補助金を利用できます。65歳になる前の5年間、障害福祉サービスを利用している生活保護受給者または住民税の非課税世帯65歳に達する日の前日において障害支援区分が2以上65歳までに介護保険サービスを利用していないこの補助金は「新高額障害福祉サービス等給付費」と言います。ただしこの補助金については細かい要件があるので注意して理解する必要があります。詳しくは、以下の出典サイトをご覧ください。 出典:高額障害福祉サービス等給付費等に関する支給認定について|厚生労働省 申請書類や手続き期限を厳守する 併用を希望する場合、適切な申請書類の提出と手続き期限の遵守が重要です。介護保険の要介護認定と障害福祉サービスの障害支援区分認定は別々の手続きが必要で、それぞれに申請書類や医師の意見書が求められます。必要なサービスの申請書類を期限内に揃えられるよう、早めの準備と相談を心がけましょう。 ケアプラン作成にはICTを活用する 複数のサービスを併用する場合、ケアプランの作成と管理が複雑になります。この課題を解決するために、ICT(情報通信技術)の活用がおすすめです。専用のソフトウェアやアプリを使用することで、介護保険サービスと障害福祉サービスの情報を一元管理し、効率的なケアプラン作成が可能になります。これにより、サービス提供者間の情報共有がスムーズになり、利用者のニーズにより適切に対応できるようになります。また、ICTの活用は、ケアマネジャーの業務効率化にも貢献し、より質の高いケアマネジメントの実現につながります。 あわせて読みたい 障害福祉ソフトとは?ソフトの機能や選び方、導入時の注意点を解説 介護保険サービスと障害福祉サービスを併用して利用者の日常生活の質を高めよう 介護保険と障害福祉サービスの併用は、利用者の生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。両制度の特性を理解し、適切に組み合わせることで、より包括的なサポートを受けられるのです。ただし、併用にあたっては、要件の理解や申請手続きの厳守など、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。また、両制度を併用するにあたり、ケアプランの作成と管理が複雑になる可能性があります。この問題を解決し、かつ業務効率化を進められる、ICTの活用をおすすめします。介護ソフトの「介舟ファミリー」は障害福祉サービスにも対応しており、複雑な業務管理に役立ちます。使いやすく充実したサポート体制もそろっているため、安心して利用可能です。ぜひ、一度ご相談ください。 介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。 無料体験はこちら 資料ダウンロード 関連コラム 2024年度介護保険法の改正決定事項とは?今回改正された決定事項を詳しく解説 2024年2月27日 処遇改善手当とは?もらえる条件やどれぐらいもらえるのかを解説 2024年10月24日 放課後等デイサービスの2類型化とは?メリットやどのような影響があるのかを徹底解説 2024年10月24日 他のコラムを探す カテゴリーで探す 介護職 介護の質 関連法・制度 機器 組織 \「介舟ファミリー」にご興味がある方はこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード
介護保険施設の介護ソフト導入メリットと注意点を徹底解説 Posted on 2023年6月30日2024年7月9日 by kaida 介護保険施設の介護ソフト導入メリットと注意点を徹底解説 HOME > 介護保険 介護保険サービスを行う事業者や施設が業務効率化を考える際、候補に挙がるのが介護ソフトの導入です。計画や記録や請求、そして職員の管理もできる介護ソフトは業務効率化に有効ですが、選ぶときには注意も必要です。この記事では、介護ソフトの概要から導入のメリット、選ぶときの注意点まで広く解説します。 【無料】介護ソフトの導入効果と、選び方のポイントを知るための「ホワイトペーパー」 このようなことを解決したい方におすすめです 事務作業に時間と手間がかかり過ぎる 介護ソフトで業務効率化を図りたい ICTの活用イメージがわかない 自社に合った介護ソフトを導入するためのポイントが分かる資料無料ダウンロードする ※簡単30秒で登録完了! 「介護ソフト」とは 介護ソフトとは、介護保険サービスを提供する事業者や施設が、請求書やケアプランの作成、利用者の情報管理などの日常業務を効率的に行うために有効なソフトです。