障害福祉サービスの報酬の仕組みや国保連への請求の流れを解説!

障害福祉サービスの報酬の仕組みや国保連への請求の流れを解説!

障害福祉サービスを提供している事業所にとって、毎月の国保連(国民健康保険団体連合会)への報酬請求は欠かせない業務のひとつです。介護ソフトを導入している事業所は、必要な項目を入力すれば、計算はソフトが行ってくれます。そのため、なぜこの金額が算定されるのかを理解しないまま、日々の業務を行っているところも少なくないでしょう。一見、難しそうに思える介護報酬ですが、実は仕組みさえわかってしまえば、計算は意外と簡単です。しかも報酬の仕組みを理解しておくと、売上の目安が把握できたり、経営戦略が立てやすかったりなどのメリットもあります。現場スタッフの職場環境を考慮する材料にもなるでしょう。運営責任者は、安定した事業所経営のため、障害福祉サービスの報酬の仕組みを理解しておくことをおすすめします。

障害福祉サービスの報酬とは

障害福祉サービスの報酬とは、障害福祉サービス事業所が利用者に対して提供したサービスの対価です。報酬の種類には基本報酬、加算、減算があります。

報酬の種類

障害福祉サービスの報酬は3種類です。それぞれ詳しく見てみましょう。

基本報酬

障害福祉サービス事業所が、利用者に対して提供したサービスごとに発生する報酬です。基本報酬の算出方法は利用者1人に対して、提供したサービスの単位が基本報酬になります。
たとえば就労移行支援事業所は、就労移行支援サービス費という基本報酬を受け取ることができます。就労移行支援サービスの単位数は、5段階の定員区分と、7段階に分かれた就労定着率で決まります。利用定員が20人以下、就職後6か月以上働き続けた割合が50%以上の事業所の場合、1日あたりの単位数は1,128となります。

加算

基本報酬に、特定の要件を満たしたサービスを追加で提供することで上乗せできる報酬です。専門職員を配置している、送迎サービスを実施しているなどがそれにあたります。加算に関しては、特定の利用者に加算されるものと、利用者全体に加算されるものがあるので注意しましょう。
また、令和4年度には、福祉・介護職員の給料の引き上げを目的とした賃上げベースアップの支援加算も導入されました。厚生労働省が提示する条件にあてはまる福祉・介護職員の月額平均が9,000円引上げられる特定処遇改善加算です。

減算

提供しているサービスが指定基準を満たしていない場合に、基本報酬から差し引かれるものです。基本報酬レベルのサービスが提供できない場合、減算の対象になります。減算も加算同様、特定の利用者に減算されるもの、利用者全体に減算されるものがあります。

報酬の計算方法

次に報酬の算出方法を見てみましょう。サービスごとの単位数に加算、減算を加味し、地域ごとの単価を乗じて算出された数字が1日分の報酬となります。地域ごとの単価は厚生労働省から発表されている資料を参考に、該当箇所の単価を計算式にあてはめるだけなので、それほど難しくはありません。

地域ごとの単価は10~11.40円までの幅広い設定になっています。これは、地域によって人件費などが違うためであり、その点を考慮して設定された金額になっています。

報酬の計算式

報酬=サービスごとの単位数(加算、減産調整後の単位数)✕地域ごとの単価(10円~11.40円)
下記の例を使って、実際に計算式に数字を入れてみましょう。

【例】

東京都八王子市在住。
居宅における身体介護を1日45分利用。
月に15日間、サービスを受けた場合。

居宅における身体介護 30分以上60分未満 402単位。
東京都八王子市(3級地)地域ごとの単価 11.05円。
1日の報酬は
402 × 11.05円 = 4,442.1円。
1か月の報酬は
4,442.1 × 15日分 = 66,631.5円。

障害福祉サービスの報酬の流れ

上記で報酬の計算方法を紹介しましたが、この報酬を事業者はどこから受け取るのでしょうか。報酬を申請した事業者は、審査通過後に報酬を受け取ります。報酬の9割以上は国、都道府県、市町村などの公費にて負担され、残りは利用者が負担します。この負担額は利用者の所得によって決まり、最大でも1割を超えないように設定されています。
報酬の流れについては下記の図もご参照ください。

令和6年介護保険法改正についての内容を知りたい方におすすめ

知りたい方は、ぜひダウンロードしてみてください。

サービス提供から報酬を受け取るまでの流れ

上の図をもとに、サービス提供から事業所が報酬を受け取るまでの流れをもう少し詳しく説明しましょう。

① 利用者は市町村へ障害支援区分の申請(介護給付の場合)、支給申請を行うための書類を提出。
② 市町村は利用者から提出された申請書の内容を確認、審査。障害の程度と区分を認定。あわせて支給を決定。
③ サービス事業所と利用者は、認定の区分内で受けられるサービスを話し合い、互いの合意が得られれば契約を締結。契約をもとに、事業所は利用者にサービスの提供を開始。
④ 事業所からサービスを受けた利用者は、事業所から月に一度送られてくる請求書を確認後、利用者の負担額を支払う。
⑤ 事業所は月に1度、毎月1~10日までに国保連を通じて市町村に介護給付、訓練等給付の請求書を提出。
⑥ 書類に不備がなければ、利用者が負担した額を差し引いた報酬が事業所に支払われる。

報酬の改定

基本報酬や加算、減算はほぼ3年ごとに改定が入ります。次回は2024年度に改定が予定されています。下に記した厚生労働省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームのページでも公開されるので、ぜひ事業所の運営者はときどき確認してみてください。特に介護ソフトを使用していない事業所は、改定に気づかず報酬を請求すると、1か月分の給付金が受け取れないこともあるので注意しましょう。

障害福祉サービスの報酬を理解して事業所運営を円滑に

障害福祉サービスの報酬算定は、一見複雑なようですが、仕組みを理解すればそれほど難しくはありません。介護ソフトを利用している場合は、この仕組みがわからなくても、運営にあまり影響はないかもしれません。しかし、運営責任者としてこの数字を把握することは、売り上げの目安を知ることにつながります。現場のスタッフにとっては提供サービスの対価を知ることで、日々の仕事への意識を高めることができるでしょう。

介舟ファミリーは、障害福祉サービスの3年ごとの報酬改定にも迅速に対応しています。請求業務以外にも、スタッフのシフト管理や利用者の記録など、事業所に必要な事務手続きを効率よくサポートしてくれます。

介舟ファミリーは、介護と障害者福祉の両制度に対応し、事業所が必要な機能を標準で提供しています。包括的なサポート体制があり、初めての利用でも安心して導入できます。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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