大きく分けると介護ソフトには、請求業務に特化した国保中央会(国民健康保険中央会)の介護伝送ソフトと、介護記録や介護計画書作成などの、請求業務以外の機能も幅広く兼ね備えた市販の製品があります。市販のソフトが搭載している機能はメーカーによって異なります。料金体系も、導入時に支払うパッケージ型と、月々支払うクラウド型の2種類があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。介護ソフトは、導入すればそれだけで業務効率化につながるというものではありません。導入したものの使い勝手が悪く、結局導入前の事務作業に戻ってしまうといった事態にならないように、比較検討して自事業所に最適な介護ソフトを選択する必要があります。 介護ソフトでできること 市販の介護ソフトは、一般的には以下のような業務に使われています。 計画業務 アセスメント作成ケアプラン作成サービス計画書作成サービス予定作成 記録業務 介護記録実績登録 請求業務 介護給付費請求国保連インターネット伝送利用者請求口座振替 職員/利用者の管理業務 利用者情報の管理職員のスケジュール管理給与計算送迎スケジュール管理 介護ソフトを導入するメリットとは 介護施設が介護ソフトを導入する主なメリットは以下のとおりです。 業務の効率化 介護ソフトを導入すると、日常的に発生する業務の効率化を図ることができます。例えば、毎月のレセプト請求やケアマネジャーによるアセスメントシート作成などの業務では、フォーマットへの入力やデータの自動集計により、人為ミスを防ぎながら作業時間を短縮することができます。また、介護サービス事業所と居宅介護支援事業所との間で毎月やりとりするケアプランについても、両者でデータをリアルタイムで共有して進行させることができます。手間のかかる郵便やファックスでのやりとりがなくなります。職員のシフトの作成に毎月のように頭を痛めている責任者もいるでしょう。介護ソフトのなかには、利用者だけでなく職員のスケジュール管理も行えるものもあります。さらに、スケジュールの実績が給与計算に連動し、振込データの作成まで行える機能を持つソフトもあり、大幅な業務削減につながります。 業務効率化を真剣に考えるサ責、サビ管の皆さんにおすすめ 請求だけでいいと思ってたけど煩雑になってきた ソフトがバラバラで逆に手間がかかる うちの事業所に合ったソフトが分からない 知りたい方は、ぜひダウンロードしてみてください。 無料ダウンロードする 情報共有の改善 介護ソフトを利用して利用者の情報記録することで、ほかの職員が最新の情報をすぐに確認できるのもメリットのひとつです。タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末で記録・確認ができるソフトもあります。例えば、デイサービスで昼食をあまり食べなかった利用者についての情報を入力しておけば、送迎担当の職員が適宜記録を確認し、利用者を送っていった際に家族に伝えることができます。家族も、デイサービスでの様子を把握できるので、より安心でしょう。特に高齢者は、時間ごとに体調が変化することもあります。朝礼などで引継ぎをするだけでは情報共有は不十分になることがあります。介護ソフトを使えば、全員がリアルタイムで情報を確認できるので、スタッフ間の情報共有が改善されます。 サービスの品質を向上 介護ソフトで事務負担が減った職員は、利用者一人ひとりにしっかり向き合う時間を確保しやすくなるでしょう。また、リアルタイムに利用者の情報を把握できることは、適切なケアにつながります。このように、介護ソフトは、利用者に合わせたより質の高いサービスの提供を可能にします。 法改正に迅速に対応 介護保険の法改正は頻繁に行われます。改正が入るたびに、事業所では間違いはないかを確認しながら事務作業を進めることとなり、よりいっそうの時間と手間がかかります。しかし、介護ソフトならば、多くのメーカーが法改正の際にソフトをバージョンアップして対応しているため、業務運営を妨げることなく、法改正に対応できます。特にクラウド型の介護ソフトは、法改正に対応するバージョンアップがあっても、あらためてインストールし直す必要はありません。 介護ソフトを選ぶうえでの注意点 介護ソフトは介護施設の業務を効率化するには有効ですが、搭載機能は製品によって異なるため、導入やリプレイスを検討する際は以下の点に注意が必要です。自事業所に必要な機能はそろっているか?オプションの機能と、それらの費用は?サポート体制は充実しているか?タブレットやスマートフォンの操作が不慣れな職員でも使いやすいか?事前に実機を操作したり、試しに導入したりすることは可能か?介護ソフト選択の際には、運営責任者が職員にしっかりとヒアリングをして、自事業所にはどのような介護ソフトが適切かを慎重に考えなければいけません。職員の意見を無視して、価格だけで導入を決めてしまうと、業務に必要な機能が装備されておらず、効率化が図れないということも起こります。介護ソフトを選ぶ際のポイントについて詳しくは、以下の記事もご参照ください。 介護ソフトの選び方と比較ポイントを解説!自社が導入すべきソフトはどれ? 事業所に合った介護ソフトを導入して業務を効率化させよう 介護ソフトは、施設のさまざまな業務を効率化するうえで有効なツールです。導入することで、職員は事務作業の負担を軽減でき、より多くの時間を利用者のために割くことができます。その結果、施設が提供するサービスの品質向上につながるでしょう。介護ソフトは多くのメーカーから発売されており、それぞれが異なる特徴を持っています。運営責任者が介護ソフトを選ぶ際には、自事業所の課題解決に対して「どんな機能が必要か?」という視点から考えていくとよいでしょう。介護ソフト「介舟ファミリー」は、対応サービスの範囲が広く、ほとんどの施設に必要と思われる機能をほぼ搭載しているのが特徴です。「どこのメーカーのものがいいだろうか?」と迷った際には、まずは「介舟ファミリー」の介護ソフトを試してみることをおすすめします。 介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。 無料体験はこちら 資料ダウンロード 関連資料 介護ソフトを使ってみた! 2024年2月29日 国保連ソフトから総合型介護ソフトへの切り替えで実現する業務効率化 2024年2月2日 介護ソフト「介舟ファミリー」導入事例集 2023年12月7日 関連コラム レセプト業務を効率化 介護ソフトの選び方5つのポイント 2022年12月2日 介護業界のICT導入補助金制度!内容、金額、導入後の効果を紹介 2022年12月28日 介護ソフトの選び方と比較ポイントを解説!自社が導入すべきソフトはどれ? 2023年4月3日 他のコラムを探す カテゴリーで探す 介護職 介護の質 関連法・制度 機器 組織 \「介舟ファミリー」にご興味がある方はこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード
2024年介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説 Posted on 2023年3月1日2024年4月12日 by kaida 2024年介護保険法改正はどうなる?政府提言のポイントをわかりやすく解説 HOME > 介護保険 次回の介護保険制度の改正が2024年に予定されています。2024年度は医療保険や障害者総合支援法も改正の時期にあたるため、大きな転換期となることが予想されます。2024年の介護保険制度の改正では、社会保障費や利用者負担が大きな論点となっており、介護事業者としても目が離せない内容となるでしょう。この記事では、2024年の介護保険制度の改正に向けた政府提言について、わかりやすく解説します。 【無料】令和6年法改正サービスごとのポイントを総点検「ホワイトペーパー」 このようなことを知りたい方におすすめです 【最新】令和6年の法改正の内容 介護報酬の改定率はどうなったのか うちの事業所のサービスはどう変わるのか 令和6年介護保険法改正のポイントが分かる資料無料ダウンロードする ※「分かりやすい」とご好評いただいております 介護保険制度はなぜ改正する?改正の仕組みを知ろう 介護保険法は、高齢者の現状を踏まえつつ社会のニーズに合わせるため、3年ごとに改正する仕組みとなっています。介護保険制度が創設されて20年が経ち、厚生労働省の「介護保険制度の概要(令和3年5月)」によると65歳以上の被保険者は1.6倍に、介護サービス利用者は3.3倍に増加しました。いまや、介護保険制度は高齢者の生活に欠かせないものとなっています。高齢者人口が増え続ける一方、介護保険制度を支える現役世代は人口が減少しています。介護保険制度を維持していくためには、制度を見直しながら現状に合わせていかなければなりません。また、高齢者を取り巻く現状や社会ニーズも変化していくため、定期的に介護保険制度の改正が行われているのです。介護保険制度を改正する際には、まず、介護保険制度や介護保険サービスのあり方について調査が行われます。その後、大きなテーマが決まり、厚生労働省や財務省の部会で意見が交わされます。最終的に、テーマに沿って新たなサービスや加算などが決まっていく仕組みです。改正の際には、「財源からの支出を抑えたい財務省」対「社会的ニーズや現場の現状に合わせた施策をとりたい厚生労働省」という構図が見られています。 2024年介護保険法改正で押さえておくべき5つの注目ポイント 2024年の介護保険法改正に向けた政府提言が出そろっています。この政府提言で注目したいポイントは5つあります。それぞれについて、詳しくみていきましょう。 利用者負担を原則2割に 1点目は、増え続ける介護費を補うため、利用者負担を原則1割から原則2割にしたいという提言です。介護保険の利用者負担は、現在は本人所得が160万円以上220万円未満の場合は2割負担、220万円以上の場合は3割負担となっています。この基準を引き下げることで、給付を抑えたいというのが、政府の狙いです。しかし、原則2割負担となると、利用控えが起こる可能性があります。本来ならば介護サービスを利用する必要のある人が利用を控えてしまうことは、重度化を招く可能性があり、自立支援の考え方に逆行するとの意見も出ています。2割もしくは3割負担を線引きする所得基準は、介護保険制度ではなく政令に委任されています。そのため、厚生労働省が意思決定できる裁量を持っています。このことから、2割負担については、2023年夏には結果が出る見通しとなっています。なお、3割負担については、結論を出す時期が示されていないことから、2024年度に対象者が拡大する可能性は低いでしょう。 福祉用具貸与のみのケアプラン費カット 2点目は、福祉用具貸与のみの利用の場合、ケアプラン費をカットすべきとの提言です。財務省は、福祉用具貸与のみのサービスはほかのサービスに比べて労力が少ないと指摘したうえで、サービス内容に応じた報酬体制にすべきと提言しています。しかし、ケアプランにはフォーマルサービス(介護保険制度内の公的なサービス)だけではなく、インフォーマルサービス(家族や地域、ボランティアなどによる、公的ではないサービス)も含まれており、モニタリング以外の場面で細かな連絡調整を行うケースが多いのが現状です。現場からは、福祉用具貸与だけだからといって、必ずしも業務負担が少ないとは限らないとの意見が出ています。提言では、手すりや杖などの廉価な福祉用具を販売へ切り替えて、居宅介護支援費をカットすることも求めています。しかし、販売に切り替えてしまうことで、毎月のモニタリングがなくなってつながりが途絶え、結果として利用者が孤立してしまう可能性もあるでしょう。 小規模法人の大規模化 3点目は、小規模法人を大規模化すべきという提言です。介護サービスの主体は、小規模な法人が多いのが現状です。介護保険制度の開始当初、政府は競争による介護サービスの向上を狙っていたため、さまざまな法人が介護業界に参入する結果となりました。そのため、小規模法人が多数を占める状況となっています。政府は、小規模法人が増えた結果、質の向上が不十分で業務効率化が進まない、感染症発生時の業務継続がおぼつかない現状を指摘しました。財務省は、大規模で拠点数の多い法人ほどスケールメリットが働き、平均収支率がよいことを挙げています。そして、大規模化・協働化していくことで経営の効率化を促進しようと提言しています。しかし、現場からは「小規模だから質が低い、大規模だから効率的という考え方は短絡的」と批判的な声が多く挙がっています。 多床室の室料負担の見直し 4点目は、多床室の室料負担の見直しです。現在、特別養護老人ホームでは、すでに多床室の室料を徴収しています。一方で、同じ介護保険施設である介護老人保健施設と介護医療院、介護療養型医療施設には室料負担が設定されていないため、利用者負担が軽くなっているのが現状です。そのため、介護保険施設で公平な居住費を求めていく観点から、介護老人保健施設と介護医療院、介護療養型医療施設の3施設の室料相当額を、基本のサービス費用から外す方向で議論が進んでいます。 人員基準の見直し 5点目は、人員基準の見直しです。介護業界は長らく慢性的な介護人材の不足に悩んでいます。この介護人材不足の対応として、以前から人材基準の見直しについては議論が続いていました。前回の改正では、特定施設におけるICTやロボット活用による人員基準緩和が検討され、2022年に実施の方向でした。ところが、関係団体や現場からは反発の声が続出したため、実施には至りませんでした。今後もこの議論は続く方向で、2024年の改正に向けた論点になる可能性は高いでしょう。 令和6年介護保険法改正についての内容を知りたい方におすすめ 令和6年の法改正の内容が分かる 介護報酬の改定率はどうなったのかが分かる 自分の事業所のサービスはどう変わるのかが分かる 知りたい方は、ぜひダウンロードしてみてください。 無料ダウンロードする 注目度は高いが2024年では見送りが決定したトピック 2024年の介護保険法改正では見送りが決定した提言のなかに、特に注目しておきたいトピックがふたつあります。これらは2027年の改正時に結論が出されるため、今後も動きに注意しておきましょう。 要介護1・2を総合事業に 1点目は、現在、介護給付となっている要介護1・2の訪問介護、通所介護の利用を、総合事業に移管する構想です。要介護1・2の訪問介護と通所介護が総合事業になると、保険者である市町村の判断で報酬や基準が決められるようになります。その結果、介護費の抑制や、人員基準緩和による担い手拡大が期待できるとされています。しかし、先に総合事業になった要支援者の訪問介護および通所介護の実施団体を見ると、担い手の拡大化は進んでいません。また、要介護1・2の利用者には、ADLは自立していても認知症が進行しているケースが多く見受けられるため、在宅生活の継続には専門的なサービスが必要との意見も多くなっています。総合事業へ移管してしまうと、専門的なサービスが受けられず、かえって重度化を招くとの反対意見も散見されます。 ケアプランの有料化 2点目は、介護保険サービスでは10割保険負担(利用者負担なし)となっているケアマネジメントの費用を有料化するという提案です。ケアプランの有料化については、以前より議論がなされてきました。現在、在宅サービスにおけるケアマネジメント費用は全額保険給付(利用者負担なし)となっているのに対し、施設サービスにおけるケアマネジメント費用は利用者が負担するサービス料金に含まれているため、在宅と施設の間で公平性が保たれていないと政府は指摘しています。ケアプランを有料化することで、在宅と施設サービスの公平性の確保が期待できるでしょう。また、利用者が費用を負担することでケアプランに関心を持つことが考えられるため、ケアマネジメントの質の向上という目的につながる可能性もあります。しかし、ケアプランが有料化されると、本人や家族の意向をできるだけ反映してもらいたいという圧力が強まり、必要なサービスの種類や量を適正に組み込めなくなる可能性も考えられるでしょう。 2024年の介護保険法改正に向け早めの対策をしよう 今回紹介した政府提言は、これから社会保障審議会を経て、2024年度の改正に向けて骨子が決まります。今後の動向を見ながら、改正に向けて早めに対策をしていくことが大切です。また、今回の提言では、業務効率化やICTに関する議論も見られています。多忙な介護現場の労働環境の改善や、介護の質の向上には、介護ソフトの導入・リプレイスも効果的です。介護ソフト「介舟ファミリー」なら、誰でも直感的に操作ができる見やすい設計に加え、各種サポート体制が整っており、介護ソフトを利用するのが初めての事業所でも安心して導入することができます。ぜひこの機会に「介舟ファミリー」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。 介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。 無料体験はこちら 資料をダウンロード 関連資料 令和6年度 次期改定の争点は? 2023年11月2日 令和6年 介護保険法改正 サービスごとのポイントを総点検 2024年2月22日 令和6年 介護保険法改正サービス別の基本報酬、主な新加算や変更点 2024年3月27日 関連コラム 障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)などの2024年改正のポイントを解説! 2023年3月1日 ケアプランデータ連携システムがいよいよ開始!概要や導入方法を徹底解説 2023年3月1日 共生型サービスとは?メリット・デメリットと必要な手続きを解説 2023年4月27日 他のコラムを探す カテゴリーで探す 介護職 介護の質 関連法・制度 機器 組織 \「介舟ファミリー」にご興味がある方はこちら/ お問合せはこちら 無料体験はこちら 資料ダウンロード